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力なんていらない

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第二章

「父さんの血だな」
「兄さんはそうで」
「御前はだ」
「顔もお母さんそっくりだし」
 マーガレットは母を見た、黒髪を後ろで纏めアメリカにいるとは思えない見事な桜色の着物を着ている。その顔はまだ若く確かにマーガレットそっくりだ。
「完全にお母さんの血ね」
「貴女は忍者のサラブレッドなのよ」
「代々の血を受け継いだ」
「そう、だから勘もよくて力も強くて」
「瞬発力もあるのね」
「新体操ならね」
 このスポーツならというのだ。
「もう凄いわよ」
「凄い選手になれるっていうのね」
「ソフトでもそうでしょ」
「だからレギュラーなのよ」 
 所属している部活でも、というのだ。
「一番ショートよ」
「いいポジションね」
「守備はオジー=スミス、バッティングはイチローって言われてるわ」
 バッティングの方は彼女が日系人だからである。
「凄いって」
「本当に凄いわね」
「けれど色々言われてるの」
「能力が凄いって」
「超能力者みたいにね」
「忍者は超能力者じゃないわよ」
 母もこのことは断った。
「言っておくけれど」
「あくまで忍者ね」
「普通の人間の能力で妖術も使わないわよ」
「それでもよ」
 けれど、とだ。マーガレットは母にむっとした顔で言った。
「そう言われてるのよ」
「超能力者じゃないかって?」
「テレパシーとかサイコキネシスとか使えるとか」
「使えないわよ」
 それは絶対にとだ、母はまた言った。
「それはね」
「そうよね、実際私も持ってないし」
「そうした能力はね」
「けれどよ、忍者の能力はね」
 まさにというのだ。
「凄いから」
「鍛錬と血脈の結果ね」
「本当に馬の掛け合わせみたいね」
「人間でも同じだからね」 
 それでというのだ。
「貴女の勘や身体能力は凄いのよ」
「そうなのね」
「本当にソフトじゃなくて新体操とか陸上してみたら?」
 母は結構本気で勧めた。
「そうしたら?」
「それでトップ選手にっていうのね」
「ええ、それならね」
 まさにと言うのだった。
「オリンピックに出られるわ」
「だからオリンピックはね」
「興味がないの」
「ないわ」
 実際にとだ、マーガレットは母に答えた。その顔はむっとしたままだ。
「私はウェブ小説家になりたいの」
「それなら何処かのサイトで発表したら?」
「時間が出来たらね、今はちょっと忙しいから」
 それは出来ないというのだ、ウェブ小説家としてのデビューは。
「忍者になるつもりもオリンピックもね」
「興味ないのね」
「全く、こうした能力はね」
 どうにもとだ、マーガレットはここでぼやいた。 
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