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レーヴァティン

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第四話 村で聞くことその一

                 第四話  村で聞くこと
 村に辿り着いたことがわかってだ、久志は救われたという顔になった、そしてそのうえで今も彼の横にいる英雄に言った。
「助かったな」
「そうだな」
 英雄の物腰はこの状況でも変わらない、冷静なままだ。
「まずはよしとしよう」
「よしかよ」
「助かったことに感謝だ」
「ってそれだけかよ」
「俺の態度に問題があるか」
「化けものに襲われるリスク覚悟して野宿かそれが嫌で徹夜かの二択だったんだぞ」
「飯抜きでな」
 英雄はこのことも付け加えた。
「そうなっていたな」
「それで全然喜んでる様に見えない態度なんだよ」
「これでも喜んでいる」
「本当にそうか?」
「そうだ、ではだ」
 英雄は久志にあらためて話した。
「まずは宿屋を探すか」
「もう夜だけれど宿屋は空いてるか」
「そうだと思う、宿屋は何時でも入られる」
「そして休める場所だな」
「それならか」
「まずは宿屋に行くことだ」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人で夜の村の中を少し歩いた、すると。
 少し大きな木造の建物を見付けた、そこにアルファベットの様だが彼等の世界のものとは少し違った形の文字で書かれていた。宿屋とだ。
 その看板を見てだ、久志はまずはこう言った。
「なあ、俺達この文字はじめて読んだな」
「そうだな」
「それでも何て書いてるかわかるな」
「それは謎だな」
「ああ、しかしな」 
 それでもだとだ、久志は看板を見つつ英雄に言った。
「宿屋見付けたからな」
「中に入るか」
「ああ、そしてな」
「休むとしよう」
「飯もあったらな」 
 それこそとだ、久志は先程以上にほっとした顔で述べた。
「余計にいいな」
「そうだな、ではだ」
「中に入ろう」
 こう話してだ、そしてだった。 
 二人は実際にだ、宿屋の扉を開けた。すると店の中も木製でカウンターには一人の髭を生やした初老の男がいた。
 男は二人を見てだ、こう言った。
「泊まるのかい?」
「ああ、飯もあるかい?」
「遅いからこれっていったものは出せないがね」
「あるんだな」
「パンと冷えたシチューでいいかい?」
「食えれば何でもいい」
 これが久志の偽らざる今の願いだった。 
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