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ナンパは危険

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第六章

「一気に、だからな」
「挿入されたのかよ」
「そこから駅弁かよ」
「ああ、この世にいる感じじゃなかったよ」
 そこまでだったというのだ。
「もうな。地獄だったぜ」
「快楽はなかったんだな」
「全然な」
「俺は地獄を見たんだよ」
 小泉は憔悴しきった顔で述べた。
「もうな。本当にな」
「で、御前はネコになっただけか?」
「入れられてるだけか?」
「それで終わりだったのかよ」
「俺はこれまで前だけじゃなくて口も後ろも経験あるさ」
 伊達に遊んでいる訳ではない。彼はどのコースも知り尽くしていた。
 だがそれは攻める方だ。攻められる方になってしまいだ。
「けれどそれは女の子限定だよ」
「男はないか」
「そうなんだな」
「一方的にな。ガンガン突かれてな」
 現実となった悪夢を思い出していく。
「振られて。持ち上げられて」
「凄いな」
「激しかったんだな」
「もうな。腹を突き破って口から出て来るみたいだったぜ」
 あまりにも巨大なものに攻められてだ。そうならんばかりだったのだ。
「この世の地獄だったぜ」
「快楽はないってか」
「禁断の味は」
「禁断の味!?何だよそれ」
 これが小泉の返答だった。
「そんなの全然なかったぜ」
「で、地獄を見たんだな」
「それも一晩中」
「朝になってようやく終わったさ」
 彼にとっての悪夢の宴、それはだというのだ。
「えらい絶倫でな。とにかく何度も何度も復活してな」
「御前の中に放ち続けたか」
「そうしてきたか」
「ゴムもローションもなしでな」
 そのままだ。ダイレクトにきたというのだ。入れるのも放つのも。
「凄かったぜ。一週間後ろが開きっぱなしでな」
「で、今まで学校を休んでたのか」
「肉体的にも精神的にもダメージが酷くてか」
「御前は復活できなかったんだな」
「とても」
「今日何とか復活できたさ」
 ようやくという。まさにそうした口調だった。
「いや、本当に酷い目に遭ったよ」
「御愁傷様だな」
「それはまた壮絶だな」
「もうな。ナンパはな」
 ここで誰もが懲りたと言うと思った。流石にそうした目に遭えば普通の人間はそうなるからだ。何しろ一晩の地獄の宴だ。この経験は大きい。
 だから皆そう思った。しかし小泉はこう言うのだった。
「相手をよく見てやるさ。慎重にな」
「おい、それでも止めないのかよ」
「そこまで壮絶な目に遭ってもか」
「地獄を見たのにそれでもか」
「まだナンパするのかよ」
「当たり前だろ。女遊びは俺のライフワークだよ」
 人間としてどうかという発言だが彼はあえて出した。
「絶対にな。これ位じゃな」
「懲りないんだな」
「そして続けるんだな」
「要はもう二度とあんなのに引っ掛からないといいんだよ」
 まさにその通りだが普通こうした状況では言わない言葉だった。
「だから俺はやるぜ」
「やれやれだな。全くな」
「まあ精々頑張れ」
「それでもう二度とそんなのに引っ掛かるなよ」
「気をつけろよ」
「気をつければいいだけだからな」
 本当にだ。小泉は懲りないまま言っていく。
「後ろが完全復活したらまた行くさ」
「ああ、痔主になったんだな」
「それでも懲りないのは凄いな」
「ある意味尊敬に値するよ」
「全くだぜ」
 周りはまだ懲りずに女遊びをしようという小泉を見て呆れていた。彼は確かに地獄を見た。しかしそれにめげることはなかった。あくまで女を求め動き続けるのだった。


ナンパは危険   完


                        2012・6・26 
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