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風魔の小次郎 風魔血風録

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133部分:第十二話 聖剣の真実その七


第十二話 聖剣の真実その七

「どうしたのかな、今日は」
「学校じゃないかしら。今の時間は」
「そう。学校なんだ」
「絵里奈ちゃんももうすぐ行けるようになるわ」
 病気のことは言わないのだった。
「だから。今はね」
「お休みの時間なのね」
「ええ、そうよ」
 そう言ってとりあえず携帯を止めさせるのだった。
「お休みなさい」
「うん、お休みなさい」
 看護婦さんの言葉を聞いた。それで今は携帯を止めたのだった。
「目を開けたらお兄ちゃんがいるよね」
「そうね、きっとね」
 優しい笑みを浮かべて絵里奈に応える看護婦さんだった。
「きっとね」
「うん。じゃあ今はお休みするね」
「そうよ。ゆっくりとね」
 あえて絵里奈に対して優しい声で語るのであった。
「休んでいて。御願いね」
「うん」
 微笑んでから目を閉じる絵里奈だった。既にその携帯はしまってある。看護婦さんはそんな絵里奈の顔を見て悲しい顔で涙をこらえることしかできなかった。彼女ができるのはこれだけしかなかった。
魔の面々、そして姫子と蘭子は遂に誠士館に辿り着いた。そこではもう夜叉の忍達が集結していた。
「よくぞ来たな、風魔の者達よ」
「待っていたぞ」
 校舎への入り口である壮麗な柱が立ち並んだ神殿を思わせる場所の前に武蔵と壬生、そして八将軍達がいた。壬生と陽炎が彼等に対して言ってきた。
「最後の決戦だが」
「覚悟はできているな」
 不知火と雷電はもう闘志を露わにしていた。燃える様な目を彼等に向けている。
「さてと、俺は項羽だ」
「私は霧風か」 
 妖水と闇鬼はそれぞれの宿敵を見ていた。
「小龍、あの時の恨み晴らさせてもらうぞ」
「麗羅、また会える時を楽しみにしていた」
「劉鵬、再戦といくか?」
 白虎、紫炎、黒獅子は楽しそうな笑みを浮かべてそれぞれの因縁の相手を見ていた。彼等はもう戦闘態勢に入っていた。
 そして彼等を後ろに控えさせた武蔵は。壬生を横に置き風魔の面々に対して言ってきた。その目は小次郎に対して向けられている。
「全員で来るとはな。まさかとは思ったが」
「生憎しぶといんでな」
「そう簡単に欠場することはありませんよ」
 兜丸と麗羅は目以外は笑わせて武蔵の今の言葉に応えた。
「さて、ここまで来たからにはな」
「お互い名乗りも何も不要だな」
 林彪は木刀を、項羽は羽根を構えさせた。
「それぞれ相手もいる」
「すぐにはじめるか」
 霧風と小龍もまた同じだった。風魔の面々も戦闘態勢に入っていたのだ。
「だが。その前に一つ聞いておきたい」
「何だ?」
 武蔵は風魔の者達の中心にいる竜魔の言葉に応えた。彼の隣には小次郎がいる。
「忍の掟は知っていると思うが」
「無論だ」
「では周りの者達は。手出しはしないのだな」
「それについては言うまでもないと思うが」
 毅然とした顔で竜魔に言葉を返す武蔵だった。
「忍の戦いはあくまであらかじめ決められた数によるものだ。だからこそ周りには手出しはさせない」
「その言葉。信じていいのだな」
「言っておくが我等夜叉にも誇りがある」
 今度は壬生が言うのだった。
「同志達には決して手出しをさせぬ。それは信じろ」
「わかった。では信じよう」
 竜魔はここでは壬生の言葉を信じるのだった。彼の言葉にはそれだけの真実があったからだ。
 
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