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とある世界の物質破壊≪ディストラクション≫

作者:叶愛
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数ヶ月後のある日

 
前書き
美琴「ねぇ、湊?」
湊「ん?」
美琴「今回ってアンタ出てこないわよね?」
湊「…………ナンノコトデショウ?」
美琴「じゃあ私視点ね。」
湊「いやいや、俺も出るよ…多分。」
美琴「多分なのね。」
湊「もう諦めます……」
美琴「まぁ、次は出るんじゃない?」
湊「一応主人公だから出ないと泣くぞ…!」
美琴「はいはい、それじゃあ本編へ!」
湊「今回は美琴視点だ…!」 

 
「暑い……。」

「そうですわね…お姉様…。」

木々に止まっている蝉が鳴き、頬を掠める風は夏の季節のせいか太陽の熱で温められ、蒸し暑かった。

「はぁ……」

「お姉様、どうされたんですの?」

黒子が私のため息に反応し、顔を覗かせた。

「ううん、何でもないわ。」

私は先程買っていた飲み物を取り、キャップを回しながら言った。

こんな暑い日は水分を取らなければ熱中症になってしまう。

「お兄様ですわね。」

「ぶっ……!」

私は予想外の言葉が黒子の口から出たため、飲んでいた飲み物を吹きそうになった。

「な、なんで湊が出てくるのよ…!」

黒子はふふと笑いながら、私の方に視線を向ける。

「お姉様が暗い顔をされている時は、大体がお兄様の事ですわ。」

「意味わかんないわよ。」

私は冷静に装いながら、飲み物を飲む。

空虚爆発事件から数ヶ月たった今、湊からの連絡は途絶えていた。

感謝の言葉を伝えようと何度か携帯に電話をかけたが、一向に出ず気づけば夏休みとなっていた。

──あのバカ、いったいどこで何してるのよ……

湊本人の目の前ではツンときつく当たるが、本当はすごく心配している。

どんな時でも、どんなに冷たい当たり方をしていても「助けて」の一言で守ってくれる兄。

でも、兄は自分(美琴)を他人を頼ろうとしない。

全て1人でが抱え、終わらせようとする。

私はそんな兄……湊に密かに尊敬を抱きながらも悔しい思いをずっとしていた。

あの日、あの事件で距離を置いてしまってからも、私のその気持ちだけは変わらない。

「ほんと……何やってんのかしら。」

「お兄様……どこへ行かれたんでしょう。」

私の呟きに反応し、黒子も心配の声を出す。

「どうせ、またふらっと出てきそうだけど。」

「お姉様……。」

「だって、考えてもみなさいよ。つい最近よ?私の前にまた出てきたの。」

そう、湊は兄は数年前に姿を消した。

私の前から、家族の前から何事も言わずにいなくなった。

それが今年になってふらっと目の前に現れた。

背が伸びて、更にかっこよくなって戻ってきた兄。

最初はどうして消えたか問いただそうと、ずっと話しかけていた。

だが、それもすぐに終わった。

なぜなら、私が兄を嫌った理由を思い出したから。

そして何よりも、湊が変わってしまったから。

湊はあの時……。

『お前には関係ないだろ、じゃあな。』

この時、気づいてしまった。

兄に頼って欲しくて、同じ景色を見たくて強くなって横に立てるようにLevel5になろうと努力した。

目の前から消えた理由を知りたくて、強くなれば一緒にまた過ごせると信じていた。

でも、それは私の夢でただの願いだった。

兄はそう思っていなかった。

私の幻想に過ぎなくて、あの頃の兄はもういない。

目の前にいるのは御坂湊(全く別人)だと気づいてしまった。

「もう、私の大好きだった湊はいないのよ。」

「…………。」

その時だった、遠い方から名前を呼ぶ声が聞こえた。

「御坂さーん!」

「白井さーん!」

「遅かったですわね、初春に佐て………え。」

近づいてきたのは会う約束をしていた初春さんと佐天さん。

でも、見るからにおかしい所が一つ。

「えーっと……佐天さん?」

「あはは……水たまりで濡れちゃいました。」

苦笑しながらスカートの裾を持つ佐天さん。

「あー、うん……。着替えよっか。」

私と初春さんは苦笑し、黒子は呆れて常盤台学園の校内へ向かった。 
 

 
後書き
物凄く遅くなりました……!そして、題名を変えてすみません!!
新生活に慣れず毎週のテストに明け暮れてました……
少しだけ美琴の気持ちが出ましたね、次回は湊は出るのやら……。
次こそ、ちゃんと更新しよう…!
では、次回予告!は無しですw(前回まとめて書いてしまったからとばそう)


次回『常盤台狩り1』 
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