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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  根幹


風都、かもめビリヤード一階。

そこにあるこの街の切札、鳴海探偵事務所。



その中で、テーブルを挟んだソファに座っているのは、左翔太郎と、依頼者の女性だ。




「化け物の中を安全に?つまりは・・・護衛ってことか?」

「ええ。お願いします。私はそこに行かなければなりません」


「それはまたどうして?そんなところに行く理由を知りたいね」


依頼人の女性に興味を持ったのか、フィリップがいつもの仕草をしながら女性に聞いた。
それに対し、女性は特に答えない。


「依頼人のプライベートよ。それとも、ここの探偵事務所はそこまで知らないと依頼に応じられない?」


その言葉に翔太郎は少しムッ、とするものの、それでも確かにその通りだ。
いちいち内容の細かいところまで気にしない。依頼を完遂することがこの仕事だ。

別に知るのはそれまでの過程の内ででもいい。



「わかったぜ。あんたを絶対に送り届ける。俺は左翔太郎。こっちは相棒のフィリップだ」

「よろしく」


「で・・・あんたの名前は?」




「私?私は、長岡ユキよ。なんとでも呼んでちょうだい」







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バサッ、キィッヴォンヴォンヴォン・・・・・


「EARTH」の敷地内、本部ビル前。



そこに今、背中にインデックスを乗せて飛んできた一刀と、バイクに跨った剣崎が帰ってきた。
その姿を確認し、愛紗が駆け寄ってきて無事を喜ぶ。


「ご主人様!ご無事ですか!」


「うん大丈夫だよ。俺も剣崎も、当然インデックスも」

「ウナギ野郎はいなかったみたいだからな。幸運って言えば幸運だった」




そう、あの周囲をかこっていたアンデットに、エレクトリックエェルアンデットはいなかった。
だからこそ、もしかしたら一刀はインデックスを守り切れたのかもしれない。


「カードに封印したら消えた。やっぱり橘さんが相手にしたのと同じだ」

「どういうことなんだ・・・・愛紗、橘さんは?」

「それがまだ・・・・」



と、玄関口でそんなことを話していると、医務室から連絡が入った。



『みなさん、橘さんが目を覚ましました。話があるようです』












それから数分後には、医務室のベットに横たわっている橘のもとに一刀や愛紗、剣崎が集まっていた。


「橘さん!」

「おお剣崎。心配かけたな」



頭に包帯などを巻いてはいるものの、いたってげんきなたちばなをみて、一同がほっとする。
だが、こうしているのも惜しいほどに、彼等には知りたいことがあった。



「橘さん、聞きたいことがあります」

「ああ、アンデットのことだろ?その話をするためにみんなに来てもらった」




そうして、橘が口を開く。






ことはつい一か月前にまでさかのぼる。







「EARTH」でアンデットに関する研究をしていた橘のもとに、一本の電話が匿名でかかってきたのだ。



その内容は、海岸近くの山奥、その洞窟に、意味不明な、そして大きな石板がある、というものだった。
その電話自体は橘がもっと詳しく聞こうとする前に、石版の場所を伝えただけで切れてしまったが、確かめてみるには十分な内容だった。



今考えてみれば、なぜ「EARTH」のほうではなく、この橘の部屋に直接かかって来たのかを考えると違和感があるのだが、この時は特に気づかず橘はその場所に向かった。
なにぶん、匿名からの電話だし、内容もあいまいな情報なので、特に重くも受け止めず一人で。



しかし洞窟に入りその石板にたどり着いて、橘は思い直した。



「デカい・・・・・」



その石板は、もはや「板」というよりも、「壁」と言った方が的確であるほどに巨大なものだった。
そしてそこには、確かにアンデットの紋章があった。


その石板をカシャカシャと写真に収めていく橘だが、


「ふむ・・・これは確かに・・・む?」


と、ここで彼は電話の違和感に気づいた。

確か、電話では一切アンデットのことを言ってはいなかった。
ではなぜ自分のところに電話が来たのか。



自分のところにそう言った案件の電話が来たために、錯覚してしまっていた。

周りを見らたそうとし、石版に背を当てる。



そして直後、彼は後悔した。もっと大人数で来るべきだった、と。




『ニンゲン・・・』

『ニンゲンノタマシイ・・・』

『人間?』

『魂だ!!何万年ぶりかの!!』

『外・・・そうだ・・ここには外がある!!』

『食え!喰え!!』

『魂を食らえ!!』




「な!?」



ゴポッ・・・ゴボゴボゴボゴボッッ!!!




そして突如、石版の中から黒い水があふれ出してきて一面を覆った。
その水は洞窟内の地面を全て覆うと、さらに壁を這いあがって全方位を水で覆いつくしていき・・・



「こ・・・これは・・・まさか・・・!?」




それを見、橘は急いで洞窟の外に出た。

後ろをちらりと振り返ると、水から湧き上がるかのように次々と化け物――――アンデットが出現し、そしてそれは一体たりとも見たことのない者だった。



「く・・・こいつらを野放しにするわけには・・・・!!?」



と、そこで「EARTH」に連絡を取ろうとして連絡機を取り出す橘だが、直後にそれをアンデットに弾き飛ばされてしまう。
手を押さえ、舌打ちする橘だが、湧き上がってくるアンデットは止まらない。






そして、アンデットの顔が一斉に、グルリと橘に向けられてきた。





「ギェエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

「ッ!?変身!!」

《turn up》



そうして変身した橘は襲い掛かるアンデットと交戦しながら、怪我を負いながらも何とか逃げ出したのだ。






そして撮った写真を解析して、その文字盤を読み取りその内容を知って、襲われるであろう少女のうち、一番近い場所に向かったのだ。


すなわち、学園都市。
そこで、彼はアンデッドに襲われる御坂妹に遭遇し、彼女を助けたのだ。



















「そ・・・そんなことが・・・・」

橘の話を聞いて、剣崎が驚く。
そして、話はアンデットのほうへと移った。


「だけどアンデットは全部封印していたんじゃ?」

「俺もそう思っていた。だが、そうなるとおかしくないか?」

「え?」




「生物の始祖たるアンデットを戦わせてこの星の生態系の頂点を決める戦い「バトルファイト」。だが、それに選ばれた生物は52種・・・・少ないとは思わないか?この地球上にはまだ途方もないほどの生物がいるのに?」



それを聞き、剣崎ははっとした。
確かにそうだ。しかも、個体によっては細かく分類されていたものもいた・・・・


「人間、ゾウ、カマキリなどと簡単に分けられているものもあれば、スパイダーとタランチュラ、さらにはギラファノコギリクワガタなどとまで細かく分類されていたものまでいたのに、52種は少なすぎる」

「じゃあつまり・・・あのアンデットたちは、バトルファイトに選ばれなかったアンデット?」


「そうだ。しかも、その理由は「弱いから」ではない。無論、そう言った理由のものもいたが、そうでない者もいる」



そう、バトルファイトは地球上での生態系の頂点に立つ者を決めるべく行われるバトルロワイヤルだ。



ゆえに、異常に強い者がいてはならない。生態系において最も重要なのは、この強さではなくバランスだ。

一人勝ちだけは許されない。
そこからあぶられたものには、当然その力が強すぎたがゆえに封印され、バトルファイトに参加できなかった種族もいたのだ。



いわば、オフィシャル選手ではなくストリートで名を馳せるようなもの。
ただただ強すぎたがゆえに、枠に入れなかったということ。



「そんな奴らが・・・・」

「ああ・・・襲ってくる雑魚共の大半は俺たちが勝って封印したアンデットと同等くらいの力。弱いアンデットははなから戦わずに自然に帰った。しかし、強力なアンデットは、あのジョーカーすらをも凌ぐ」

「な・・・・」




そう、今回の敵は、そんな奴らだ。
正規のアンデッドではない。だからカードに封印すると、彼らの姿は消えてしまったのだ。



「ま・・・何枚もラウズカードを使わずには済むが、な」




そこまで話た橘に、一刀が最後の疑問を挟んだ。
まだ、橘の話には聞くべきことがある



「橘さんは、「狙われるであろう少女のうち」って言ってたよな?」

「ああ」

「標的は・・・複数人いる?」

「そうだ・・・・・」

「なんで彼女らだと・・・」




「石版を解析、解読した。見てくれ」


と、橘が宙にモニターを表し、そこに写真を提示していく。

そこにはよくわからない文字で言葉がつづられていたのだが、すでに解読は終わっているということもあって、即座に訳文が出てきた。



「これは・・・・!!」




《我ら、「大いなる者」》
《この地にて、一つの種を選びて繁栄を約束せん》



そこにあったのは、バトルファイトを開始するといった旨が書かれていた。
つまりこれは、その観測者が残したものだったのだ。




そして、そこに書かれているのはそれだけではなかった。




《我ら、この地に邪神を見つけたり》
《そのもの、世を破壊と混沌に導かん》
《この地の繁栄を約束せんがため、我ら邪神を封印せり》




「邪・・・神・・・?」

「ああ、おそらくはこいつが元凶だ。見ろ」



と、モニターの一部を拡大し、さらに細かく見ていく橘。
そこには、先ほどまでの筆記とは明らかに違う文字で掘り込まれた文があった。



【十の幼き少女の魂を捧げよ。我が身の力と成らんが為に】
【さすれば我、彼の者に無限の力を与えたもう】




「これは?」

「こいつを封印した「大いなる者」ってのは、多分あのモノリスを作った奴ら・・・バトルファイトの統率者だ」

「モノリス?」

「ああ・・・バトルファイトを促していた、捻じれた石版だよ。結構前に破壊したんだけど・・・まさか!!」


「そうだ。おそらくはその影響で封印が弱まり、邪神とやらはあの文字を外の石板に掘り込む程度に干渉できたのだろう。そして、俺がアンデットを解き放ってしまった」

「待ってくれ。ってことはアンデットで蓋をして封印してたんだろ?それならもう邪神の封印も解けてるんじゃないのか?」

「いや、それは違う。ここにもあるように、「邪神」はアンデットとはまた別の存在らしい。封印に使われたアンデットは不死だから衰えることはないが、この邪神は一万・・・いや、場合によってはさらに太古から封印され続行けていた」


「邪神は魂に飢えている・・・・ってことか?」

「ああ。そしておそらくは強い能力や魂を持つ者であろう者の中で、一番近かったのが彼女だった・・・・連れ去られてしまったがな」

「なるほど・・・」

「だったら警戒態勢を引かなければなりませんね」

「うん。力を持った少女は、幸いなことに多く「EARTH」にいる。みんなをここに・・・」




そうして一刀が各方面へと連絡を取ろうとするが、そこで医務室の扉が開いて、一人の青年の声が聞こえてきた。




「なるほどな。大体わかった。二人ならもう連れてきたぜ」





「!! 士!」

「それにユウスケも・・・・あ、梨花ちゃんに羽入ちゃん!」

「見たこともないようなアンデットってのは、そういうことか」

「俺たち、雛見沢に行っている時に・・・・」





標的であろう梨花と羽入をここまで連れてきた士とユウスケが、一連の話を聞いて納得していた。
海東と夏海はすでに雛見沢で別れ、各地に走っていた。



そして話の内容から、士は大まかながらも邪神の目星をつけていた。



「そいつ・・・知ってるかもしれねぇ」

「本当か!?」


「ああ・・・・だが俺が知ってんのは別世界のだ。こっちのとはかなり違う。それにそれなら・・・・・」

「それなら?」


「多分、海東の方が詳しいと思うぞ?」






------------------------------------------------------------




「みんな・・・無事・・・か・・・・」

「くっ・・オレはまだ大丈夫だが、ベナウィとクロウが重傷だ。あいつらなんなんだ兄者!?」



「わ、わからん・・・「EARTH」に緊急連絡!!ここからは私が出る!!」

「兄者!?」




ゴォンっ!!




と、そこで宮殿の屋根を突き破られた。ハクオロがウィツァルネミテアの姿となって、巨大な姿に変貌したのだ。

が、その睨みつける敵は人間大のモノ。
現在、カルラとトウカが交戦しているものの、一向に攻撃が入らない。


この二人の攻撃をして、そのすべてを回避、防御しているそのアンデットは、全身が黒光りしており、マントのような羽を持っていた。


『二人ともどけェ!!』



ドォン・・・・!!!




そのハクオロの咆哮と共に、巨腕が振り下ろされてアンデットに叩きつけられる。

だが



『いない!?』

「おっそいねぇ・・・あんたら人間は、デカけりゃ勝てると思ってんのかい!?」




そんな声がし、直後シュカッ、という音がしてハクオロの足が切り裂かれた。

ガクリと崩れる巨体。
しかし、即座にそれは再生し、再びその足で立ってアンデットを睨みつけた。


『カァぁああアアアアアアアアアア!!!』



そして、その口の前に黒い球体が出来上がっていく。
それは見て分かるように、途方もない力を込めたエネルギー弾だ。


「へっ・・・まぁじかよ・・・あんたクレイジーだぜ!!」

『オオオオオオオオオオオオ!!!』




ドォン!!!




そして、それが放たれて着弾、爆発。
炎を上げて、宮殿の広い謁見室が炎に包まれた。



しかし、その炎の中にアンデットはいなかった。


それを見て、ハクオロが空に向かって咆哮を上げる。




奪われたものは、あまりに大きい。



その奪われたものとは―――――――――――――――
















そうして



アンデットが逃げてきたのは森の中。
その肩には一人の少女が担がれていた。



「『森の母(ヤーナマゥナ)』の少女、ね。これでまた一人、と」



意識を失い、担がれている少女の名はアルルゥ。
森と心を通わせ、動物の言葉を聞く少女だ。



「さっきも虎が追っかけて来たみたいだし、力は本物。申し分ない」

「申し分ないところ失礼だが、返してもらうよ」

「なに!?」




《ATTACK RIDE―――BARRIER!!》




と、アンデットが森を走っていると、目の前に青いホログラムのような壁が現れ、行く手を阻んだ。
その壁の前に急ブレーキで止まるアンデットが声のした方向を見ると、そこからシアンのカラーに身を包んだ仮面ライダー、ディエンド―――海東大樹が現れてきた。




「なんだテメェ?」

「今連絡が入った。お前達が復活させようとしているもの・・・まあ、復活させるわけにはいかないんだよね。しかも、そんな子供の命を使ってなんて」

「あぁ?・・・・ああそうかそうか。お前「仮面ライダー」ってやつだな?バトルファイトのボンボンどもがやられたって言う」

「おや、ならば君も同じ未来をたどることだね!!害虫君!!」




そう言って、ディエンドが銃弾を放ってそれがしなり、肩のアルルゥに当たらないよう的確に命中させていく。

しかし、その弾丸の九割は回避され、残りはすべて打ち弾かれた。
アンデットの、実に素早い動きによって。


その動きは本能に訴えかけるような気味悪さを持っており、それがゆえに一発で何の始祖かはっきりした。



「テメェ・・・害虫呼ばわりしといて・・・ただで済むと思ってんのか!!!」


アンデットが激昂し、しかしそれでも肩のアルルゥは降ろさずにそのままディエンドへと突っ込んできた。
その速度はかなりものだが、ディエンドもある程度ならば加速することができる。問題はない。

突っ込んでくるアンデットを見て、銃口を向けながらディエンドが相手の正体を叫び走りこんでいった。






「問題ないね。さ、その子を放したまえ、ゴキブリ君!!」







to be continued

 
 

 
後書き

と、いうわけでアンデットの出自を明かさせていただきました!!
え?アルビノジョーカー?そんなんいなかったんやwwww

と、いうのは冗談で。



当初、アルビノジョーカーも出すことを考えていました。



しかし、彼を入れるとまた話がややこしくなりますし、どうしようかと悩んでいました。



と、ここで思いつきました。

あのアンデット達は、邪心を封印するために使われていました。
そして、アルビノジョーカーはその封印とはまた別に封印されていた、と考えたのです。


これはいける。
こぎつけ?いいえ、設定です(笑)



友人もこう言っていました。


「原作から変えていくのが、二次創作の醍醐味だ」と



よろしい、ならば改変だ。

アルビノジョーカーにはさよなライオンしてもらいました。
ごめんねアルビノくん。


そして、十人の少女。

これは魂の質や持っている力の強さで選びました。


まあ、礎には十人の少女が必要。
その強さで邪心の力も上下しますからね。


さて、その十人とは一体!?
すでに判明しているのは五人。

これからまた誰が狙われるのか!!


ではまた次回で!!






希少能力持ち少女リスト(現状)


古手梨花
古手羽入
御坂美琴
インデックス
アルルゥ


残り五名
 
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