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レインボークラウン

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第四百十五話

               第四百十五話  弟も
 弟の信也が牛乳を飲んでいるのを見てだ、美樹は彼に問うた。
「最近毎日飲んでるの?」
「うん、そうだよ」
 信也は牛乳を飲みつつ笑顔で答えた。
「美味しいからね」
「美味しいから飲んでるの」
「それがどうかしたの?」
「いや、背を高くしたいとか身体にいいとか」
「それ僕も先生に言われたけれど」
 弟は小二らしいあどけない声で姉に答えた。
「その前に牛乳って美味しくない?」
「まあそれはね」 
 言われてだ、美樹も否定せずに頷いて返した。
「味も好きよ」
「というか美味しいから飲むんじゃないの?」
 信也は美樹にこうも言ってきた。
「そうじゃないの?」
「牛乳を?」
「牛乳でも何でもだよ」
 それに限らずというのだ。
「何でもそうじゃないの?」
「そう言われると」
「お姉ちゃんまずいもの食べたり飲んだりしないの?」
「まずいとね」
 それはとだ、美樹はまた信也に返した。
「それは私もね」
「飲みたくないよね」
「ちょっとね」
「僕はまずは美味しいから飲むんだ」
「そうなのね」
「うん、それも毎日ね」
「そういえば信也の牛乳を飲む量って」
 美樹はここでこのことに気付いた。
「私より多いかも」
「いつも喉が渇いたら飲んでるから」
「お茶よりもね」
「だからそうかもね」
 信也も否定しない、そして姉と話をしつつ今も牛乳を飲んでいる。その飲み方はやはり美味そうである。
「お姉ちゃんより飲んでるかも」
「それだけ飲んだら」
 ここで美樹はこうも言った。
「背が高くなるかも」
「そうなの?」
「うん、けれど信也はそういうのは考えてないのね」
「美味しいから飲むんだ」
 信也の返事は変わらない。
「僕はそれだけだよ」
「そうよね」 
 美樹も納得した、そし信也が正しいとも思った。


第四百十五話   完


                2017・1・27 
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