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リアルバウトハイスクールD×D

作者:空風雷人
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第二話『兵藤家の人々』

 
前書き
イッセーの家庭環境の説明のような回です。 

 
 我が家は古い武家屋敷で、裏手には土蔵と小さいながらも剣道場が建っている。隣に幼なじみが住んでいた頃は、一緒に道場内でチャンバラごっこで遊んだりしたもんだ。

「──という事があったんだ」

「いや、帰って来ていきなりそれだけを言われても意味がわかんないにゃ」

 帰宅した俺は、居間でテレビを観ていた飼い猫兼居候の真っ黒い雌猫──『黒歌』を相手に話しかけていた。

 黒歌は数年前に怪我をして路上で行き倒れていた所に偶々遭遇して、俺が保護をした〝()悪魔〟だ。
 黒歌は『猫丞』という希少な妖魔種族で、とある悪魔に強引に〝眷属〟にされていたが、なんやかんやあって〝はぐれ悪魔〟になっていた。黒歌に〝悪性〟を感じなかった俺は、そこで〈国際警察機構〉のエキスパートである家の父さんに頼み込み、父さんの同僚である超一流の〈魔術師〉の手によって元の種族へと戻してもらったのである。

 〈国際警察機構〉──世界各国での治安維持を勤める団体。というか警察。民衆の平和を守り、規律による正義を守り、全世界の人々の命を守る。
 戦闘に関しても、〈神器所有者〉などの〝異能力者〟や〝英雄の子孫や転生体〟が所属者に多く、強大。

 ──閑話休題。

「──大方、今日のデートでの話だろう?」

 と部屋の脇でお茶の用意をしている学生服姿の青年が会話に参加する。

「そうそう」

「俺の名をくだらん洒落に使うな」

 ツッコミを入れながらテーブルに人数分のお茶を置く青年。

 居候その二、名前は『曹操』。
 年齢十九歳。〈中華三大国〝大魏〟〉の王家直系の子孫であり、俺の母方の親戚にあたる男(三大国王家自体が親戚関係だが)で、才能豊かな文武両道の実力者。
 俺と曹操が出会ったのは、お互い小学生の頃。当時の曹操は留学生ながらその覇気と実力とカリスマ性と若気の至りで、所謂〝番長(ガキ大将)〟として君臨していた。一般生徒だった俺は最初は彼らとはこれとして接点を持たず、時折ちょっとした小競り合いで小者を蹴散らしていただけだった(※イッセー個人の認識です)が、やがて曹操にライバル認定され、なんやかんやあって、中国において三大国王家共同主催で一年に一度催される武術大会〈赤壁〉にお互いに出場する運びとなり、決勝戦で対戦して限界バトルを叩きつけ合った果てに俺が優勝をしたのである。──兵藤一誠、十歳の冬であった。
 その後、曹操の方は本国に戻って心機一転で一から鍛練を積み重ねている内に〝神器〟が発現する結果を齎した。
 現在の曹操は新人ながら〈国際警察機構〉のエキスパートであり、幼少期から学んだ李氏八極拳を極め、総ての〈神器〉の頂点に立つ〝最強の神滅具〟にして〝神殺しの槍〟──〈黄昏の聖槍〉の所持者だ。
 そんな曹操が我が家に居る理由は、曹操の小学生時代の家が既に無くなっていたので、配属先の先輩である家の父さんが厚意で下宿させているのだったりする。

「まあ、真面目に言うと──かくかくしかじかって訳さ」

「まるまるうまうまにゃん」

「ふむ。〝神器所有者の命を狙った堕天使〟とは、イッセーも面倒な輩に言い寄られていたものだな」

「そう言う曹操は、小学生の時には同級生の〝男〟から言い寄られていたよな?」

 何でも、その男は名前を逆さから読んではいけないらしい。

「うわあああああっ!? 〝ヤツ〟の事は思い出させるなイッセー!」

 頭を抱えて喚く曹操。どうやらこの事は治療不可能なトラウマらしい。

「もちつけ」

「おら、餡ころ餅が食べて~にゃん♪」

「やかましい!」

 大声を出した後、溜め息を一つ吐いて気持ちを落ち着ける曹操。

「──で、明日はグレモリーからの呼び出しか」

「まあな。序でだから黒歌の妹の様子も見ておくよ」

「イッセー、感謝するにゃん!」

 実は黒歌には生き別れの妹が一人居て、現在はリアス=グレモリーの〝眷属〟になっている。

「──あっ、『桃園モモ』にゃ!」

 テレビの映像に気がついた黒歌の声につられて、テレビに目を向けると──画面には俺の母さんが歌を歌っている姿が映っている。
 母さんは、現役女子高生でも通じるその若作りの容姿で、現在は『桃園モモ』という芸名で芸能界で特撮ヒーロー番組の美少女主人公やアイドル歌手として活動をしているのだ。正体を知っている身からすると立派な詐欺である。
 因みに母さんは現在、国許に居る二人の妹分を巻き込んで、三大国鼎立初期に中国に実在した伝説の歌姫三姉妹『役満☆姉妹』に肖った『桃園☆姉妹』の結成を目論んでいる。

 ──テレビは『桃園モモ』の歌が終わるとCMに入った。

「これ録画?」

「リアルタイム生放送にゃ」

「あ、そうだイッセー。先輩からの伝言で、帰ってきたら道場に顔を出すようにとの事だ」

 曹操が思い出したかのように、父さんからの伝言を伝えてきた。

「了解。曹操、伝言サンキュー」

 俺は冷めたお茶を一気に飲み干して立ち上がり、道場へと向かった。

 剣道場──。
 俺が道場の中に入ると、稽古着姿の父さんが中央の床の上に正座をして佇んでいた。
 家伝の〈兵藤流闘殺法〉は、若い頃の父さんが『異世界(俺のとは別の)に魔王退治の為に片道召喚(帰還は自力で、幾つもの世界を経て)されて、冒険をしながら実戦の中で編み出した武術』で対魔物用の技が多数を占めている。武器は剣を基本に槍・斧・鞭・ブーメランなどの他にも色々な物を扱う。
 稽古は、朝は基本の鍛練で曹操らも参加しているが、夜は身内のみで秘伝の伝授を行っている。

「──父さん、ただいま」

「──うむ、遅かったな?」

「帰ってきたら丁度テレビの生番組に母さんが出演していてさ、黒歌達と一緒に観てた」

「なにぃっ!? しまった、見逃した!」

 〝orz〟のポーズでうなだれる父さん。

「ろ、録画は……?」

「さあ? 確認してないや」

「絶望した!」

 ──グダグダな雰囲気をほったらかして、奥で俺も稽古着に着替えて来る。
 俺と父さんは気持ちを切り替え、道場中央付近で右手に木剣(ひのきの棒)、左手に木製の円盾(お鍋のフタ)を装備して左半身に構えて対峙する。

≪いつ見ても変てこな光景だな≫

≪おだまりアインシュタイン!≫

≪俺はドライグだ! というか、そんな古いCMネタなんて誰が分かるんだ!?≫

 実は俺にも何のCMだったか分からない。

 ──稽古風景は、これ以上は秘伝なのでカット。
 終わったら風呂に入った後、自分の部屋に戻って寝た。 
 

 
後書き
イッセーの家は衛宮邸を意識しています。 
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