| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

吸血姫はアホ可愛い!・ω・`)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

33話「ロリへの愛は世界を救うか?⑤~ロシア軍の罠~」

ネタバレ伏線ver
http://suliruku.blogspot.jp/2017/02/33.html


後ろから追撃してくるロシア軍の装甲車両は五台ほど、既に誘導兵器の類は使い果たし、銃弾をパラパラっと撃ってくるだけだ。
装甲車両に大ダメージを与える装備ではないが、このまま追撃され続けると不測の事態が発生しそうである。
こういう丘だらけの場所だと、先回りして待ち伏せする事は容易いだろう。
地の利は……この付近に駐屯して訓練しているロシア軍にあるのだから。
この場でロシア軍が一番大事にしているのは、人命の損耗よりも、残り少なくなりつつある弾薬のはずなのに、容赦なく銃弾を安売りパーゲンセールのごとく、俺たちにプレゼントしてきているのがその証拠だ。
ひょっとしたら、俺たちの進行方向に待ち伏せ部隊の類がいるのかもしれない。

「白真珠っー!もっと大量の氷を出しまくれー!!」

「わかりましたー!……あの、お師様の魔法なら一撃なのでは?」

「うむ、爆裂弾を強化して撃てば、一撃で装甲車両ごとドカーンだな。人の魂めがけて突き進む仕様にすれば、見えない範囲にいる奴らも倒せるぞ」

「なんでやらないんです?」

「軍隊というか……国はな……面子を潰されると、とんでもなく面倒くさい事になる奴らなんだ。ここは最小限の被害を与えて逃げ切った方が得だ」

「確かに……このままだと振り切れそうですよね」

車の後ろを見て白真珠がそう言った。ロシア軍の得意な事を思い出してみよう。
大昔なら物量任せにどんどん損害度外視で、前進しまくるのが得意な国だ。だが……20世紀の第二次世界大戦で2000万人が死亡し、人口構造に大打撃を受けている。その後、ソ連崩壊で紙幣が紙切れと化すイベントが発生して、価値観が崩壊して精神病になり、人口の回復が全く捗っていない。
経済が悪いから給料も安く、軍人の質は劣悪だ。薬中、アル中、前科者がたっぷり。
武器の管理もしっかりしてないから、たまに武器庫が爆発して問題になっている……ああ。そうだ。
悪徳都市にロシア軍が駐留していない理由が、これだった。しかも、武器まで横流ししまくりで、銅バッジ冒険者が使っている武器の大半はロシア製という有様である。
20世紀と22世紀のロシア軍に共通する事があるといえば……物量任せの火力戦が大好きだ。

「お師様ぁー!追ってくる車が止まりましたよー!」

「んっ……?まさか……この地点に俺たちが追い込まれた……?」

俺の嫌な予感が当たりそうだ。いや、だか、ありえないだろ……。
ダンジョン世界で火力戦なんて……ロシア製の兵器の利点は火力が強い事ぐらいだが……空に擬態している食の神にでも当たったら大変だぞ……。
横に爆風が飛びやすい爆弾ならともかく、30km先に届く長射程の砲弾による火力戦とかリスキーすぎて、アホじゃないとやらないし、そうなると……恐ろしく短い射程の砲弾による攻撃だろうか?
ロシア製の兵器の利点を丸ごと消してしまうような酷い組み合わせだが、周囲に鉄の塊をバラまく榴弾なら命中率が良いだろう。

ドォーン!ドォーン!ドォーン!

砲弾が発射する音が響いた。嫌な予想は中途半端な形で当たっていたようである。
前方の空間から砲弾が空高く飛び上がり、俺たちがいる真上へとやってきて――空中で破裂した。大量の鉄の矢を搭載した榴弾だ。貫通力が高いから、装甲車両でも辛すぎる。呪文の詠唱も間に合わない。無数の鉄の矢が恐ろしい勢いで向かってくる。この装甲車両は上部の装甲は薄そうだから、余裕で貫通するだろう。俺に出来る事は――

「車ごと凍らせろぉー!」白真珠に命じるだけだ。

「えいやっー!」躊躇なく白真珠は魔氷剣を装甲車の屋根へと突き刺し、大きな氷の塊の中へと、俺たちを閉じ込める。鉄の矢はグサッグサッと氷へと突き刺さり――最悪な事が起きた。

「空に……矢が刺さってる……」

……榴弾は360度、全ての方向へと破片や矢をバラまく兵器だ。ダンジョン世界は横に広がって大きいのだが、場所によっては50m上くらいに、食の神の体の一部があったりする。
この食の神は――攻撃されたら反撃を行う化物だ。激怒している最中は擬態行為をやめ、全身を真っ赤に光らせて敵を襲う。
偽物の空は消え、真っ赤な大量のおぞましい触手が堕ちてきた。正直、魔族とか、魔王とか、そんな奴らよりやばい。魔王をラスボスとするならば――食の神クッキングマスターは裏ボスともいえる最凶の存在なのである。

「なんか落ちてきましたよぉー!お師様ぁー!?」

俺たちがいるダンジョン世界は――この化物の巨大な胃袋の中に過ぎない。

---

(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)物騒すぎるだろ!?このダンジョン世界!?

(´・ω・`)核爆弾使ったら、その場にいる全員ごとむしゃーむしゃーの刑じゃよ

(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)(長射程の武器、使い辛いにもほどがある世界だな……) 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧