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インフレーション

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第三章

「そっちも頑張って下さいね」
「わかりました」
 富山は間後人に確かな顔で答えた、仕事のことについては。
「そうさせてもらいます」
「このままいけば本当に」
「アニメですか」
「なるかも知れないですよ」
「信じられませんね」
「いや、それじゃあです」
「この路線で、ですね」
「これからも行きましょう」
「ライバル出して主人公は努力して」
「友情も確かめ合って」
「勝利ですね」
「この路線で行きましょう」
 路線は完全に決まった、そしてだった。
 富山は雑誌での作品人気トップを独占していった、するとアニメ化が実現してだ。彼はまた驚いた。
「今度はアニメですか」
「おめでとうございます」
 間後人は富山を銀座の寿司屋に連れて行ってだ、酒を勧めながら満面の笑みで話した。
「ここまできましたね」
「嘘みたいですね」
「嘘ではないです」
「本当のことですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「これから監督とか声優さんとか決まります」
「声優さんも」
「声優さんでどの役を誰がやって欲しいとかは」
「いえ、とても」
 声優の話になるとだ、富山は間後人に仰天して言葉を返した。
「そこまでは」
「考えられませんか」
「アニメ化だけでも信じられないのに」
「そうですが、ですが」
「アニメ化はですか」
「決まりましたから」
「それで、ですね」
「そちらも動いていきます」 
 アニメ化、それもというのだ。
「連載の方もやっていきましょう」
「それじゃあ」
「はい、今の路線のまま」
 富山に酒、大吟醸を勧めながらの言葉だ。富山にとっては銀座の寿司もこの酒も信じられないものだった。
 アニメは実際にはじまった、その中で。
 間後人は富山にだ、打ち合わせのファミレスでこんなことを話した。
「アニメ化して作品自体をです」
「作品をですか」
「長く続けないといけなくなりました」
「ずっとですね」
「はい、ですから主人公をです」
 このキャラをというのだ。
「もっと強くしましょう」
「今でかなり強いですが」
「いえ、まだ気功とか使ってませんね」
「それを使わせますか」
「そうしましょう、気を放つと格好いいですしね」
 コマとしての見栄えもあり、というのだ。
「インパクトありますから」
「そうですね、それじゃあ」
「はい、今度は気功です」
「それを使いますか」
「それでいきましょう、勿論次のライバルキャラもです」
 前のライバルとは違い、というのだ。
「気を使うんです、そしてこれからは」
「気をですね」
「誰もが使う展開にしましょう」
 それこそというのだ。
「それで行きましょう」
「全員が気を使う」
「はい、もうとことん派手にです」
「気の打ち合いですね」
「主人公は修行の末に、命を賭けて」 
 そこまでの展開にしてというのだ。
「とんでもない気を繰り出す様にするんです、ただ」
「ただ?」
「あんまりにも強い気なので」
 こういう設定にして、というのだ。 
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