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風魔の小次郎 風魔血風録

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109部分:第十話 小次郎と姫子その七


第十話 小次郎と姫子その七

「竜魔か」
 何と彼女の方から気付き声をかけてきたのだ。
「どうしてここに」
「次の勝負のことだ」
 竜魔は蘭子にもこう答えた。
「話がしたい。いいか」
「あ、ああ」
 戸惑いを必死に隠しながら竜魔に答える。
「料理部だったな」
「そうだ。向こうは出るのは二人だったな」
「サポートを入れてな」
 このことは蘭子も知っていた。誰が出るのかも。
「飛鳥武蔵と壬生攻介の二人か」
「こちらは三人だ」
 竜魔はまた告げた。
「兜丸と麗羅、そして小次郎だ」
「三対二か」
「そうだ。しかしだ」
 数のうえでは優勢だ。しかし竜魔はそれでも楽観してはいなかった。
「相手が相手だ。楽観はできない」
「伊達総司と並ぶ最強の傭兵に夜叉最強の剣士」
 蘭子は言う。
「しかも壬生の手にはあの黄金剣がある。容易な相手ではないな」
「飛鳥武蔵には二人だ」
 竜魔は己の策を述べた。
「兜丸と麗羅を向ける。この作戦のリーダーは兜丸だ」
「あの男か」
「そうだ。あの男がリーダーでサブは麗羅だ」
 麗羅はかつての弓道の時と同じくサブであった。
「そして小次郎は今回もサポートだ」
「壬生に対してか」
「本来ならば俺が行きたいのだがな」
 竜魔の言葉がここで残念な響きを及ぼさせてきた。
「だが。兄弟達に止められた」
「当然だな、それは」
 蘭子は今の竜魔の言葉を聞いて。それを当然のことだとしてきた。
「今のあんたは闘える状態じゃない」
「そう言われた」
「あんた、あれだけ消耗して大丈夫なのか」
「命に別状はない」
 こう言ってこの問題を不問にしようとする。彼にとってはないことにしたい理由があった。蘭子はこのこともまた察していたのだった。
「いや、それは違う」
「違うだと」
「あんた、命を削っている」
 蘭子は竜魔に対して言った。
「あんな闘いをしていれば何時か」
「倒れるというのか」
「命を削ってどうするんだ」
 竜魔の顔を見据えての言葉だった。
「命を削りに削って。最後に力尽きてもいいのか」
「それは当然のこと」
「当然のこと!?」
「俺は忍だ」
 己のことを語ってみせる。忍であると言い切ったのだった。
「戦いの中に生きその中で倒れる。それが忍の宿命だ」
「けれどそれは」
「柳生様・・・・・・」
 二人は隅で話をしていた。しかしそれに団長は気付いた。それで一旦部員達に対して顔を向ける。次に大きな声で彼等に告げた。
「よし、練習メニューは終わったな!」
「押忍!」
「ならば今日はこれで解散とする!」
 彼はこう団員達に告げていく。
「それぞれ鋭意を養っているように!いいな!」
「押忍!」
「ではまた明日だ!今日も御苦労!」
 こう告げて別れさせる。団員達はそれぞれ去っていく。しかし団長はここで木陰に隠れて休む。そのうえで蘭子を見守るのだった。
 
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