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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  188 3年目のハロウィーン


SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

ルーピン先生の初めての〝闇の魔術に対する防衛術〟で俺がボガートをサマエル──〝存在自体が龍殺し(ドラゴンスレイヤー)〟に変身させてしまうと云うちょっとしたトラブルからそれなりの日数が経過していた。

ルーピン先生の授業は、俺達三人がこれまで経験した──〝クィレナス・クィレル〟〝ギルデロイ・ロックハート〟と云った〝闇の魔術に対する防衛術〟の講師達とは違ってとても面白いもので──スリザリンの寮監及び生徒以外から瞬く間に支持を得た。

……スリザリンの寮監──スネイプ先生は、ネビルがボガートを〝何かを何かに〟変身させたのかを知っているのか、ネビルへの当たりがまた一層と強くなってネビルもまた一層とスネイプ先生を怖れるようになったと云う負のスパイラルがあったりしたがご愛敬。

閑話休題。

〝魔法生物飼育学〟は、ハグリッドに──懇切丁寧に進言した甲斐あってか、ヒッポグリフは最初のデモンストレーション扱いとなって、レタス喰い(フローバーワーム)の観察から始まった。

〝古代ルーン文字学〟は俺がAランクの“道具作成”のスキルを持っているので、魔法具を作成する場合にとても参考になりそうだと感じた。

そしてマクゴナガル先生監修の〝動物もどき(アニメーガス)〟の訓練だが…

「ミス・ポッター、ミスター・ロナルド・ウィーズリー──お二人がとても優秀な生徒だとは十分に理解していたつもりでしたが、よもやここまでとは…。長年、教師生活を続けてきましたがここまで驚いた事はないでしょう」

マクゴナガル先生は俺とアニーの前で愕然としながら言った。マクゴナガル先生の瞳に写るのは〝血のような鮮やかな鱗のドラゴン〟と〝牝鹿〟──〝動物もどき(アニメーガス)〟へと完全に変身した俺とアニーだ。

無理もない。……十日もしない内に二人して〝動物もどき(アニメーガス)〟を修めてしまったのだ、普段冷静で落ち着きはらっているマクゴナガル先生が愕然するのも仕方ない──寧ろ普段から冷静なマクゴナガル先生でこそ驚くべきことなのだろう。

……何故、一週間かそこらで〝変身術の最高峰の1つと〟云われている〝動物もどき(アニメーガス)〟を修めてしまえたのか──当然、タネも仕掛けもある。

俺は“ドラゴラム”が使えたからそういう感覚が何と無くだが掴めていた。……そして、〝動物もどき(アニメーガス)〟で変身する先の動物を半ば確信していたからと云うのもある。

アニーは“勿体無い資質(ポテンシャルヒット)”で、オリバンダーさんの話を更にアニーからの又聞きだが──変身術が得意だったと云う〝母方〟の才能を上手く開花させる事が出来た上、経験(れんしゅう)の効率化が望める“アギトの証”をアニーに貸していた。……そして、もちろんの事ながら〝別荘〟も活用した。

俺はともかくとして、アニーにはここまで材料を揃えたのだから、アニーが早期の内に〝動物もどき(アニメーガス)〟のスキルを修得するのは不可能ではなかったのだ。

……もちろん、アニー自身の才能や努力も考慮しなければならないが…。

「もう、〝動物もどき(アニメーガス)〟については私から教えられること無さそうですね──よろしい、これにて私からの個人授業は修了です」

マクゴナガル先生から呆れを多少なりとも含まされた言葉を頂戴する。俺とアニーは、示し合わせていたかの様に人間へと戻るが、しかしマクゴナガル先生はまだ俺とアニーに伝えるべき事があったのか、こほん、と咳払いをして更に続けた。

「……ただ──お二人の事です。判っていると思いますが…」

「〝登録が済むまでは〝動物もどき(アニメーガス)〟に変身するのは控える〟──ですよね?」

アニーの確認にマクゴナガル先生は鷹揚(おうよう)に1つだけ頷く。

「よろしい。……では〝天文学〟の授業に遅れないように行きなさい」

「ご指導ありがとうございました!」「ご指導ありがとうございました!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ハロウィーン当日。

マクゴナガル先生から〝動物もどき(アニメーガス)〟の習熟度について太鼓判を()されてから少し。ホグワーツには学期で最初のお祝い事であるハロウィーンの季節が訪れていた。

三年生未満の下級生と親の承諾を得られなかった生徒以外は【ホグズミード村】──云ってしまえば〝魔法使いの魔法使いによる魔法使いの為の村〟に行っているのでホグワーツの城は伽藍(がらん)としていた。

アニーは家出同然でダーズリー家を出発しているのでそんな許可も貰っているはずも無く、俺は許可を貰っていたが、あまり──アニーが不参加となれば興味が湧かなかったので、今回はパスさせてもらった。

ここで嬉しいのは俺が行かなかったのをアニーが癇癪(かんしゃく)を起こすでもなく受け入れたことだった。……恐らくだが肉体的な年齢と精神的な年齢の〝ズレ〟が無くなってきたのだと考察している。

……そうなると、〝ホグワーツ特急〟で再会したアニーに直ぐ様〝記憶〟を譲渡しなかったのは、間違っていなかったのだろう。……〝ホグワーツ特急〟で再会した当時のアニーの精神状態は間違いなくよろしくなかったからだ。

閑話休題。

そこで(つつが)無くグリフィンドールのクィディッチチーム入りを果たしていた俺とアニーは、〝どうせならピッチを広々と使ってしまおう〟と思い──ちゃんとマクゴナガル先生から許可を貰ってからクィディッチのピッチをのびのびと()んだ。……もちろんながらただ遊ぶためではなく、(かね)て造っていた〝ぼくのかんがえたさいこうのほうき〟をテストするためでもあった。

……クィディッチ杯が是が非でも欲しいらしいマクゴナガル先生からは何度も──何度も何度も優勝するよう頼まれたりする一幕(ワンシーン)があったりしたがそれはご愛敬だろう。

また閑話休題。

「……一年の時はトロール、去年は石化したミセス・ノリス──さて、今年は何が起こるんだか…」

アニーを箒に乗せて、アニーからの感想は〝O:大変よろしい〟と云うもので、箒のテストも大方終わり、クィディッチのピッチから城への帰り道。アニーは箒を担ぎながら、「今年に何か起きたら〝時報〟と書いて〝ハロウィーン〟と読んでやる」と付け加えながら呟く。

(……実際起こりそうだよなぁ…)

俺の【ハリー・ポッター】の知識は、重大な情報こそ──〝お辞儀さん(ヴォルデモート)〟の倒し方とかは覚えているが、〝シリウス・ブラックが最初にホグワーツへ侵入する日時〟──などと云った、細かい内容は曖昧だ。

……そして、ハロウィーンの日──今日と云う日が、〝シリウス・ブラックが【ホグワーツ魔法魔術学校】に侵入する〟と云う大事件によって──アニーの言った通り、(なにがし)かの騒動のスイッチになるのだと俺も実感するのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

シリウス・ブラックにグリフィンドール寮への隠し扉となっている〝太った婦人(レディ)〟の絵が襲われてホグワーツの城内はてんわやんわとなった。

シリウス・ブラックが校内を彷徨(うろつ)いているかもしれないのでダンブルドア校長は全生徒に〝今夜は広間で寝る様に〟と指示を出した。……そんな状況下なので、広間は修学旅行の夜の旅館みたいな様相を呈していたが、ホグズミードとハロウィーンの二連チャンなので皆──特に三年生以上の上級生のほとんどが眠っている。

「……シリウス・ブラックはどうして〝婦人(レディ)〟を襲ったんだろう」

ハーマイオニーもネビルも眠っていて暇をもて余したのか、アニーが小声で話しかけてきた。

「……今シリウス・ブラックについて判るのは〝ホグワーツの生徒だった〟〝ホグワーツの城への侵入方法を知っている〟〝グリフィンドールの寮の場所を知っている〟──ってくらいか」

「“忍びの地図”──とフレッド、ジョージによれば、ホグワーツに侵入するには〝隻眼の魔女の像〟の近くのコブが一番現実的なんだよね?」

「〝ホグワーツからの〟通路だな、それは。〝コブ〟の向こうから開ける方法があるにしても、杖が必要だろう」

シリウス・ブラックが杖を持っているとは考えにくかったので、アニーの言葉にそう註釈をそえておく。……ピーブズ曰く〝癇癪持ち〟なシリウス・ブラックだが、さすがに本人も〝大量殺人犯〟と世間一般で呼ばれていることくらいは自覚出来ているはず。

そんな状況下、シリウス・ブラックが〝あの〟ダンブルドア校長のお膝元であるホグワーツの城内を無為に歩き回るとは到底思えなかった。

「……でも〝暴れ柳〟のルートを使うとしても〝縛り術〟とか〝凍結呪文〟が必要だよね…」

「だよなぁ…」

アニーのそんなぼやきは、俺も疑問に思ったところだ。〝魔法使い〟たるもの、やはり何をするにしても〝杖〟は必要だからだ。

「……ところで──そもそも、シリウス・ブラックが杖を持ってる可能性は?」

「無い──とは言いきれないが、可能性は低いな」

「どうして?」

「だってそこらのグリフィンドールの──出来れば下級生に〝服従の呪文〟を掛ければ一発じゃないか」

思い出すのは〝ロン・ウィーズリー〟を【叫びの館】まで〝シリウス〟が引き摺っていったシーン。もしあそこの場面で杖が〝シリウス〟の手元にあったなら──魔法が使えたなら、〝ロン〟に──〝ハリーの親友〟に要らない怪我を負わせずに済んだ公算が高かった。

(それに──そろそろルーピン先生あたりが俺に干渉してくるだろうしな)

その為にガリオンくじを当てたようなものだ。むしろルーピン先生なら、〝闇の魔術に対する防衛術〟で俺と会った初日から干渉してきてもおかしくなかったかもしれない。

……こんな事件があった手前、そろそろ干渉してくる可能性が高い。

「〝服従の呪文〟って…。汚いさすが魔法使い汚い」

「まず使わんだろうけどな。……夜も更けてきたし、そろそろ寝ちまおうぜ」

「そうだね。ボクも眠くなってきたし──おやすみ、ロン」

「おやすみ、アニー」

SIDE END 
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