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レーヴァティン

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第一話 夢幻の世界へその十四

「背の高い赤毛の」
「赤毛で」
「鋭い目をしたな」
 その目のことも話してきた。
「あんたみたいに黄色い肌の兄ちゃんだよ」
「アジア系か」
「アジア?そこも違うからな」
「ここはアジアじゃないですか」
「アジアでも日本でもないさ」
 その両方共違うという返事だった。
「言っておくがな」
「そうですか」
「とにかくな」
「とにかく?」
「さっき来た兄ちゃんは今は教会にいるよ」
「村の教会に」
「ああ、トール神のな」
「トール」
 その名前を聞くとだ、久志もすぐにわかった。それで男に言った。
「雷神か」
「おお、あんたも知ってるか」
「有名な神様ですよ」
 男に自分の知識から答えた。
「巨人と戦って農業の神様でもある」
「その日本とかアジアでも有名かい」
「はい、まあ」
「そうか、あんた同じトール神の信者か」
「いえ、俺仏教徒ですよ」
「仏教?」
「仏様を信じる」
 極めて簡単にだ、久志は男に仏教のことを話した。
「それで悟りを開く」
「悟りって何だい?」
「まあ欲を捨て去るってことですか」
「何か欲しいとか思わないことか」
「そんなところです」
 久志は少し違うかもと内心思いつつ答えた。
「大体」
「面白い宗教みたいだね」
 男は久志の言葉を聞いて述べた。
「欲とか」
「宗教はそれぞれですから」
「そうだな、そういえば東の方の島にあるかな」
「東の?」
「ああ、この国は島になってるんだよ」
「あれっ、そうなんですか」
「空に浮かんでるな」
 そうした島だというのだ。
「それで東の方にもな」
「空に浮かんでる島があって」
「そっちの方はこっちと全然違ってな」
「別の国ですか」
「そうだよ、っていうかこっちもあっちも色々な国があるんだよ」
「分かれてるんですね」
「そうだよ、とにかくな」
 男は久志に話していく。
「そんな面白い宗教ははじめて聞いたな」
「そうですか」
「ああ、それでトール様の教会にな」
「もう一人いますか」
「こっちに来た人がな」
「多分そいつは」
 赤髪で鋭い目と聞いてだ、久志は察したついた。それが誰かを。それで男に案内されたうえでだった。彼は村の端の方の教会に行った。 
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