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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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序章~全ての始まり、守護者の刃~
第1章誕生!最強ライダー編
  第20話『お前の居場所』

これまでの、仮面ライダーディロードは─
記憶を一度失い、戦えなくなった電王の替わりに戦う雅。しかし、電王は再び立ち上がり、世界の希望の力で、クライマックスフォームに変身した。

ゴツンッ!
雅が外に出ると、頭に何かが衝突し、落下した。
「一体、何がぶつかったんだ?」
雅が落下物を拾い上げると、蟷螂のような機械であった。
「これは、ゼクター?だが、蟷螂のゼクターなんて聞いたことないが…」
雅は言う。このカブトの世界では、仮面ライダーはゼクターと呼ばれる昆虫型アイテムで変身する。しかし、雅の言った通り、ゼクターはカブトムシのカブトとダークカブト、クワガタムシのガタック、スズメバチのザビー、蜻蛉のドレイク、蠍のサソード、そして飛蝗のホッパー。蟷螂のゼクターは存在しないのだ。雅が考察していると、
「君、大丈夫か!?」
相応な年齢の男性の声が聞こえ振り向くと、厳つい顔の男性と、その部下らしき女性、そしてガタックの適合者である加賀美新がいた。
「はい。大丈夫ですが。それにしても、これはゼクターのようですが─」
雅がそう言うと、
「君、ゼクターを知っているのか!?」
男性はそう言う。
「はい、僕は凪風雅。仮面ライダーディロードとして、世界を護る旅をしています。」
「そうだったのか。私は田所修一。よろしく頼む。」
雅は自己紹介をし、厳つい顔の男性、田所も名乗る。
「田所さん、そんな簡単に教えて大丈夫ですか!?」
加賀美はそう言うが、
「大丈夫です。皆さんは記憶に無いと思いますが、以前にもこの世界に来たことはあります。勿論、田所さんがネイティブだということも存じております。」
雅はそう言う。この世界には二種類の怪人がいる。一つはワーム。7年前に渋谷隕石に乗ってやって来た侵略者。そして、もう一つがネイティブ。35年前にやって来て、人類と共存することも考えている種族。
「なんで田所さんがネイティブだって事を!やっぱり、信用ならないな!」
雅の言葉で、加賀美は不信感を抱いていた。
「話がそれましたが、この蟷螂のゼクターは一体?僕の知りうる限りには、蟷螂のゼクターはいないのですが、試作のゼクターでしょうか?」
雅は田所に質問する。
「やはり、マディクスゼクターが選んだだけのことはあるな。」
「マディクスゼクター?」
「そうだ!それはZECTで新規に開発していた試作段階のゼクターだ。」
田所がそう言うと、どこかからか、ワームのサナギ体が複数現れる。
「雅君、このマディクスプレートに、ゼクターをセットして変身するんだ!」
田所は雅に逆刃の剣を渡す。
「解りました!ありがとうございます!変身!」
[henshin  change!mantis!]
雅はマディクスプレートにマディクスゼクターをセットして、仮面ライダーマディクスに変身する。
「ハァッ!」
マディクスは刃でワームサナギ体を攻撃する。
「クロックアップ!」
[clock Up!]
マディクスはクロックアップを発動する。
クロックアップを発動した仮面ライダーは、常人を遥かに超える速度、音速での行動を可能とする。
「どうだ!」
サナギ体でクロックアップが行えないワームを相手にマディクスは猛攻撃を仕掛け、
「ライダースラッシュ!」
[rIder slash!]
マディクスはマディクスプレートにマディクスゼクターを押し込んで必殺技を発動。ワームサナギ体を横一文字に両断し、ワームサナギ体を全滅させる。そして、
[clock over!]
クロックアップが解除され、戦闘が終わるすると、マディクスゼクターは火花を散らし、爆発。雅の変身は強制的に解除されてしまう。
「そんな!」
雅は驚く。
「やはり、負荷がかかったか。済まない雅君。未調整の物を使わせて。」
「こちらこそ、負荷がかかる戦いをしてしまいました。」
「いや、いいんだ。あの程度の戦いで負荷がかかるなら、改良の必要がある。特に、カブトとの戦いを想定するならば。」
「カブトと、ですか…」
「ああ、今、カブトは我々が開発した対ワーム用の警告ペンダントの配布地点を襲撃し、破壊している。我々も反対したのだが、上は認めてくれなかった。」
「やはり、そうでしたか。そのはずです。あのペンダント、以前に一度成分を調べてみましたが、35年前に落下した隕石の一部が埋め込まれていました。それが何を意味しているか、田所さんなら解るはずです。」
「何ッ!?そんなことをすれば隕石の影響で人間がネイティブになってしまう!上は何を考えているんだ!?加賀美、岬、すぐ本部に向かうぞ!雅君、貴重な情報をありがとう!」
田所はそう言うと、加賀美達を車に乗せて去ってしまう。
「しまった!加賀美さんからガタックゼクターの写真をもらうのを忘れていた!」
雅は一人、そう言っていると、灰色のオーロラが出現し、ライジングイクサが現れる。
「お前が仮面ライダーディロードだな。その命、神に返しなさい!」
ライジングイクサはそう言うと、イクサライザーで雅を攻撃する。
「今度は名護さんか!仕方がない。また元の世界に帰さないと!」
【CHANGE RIDE-LOST DRIVER-】
雅はディロードライバーをロストドライバーに変え、装着する。
〔スカル!〕
「変身!」
〔スカル!〕
雅はロストドライバーにスカルメモリをセットし、仮面ライダースカルに変身する。
「さあ、お前の罪を数えろ。」
スカルがポーズをとると、
「俺に罪があるはずがない!罪はお前だ!」
ライジングイクサは問答無用で攻撃してくる。
「やはり、名護さんは相変わらずか。」
スカルはライジングイクサの攻撃を躱しながら間合いを詰め、
「凪風流、桜龍!」
スカルメモリで強化された身体能力を駆使して膝蹴りでライジングイクサを打ち上げ、もう片方の脚でジャンプ。再びライジングイクサに膝蹴りを放ち、
「これで決まりです!」
〔スカル!マキシマムドライブ!〕
スカルマグナムにスカルメモリをセットし、必殺技を発動する。
「何ッ!?」
その状況にライジングイクサは驚くが、スカルの放つスカルパニッシャーを受け、現れたオーロラに戻される。
「これで一段落か。」
雅は変身を解除する。
「また、鳴滝の仕掛けて来た仮面ライダー…。僕を支援していた鳴滝が何故?とにかく、一度戻ろう。クロックアップの中で戦えないと、最悪この世界で死ぬ危険性がある。」
雅は帰路に向かう。

「みんな、この世界で僕が勝てる可能性は今の所限りなく低い。そこで、また別の世界で力を集めてくる。フェイトは、仮面ライダーのみんなと協力してワームと戦ってくれ。フェイトのソニックフォームなら、仮面ライダーのスピードに付いていける。任せていいか?」
「うん。こっちは大丈夫。雅こそ、一人で大丈夫?」
「ああ。こっちは慣れている。それじゃあ、頼んだよ。」
【ATTACK RIDE-WORLD WARP-】
雅は、フェイト達に一通り話した後、ワールドワープで別の世界に移動した。
雅が移動してから数日間の間、フェイトはドレイクとともにワームの殲滅を行い、数を限りなく減らしていった。そして、
「っぐ!?」
フェイトが帰って来ると、そこには血だらけの雅がいた。
「大丈夫、雅!?」
チームディロードのメンバーは雅に寄り添う。
「ああ、なんとか。ディロードライバーのリカバリーシステムと、僕の持つ回復魔法を最大限に駆使したからなんとかなった。」
雅はチームを安心させる。
「雅さん、その左手の痣は何ですか?」
圭一は疑問に思う。
「これか。これか礼呪と呼ばれる、『Fate/zero』の世界でサーバントと呼ばれる霊体を使役する為の物だ。おかげで、死にそうにはなったけど、クロックアップに追い着く手段は手に入った。」
雅は、一通り説明する。すると、
「そう言えば、漁港内の辺りで黒いカブトムシの仮面ライダーを見たんだけど…」
フェイトはそう言う。
「本当か!このままでは僕が着く前にカブトとダークカブトの戦いに決着が着いてしまう!悪いが、すぐ行くぞ!」
【ATTACK RIDE-WARP-】
雅はワープのアタックライドで漁港に向かった。

雅が漁港に着くと、既にカブトとダークカブトは戦闘を始めていた。
「遅かったか。始まった以上、僕達には観ていることしか出来ない。」
雅がそう言っている間にも、二人のカブトはカブトクナイガンのクナイモードで打ち合っている。
(きっと奴のことだ。俺がハイパーゼクターを取り出した時点でクロックアップを行うはずだ。それなら、俺は奴がクロックアップするのに合わせてプットオンして守りを固めればいい。)
カブトは考える。
(きっと、天道はそう考えているんだろう。なら、僕は今のまま攻めれば大丈夫だ。)
ダークカブトもそう考えて落下するカブトに追い撃ちをかけようとする。
(それが奴の考えか。なら、予定通りに行くか。)
カブトは更にダークカブトの動きを読み、ライダーフォームからマスクドフォームに戻り、ダークカブトの攻撃をガード。そして、
「ハイパーキャストオフ。」
[hyper cast of!  change!hyper beetl!]
カブトはハイパーフォームに変身し、同時にパーフェクトゼクターを取り出してダークカブトを切り裂き、
[Kabuto power!thebee power!drake
power!sasword power!all zector combine!maximum hyper typhoon!]
対応する全てのゼクターを集結させて必殺技の斬撃、マキシマムハイパータイフーンをダークカブトに放ち、ダークカブトの変身を解除させる。
「ひより、居るんだろう。」
カブトも変身を解除し、ダークカブトと供に去った妹、ひよりを呼んだ。
「天道、いつから気づいていたんだ?」
ひよりは天道に聞く。
「妹のことくらい、分からない俺じゃない。」
天道がそう言うと、遅ればせながら加賀美がやって来る。
「漸く、皆さんが集まってくれました。」
そして、加賀美の到着に合わせて雅が出てくる。
「雅、いつからいたんだよ。」
「二人が戦っている頃には、いました。」
加賀美の質問に雅は答える。
「加賀美、そこにいる子供は何だ?」
「天道、こいつは試作段階のゼクターをテストしてくれた子で、世界を旅しているって言っていた。」
「初めまして、天道さん。僕は凪風雅と申します。お願いがあります。ひよりさんがどちらの世界を選ぶか早く決めないと、この世界の全てが崩壊してしまいます。なので、決めてもらう為にこのカードに願いを込めて下さい。加賀美さんと、日下部さんも。ひよりさんの為に、僕に協力して下さい。」
雅は、天道と日下部、二人の総司と加賀美に白紙のカードを渡し、
「集え、世界の願い!」
カブトの世界のワールドホープを完成させて、ディロードライバーにスキャンする。
【WORLD HOPE-KAMEN RIDER KABUTO-】
「ひより、俺とあいつ、そろそろどっちの方に行くか決めるんだ。」
「天道、何でボクにそこまで…」
「お前は俺の大切な妹だ。だが、妹の決断を、俺は否定しない。だから、選んでくれ。ひよりは、まだ迷っている。俺には解る。」
「天道…。まったく、何で天道は素直になれないんだ。」
ひよりは、そう言いながら天道の方に歩いて行く。
「ひより、行かないで!ひよりがいなくなったら、僕の居場所は、僕はどうすれば!」
日下部はそう言う。すると、
「おばあちゃんが言っていた。自分が信じる場所に、自分の居場所はある。誰かに定められず、自分がここだと思う所に居れば、世界は楽しめる、ってな。」
天道はそう言い、雅に一礼だけしてひよりをカブトエクステンダーの後部座席に乗せて帰って行き、雅も、カブトの世界を後にした。

ソウルライドの確認を終え、既に雅は絵巻を広げていた。
「次の世界は響鬼の世界か。」
絵巻には、無数の妖怪に向かう、三人の鬼が描かれていた。
to be continued


次回、仮面ライダーディロード
オロチを鎮める為に協力する雅。そしてついに、あの男が現れる。次回『静まるオロチ』天の道を往き、総てを司る。 
 

 
後書き
時間軸は43~47話が混在した感じと思って下さい。


新ライダー紹介
仮面ライダーマディクス
凪風雅がマディクスゼクターをマディクスプレートにセットして変身する蟷螂のマスクドライダーシステム。不完全変態を行う蟷螂の特性が反映され、 マスクドフォームを介さず直接ライダーフォームに変身する。

ライダースラッシュ:マディクスゼクターを深く押し込み、横一文字で敵を切り裂く。
ライダーカッティング:マディクスプレートを二手に分け、内刃で相手を刺して引き裂く。劇中未使用。
 
新カード紹介
ロストドライバー:ディロードライバーをロストドライバーに変化させて、スカル、ジョーカー、エターナルに変身する。
仮面ライダーカブト(ワールドホープ):ひよりにどちらの総司に付くか決断させる。


カブトの世界は都合(ましゃく)によって、元19話『蟷螂の刃』と元20話『お前の居場所』を一つに合わせました。もしかしたら、こういったケースが、間尺の都合でいくつか出来るかもしれません。 
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