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~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force

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告白

 
前書き
告白って聞くとドキドキしませんか?
甘酸っぱいというか、青春というか・・・おっさんの戯言ですね、すみません。
本文の告白とは意味が違います。
どちらかというと、カミングアウト・・・でしょうか。 

 
部屋に戻るとユウナが入口ドアの前で待っていた。
・・・ん?どうしたんだ??
ユウナの横顔は少しだけ憂鬱そうな表情をしていたが、俺の姿を見るとすぐにいつもの笑顔が戻った。
そして「ダイスケ君!ちょっとだけお話してもいいかな?」と唐突にそんな事を訊いてくる。
さていったいなんだろう?・・・すごく気になるけど立ち話もなんだし、とりあえず俺の自室に入ってもらう事にした。
「さぁどうぞ艦長殿!」俺は恭しく自室へ導いた。
「もう、ダイスケくんからかってるでしょ?」ユウナのほっぺがぷくっと膨れてる・・・眼福。
おっと、そんな事考えちゃいけないな!

中に入ってユウナをソファに座らせると俺は冷蔵庫から果実水を取り出して、ユウナに勧めた。
「ありがとう!」ユウナはのどが渇いていたのか、もらった果実水をすぐに飲み干してしまった。
「それで、俺に話って?」とりあえずどんな話なのか早く知りたかったので、ユウナに促した。
「ダイスケくん、何か隠し事してるでしょ?」え?え?え?なんで急に??
「いやいやエロ本とか全然持ってませんよ?ええ。えっちい映像とかもストックないし!」俺は不覚にも何で急にそんな事を訊かれたのかわからずプチパニックに陥った・・・・。
「やだ、そんな事じゃなくてね!ていうか、ダイスケ君・・・・やっぱりそういうの持ってるの?・・・・あ、男の子だものね!それはそうだよね!」
「いやいや、ほんと持ってないから!ほんとだから!」ちょ、待ておま!何この展開?!

「ふふふ・・・ダイスケ君、はぐらかさないで!別にえっちい本とか映像見てても許してあげるから、でも今はそのことじゃないよ。」
「おお、許してくれるのか・・・って俺ホントに持ってないから!!・・・ってそのことじゃなかったらどんな事かな?」図らずも俺がえっちいものを持っているという前提になってしまったが、いったい何を訊きたいのかわからなかったので、ユウナに訊き返した。
「私が言ってもいいけど・・・出来ればダイスケ君・・・自分から話して欲しいかな。ヒントはね、柏が丘南小学校。」あれ?!え?!なになに?!俺の行ってた小学校・・・まさか・・・いや、ありえない?
そんなバカな!俺の中身が地球人だと知ってるのタケルちゃんしかいないはずだが・・・・。
でも小学校・・・北条ゆうな?そんな子いたかな?あれ?いやいやいや・・・まさか小鳥遊優奈?!

・・・そう、俺はたった今、完全に記憶の彼方に消え去っていた一人の幼馴染の女の子を思い出した。
俺の一家が住んでいた団地の同じ階に住んでいたその子は、親同士が仲が良かった事もあり、良くお互いの家を行き来していて、しょっちゅう、というか3歳頃からほぼ毎日一緒に遊んでいた。
まぁ、子供同士では良くある事、『わたし大きくなったら、だいすけくんのお嫁さんになってあげる!』みたいな事もあったのは微笑ましい記憶だな・・・。
俺も子供ながらに人付き合いが悪くて、小学校に上がっても友達と呼べる存在は一人もおらず、近くにはいつも通り、ただ一人幼馴染の優奈がいるだけだった。

・・・だが、そんな日々は唐突に終わりを告げた。
優奈の父親が転勤で中東のK共和国へ海外赴任となり、一家全員でついていくことになったのだ。
彼女の一家が旅立つその日、俺はショックやら面白くないやら、色々不快な感情がないまぜになっていて家に閉じこもってしまい、とうとう最後の言葉を交わす事もなく別れてしまった・・・。
だって、それが永遠の別れになるなんて、思いもつかなかったし、何事も考える余裕が全くなかったんだよ?

・・・そう、彼女の一家はその後着いた先の国でしばらくは平穏無事にすごしていたみたいだけど、半年後に突然勃発した隣国S首長国との戦争に巻き込まれて、行方不明になってしまったんだ・・・。
完全な奇襲攻撃だったらしく、多くの在留日本人が犠牲になったそうだ。
優奈の家族は死体も見つかってないし、死亡も確認されていないので、行方不明とされているが、多分殺されたのだと、俺も俺の両親もそう思って諦めていた。

当時のニュースを大人になってからも見る機会があったけど、他にも犠牲になった外国人はいたらしいが、犠牲になった外国人で突出して多かったのは日本人だったらしい。
K共和国の在留外国人の中で一番多かったのはアメリカ人だったのに、かの優秀な情報機関のおかげで半日前に攻撃を察知して、ほとんどの在留米国人を力技で引き揚げたらしい。
他の欧州の国なんかも同じくらいのタイミングに情報機関が察知して、在留自国人を引き上げたので損害は軽微だったそうだ。

まぁ、その頃の日本は海外で活動できるような情報機関を持っておらず、状況を把握したのはその隣国S首長国軍が既にK共和国首都を包囲、総攻撃を開始した頃、そして各国で報道の第一報が入った後にやっとという致命的な平和ボケだった。
しかも、現地の外交要員たちはそれでも日本は今回中立国なのだから、攻撃されるはずがない、話し合えば余裕をもって避難が出来ると考えて在留日本人には家を出ないように言っていたが、首都陥落後彼らの希望的観測に反して日本人はことごとく捕縛され、運の悪い者はその場で射殺または斬首、かろうじて運の良かった者でもその後殺害の様子をカメラに収めて放送する為だけに生かされ、ほんの少し寿命を延ばすだけという結果であった。

罪のない自国民が次々に殺害される様子を報道で見た当時の日本人は皆最初は驚愕と恐怖をおぼえ、その次にこの理不尽に対する抑えきれない怒りの衝動を生じさせた。
それまでは、日本の敗戦で幕を閉じた第二次世界大戦以前の軍部独裁と他国侵略に対する反省と言う名目で、日本に領土的野心を持つ隣国C人民国に同調する野党が中心となって反戦活動を激化させて、戦後再編された国土防衛隊という準軍事組織の弱体化推進や日本独自の情報機関の設立などを邪魔をしてきたのだが、怒れる国民に対して全く支持を得られず影響力も小さくなり、間もなく情報機関設立や国土防衛隊の国土防衛軍への改編と能力向上そして紛争発生地域への派兵と自国民保護の法案が即座に可決されることになった・・・。

そしてその3年後国連決議を受けた米国を中心とする多国籍軍によるK共和国解放作戦とそれに続くS首長国逆侵攻作戦に日本は多数の派兵を行い、自国民の仇討とばかりに先端兵器を駆使した容赦ない攻撃で快進撃を行い、瞬く間にS首長国は攻略された。

結果、各地に散らばった元政府軍がテロリストと結託してあちこちでゲリラ戦を仕掛けてくるという泥沼にはまり、俺がこっちに来る頃は、増派で一気にカタをつけるか、撤退するかで米国との調整や国内の世論も大割れに割れて混乱してたな。
これを見ると日本人って長期戦に向いてない!って思ったな。

・・・ああ、話がだいぶそれてしまった!
てゆうか、ユウナ、いや優奈が急にびっくりするようなカミングアウトをするから思わず現実逃避しちゃったよ!
うーん、やっぱりそういう事なんだよね?いったい何があったのか優奈に訊かないとな。
でもその前に・・・「久しぶり?かな優奈。」俺は自然と涙がこぼれてしまった・・・。
「やっぱり?!うん、大輔くん、こっちじゃずっと会ってたけど久しぶり、なんだよね。」優奈も大粒の涙をこぼしながら震える声でそう言ってくれた。
お互い涙して見つめあう二人。

そして果実水を飲み干したグラスの中の氷が溶けてカランっという音が部屋の中に響いていた・・・。
 
 

 
後書き
ええ、初期にフラグを立てたような気がしましたので、回収に参りました次第です・・・。
転生者3人目・・・だと?(タケルちゃんは転移だし、ダイスケは憑依かも知れないですが)
2017.7.13コッソリと一部修正しました。 
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