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安い生命だが

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第三章

「来るな」
「引き付けて爆撃隊から離す為にな」
「それで来るか」
「ああ、ただあくまで狙いはな」
 ブルームはここでだ、ジョーンズと話しつつコクピットから下を覗いた。そこには爆撃隊、Bー17フライングフォートレスの大編隊がいる。
「あいつ等だ」
「爆撃隊か」
「あいつ等を一機でも多く落とさないとな」
「工業地帯に爆弾を落とされるからな」
「連中はやっぱりあいつ等を狙うさ」
「それも必死にだな」
「ああ、しかも俺達は一人だ」
 ブルームはこうも言った。
「乗ってるのはな」
「撃墜されても死ぬのは一人だな」
「ああ、しかしあいつ等は違う」
 爆撃機の方はというのだ。
「何人も乗ってるからな」
「一機撃墜されるとな」
「パラシュートで脱出出来るにしてもな」
「何人死ぬかだな」
「だからな」
「一機撃墜されたら何人もか」
「死ぬんだよ」
 そうなるというのだ、爆撃機が撃墜されたなら。
「だから出来るだけな」
「ああ、あいつ等は守らないとな」
「それが俺達の仕事だしな」
 だから『護衛』なのだ。爆撃を行う彼等を護るのが仕事だ。
「いいな」
「ああ、何としてもな」
「護るぞ」
「出来るだけ死なせない為に」
「そうしような」 
 二人はこう話してだ、そしてだった。
 いよいよドイツ本土に入った、するとすぐにだった。
 下から高射砲の砲撃が来た、そのうえ空には。
 ドイツ軍の戦闘機達が来た、ブルームは自機のレーダーに移った彼等を確認してからジョーンズに言った。
「そっちも確認しただろ」
「三時の方からな」
「ああ、来てるぜ」
「百機いるな」
「多いな、今回は」
「いいな、指示に従ってな」
 中隊長のだ、四機で一個小隊四個小隊で一個中隊だ。
「動くぞ」
「わかってるさ」
「連中を追っ払うか叩き落としてだ」
 そのうえでというのだ。
「爆撃隊護るぞ」
「仕事やるか」
「そして連中に仕事をさせてだ」
 爆撃、それをだ。
「そしてな」
「生きて帰ろうぜ」
「あいつ等と一緒にな」
「よし、じゃあやるか」
 二人は強い声で話した、敵は来たが数は自分達の方がずっと多いのでこのことに安心もしてだ。そしてだった。
 戦闘に入った、ドイツ軍の戦闘機隊は爆撃隊に向かうが。
 彼等の上からだ、アメリカ軍の護衛戦闘機達は襲い掛かった。
「いいか、相手はメッサーシュミットだ」
「109ですね」
「そうだ、運動性能はこっちの方が上だ」
 中隊長がブルームに答える。 
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