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サイカイのやりかた #毎週投稿

作者:銀P
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第5章 VS???
  14 事件の終結と、さらなる危機

 
前書き
「13話のあらすじ」
飛行機に潜入し、理子のフォローに入るはずが、なぜかアリアと戦うことになってしまう。勝てるはずもなく負けを認める瞬間、理子の助けでなんとか逃げ延びることに成功した。

*アニメの部分はすこし簡単に書きました。
矛盾問題があります 

 
必死に体を動かし、ようやくといった感じで自室に戻ると、ベットに倒れ込んだ。
ああ・・全身がビリビリする・・。
飛行機が上昇していくのを感じながら、ベルトを閉めなきゃと思うが体を全く動かせない。結局ベッドの上でそのまま動くことができなかった。

『ぽーん、当機はいまから~、雷雲を迂回して飛行してまーす。まあ、皆さまが余計なことをしなければ何も心配いりませーん!』

しばらく倒れこんでいると、理子のアナウンスが流れた。確かに外から雷鳴が聞こえる。今日こんな天気悪いって言ってたかなぁ。
武偵殺しである理子が今度はきちんと変成器越しに話しているが、話し方が雑になってきているぞ理子りんよ。どうしたの。

俺はその声を聴き、そろそろかと体を無理に起こす。アリアから逃げるのが俺の目的ではない。アリアとキンジのコンビVS理子の戦いに邪魔が入らないようにするのが、俺の任務だ。借金のためにも実行しなきゃな。

俺は、携帯を取り出し時間を確認をしつつ、立ち上がり、そして軽く辺りを見渡す。そして

「あり?ない・・・」

あるものがなくなっていることに気づいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Riko side

「はあ、予定とはずれちゃってけどまあしょうがないよねぇ」

一階のバーに向かいながら手元の画像を確認する。あのセコ男が部屋を出るところが映っていた。・・無理しなくてもいいのに。本当によくわからない男を仲間にしたものだ。金に執着があるだけのEランクかと思えば、意外と使えたり、使えなかったり。本当によくわからない。しかもあいつは頭の回転がかなり速いときもある。この事件で理子があいつにしようとしたことに、あいつ自身が気づいていてもおかしくないだろう。もし、気づいてたら・・あいつとの縁も終わり、かな。

歩きながら、あいつとの思い出・・と呼べるほどではないが、記憶を思い出し、くすっと笑ってしまう。ほとんど喧嘩みたいな会話ばっかりだったけどちょっと楽しかった、かな。楽でいいんだよね。ほかの男たちと違って変に理子にかっこつけてこないし。いや、ある意味欲丸出しだだったけど。本当にウザいときも何度かあったけど。

でも、やっぱり楽しかったのかな。

「あんたはもう『こっち側』じゃなく、いつもの日常に戻りな。平和な、日本に、さ」

独り言を呟きながら螺旋階段を降りて一階のバーにたどり着いた。・・さて、ここからが本番。アリアとキンジを倒して、理子が理子であることを証明する。・・誰の力も借りず、一人で。そして終わらせるんだ、理子の代々伝わる因縁を!

大きく深呼吸をして、そして、引き金を、引いた。

『あーあー。アテンションプリーズ♪でやがります。当機はただいま飛行機強奪(ハイジャック)されました で やがります。なお乗客どもはおとなしくしておいて やがります。ただし武偵は例外で やがります。 相手してほしければ一階のバーに来るで やがります』

かかってこいオルメス。今日こそ理子が、お前を殺す!


ーーーーーーー


「そう、あのフランスの大怪盗アルセーヌ・ルパン。理子はそのひ孫・・決着をつけよう、オルメス!!」

「理子!行くわよ!!」

パンッ

アナウンスの後、アリアとキンジはすぐバーに現われた。理子がCAの格好を脱ぎ捨て、素顔を見せ、本物の武偵殺しであると証明して見せ、そして、アリア自身にも因縁があるということを分からせた上での戦いが始まる。お互いに2丁拳銃を取り出し、激戦を繰り広げる。何度も何度もアリアと銃弾を撃ちあい、ほぼ互角の中、キンジの介入で決着がついた。理子の負け・・と思った瞬間、乾いた音が耳に聞こえた。アリアが不意に理子に撃たれたのだ。

それを見ていた俺は理子の戦闘技術に魅了されていた。


そうか、あいつってアリアと互角に渡り合えるほどに強かったのか、さすが本物の武偵殺しさんだな。ニセモノとは大違い。

やっべ、理子とも一戦したくなってきた。

「あ、アリア!!」

撃たれたアリアが頭から倒れた。理子の勝利、と言いたいが、まだキンジがいる。このままキンジが戦うのかと思ったが、キンジはアリアを救うことを優先して撤退していく。
幸い、扉の反対側に隠れていた俺は気づかれなかった。セーフだ。

「あはっは!ねえねえ狭い飛行機の中どこへ行こうっての~!?あっははははははははは!!」

バーの奥から理子の笑い声が聞こえる。その笑いかた、さっきの俺みたいになってるな。きっと楽しくて楽しくて仕方ないのだろう。飛行機強奪(ハイジャック)なんて大きな事件にしてまでアリアと本気で戦いたかったんだろうし今にも勝ちそうなんだから。そんな理子を羨ましいと思うのは変だろうか。

「修一、いるんでしょ?出てきたら?」

「・・・よう、理子。楽しそうだな」

理子の呼ばれて扉の陰から姿を現す。その顔は本当にアリアと対峙した時の俺のようにニヤニヤと笑っていた。こいつ、中身は俺と似てるのかもしれない。残念な奴だな。

「お勤めごくろうさま。USBの方はアリアに邪魔されちゃったみたいだけど、まあ運が悪かったってことで大目にみとくよ」

「お、さんくす。ま、本来の目的のBGとかも今のところ誰も来そうにないけどな」

「くふ。BGがつくほどの貴族なんてほんとは乗ってないしね」

「・・・。」

・・ああなるほどね、おかしいと思ってたんだが、そういうことか。

俺の中で、ある仮説があったのだが、それが一気に解決した。まあ、こいつならありえない話ではないが、あまり信じたくはなかったのだけど



こいつは、俺が武偵殺しとしてアリア達に捕まるように仕向けていたんだろう。

いま思えば変な話だ。USB刺しに何十とある部屋の中のひとつに入ったらそこにたまたまアリアが来るなんて。本当はUSBなんてのはただのエサで、アリアと鉢合わせさせるのが目的だったと。そこで俺がアリアに倒されて捕ってる隙に襲撃してもいいし、もし俺が逃げ切ったらバーの近くで待機させ、変装した理子とアリアの決着がつき次第、自分は逃げ出して戦っていたのは岡崎修一だったということにすれば、理子が疑われることはない。仮に俺が上手くアリア達から逃げられたとしても、その後警察の調べで偽名で乗った俺が疑われ、逮捕されてしまう。

まあつまり簡単に言うと

俺を騙して、理子の影武者にしようとしたってことだ。


・・・ま、そうだよな。そんなことじゃなきゃ、俺みたいなEランクを仲間にしようなんて思わないだろうし、納得納得。

なるほどね。

「じゃ俺の仕事もここまでだな。もうこれ以上依頼は受けないぞ」

作戦がわかった以上、こいつの近くにいると危ない。またなにか俺を本物の武偵殺しにしようという作戦があるかもしれない。

「大丈夫。もうこれで最後。ここでアリアを倒して、理子が理子であることを証明するんだ」

・・?何を言っているのかさっぱりわからない。が、ここで深く聞いてもしょうがないだろう。アリアに執着する理由の一つのことだろうし、触らぬ神にたたりなし。もうこれ以上の詮索はやめとくのが自分の危険を回避する一番の手だ。

「じゃ、俺は豪華な風呂をまた満喫してくるわ。ま、がんばれよ」

俺はもう関わることはやめにする。こいつはコイツでいろいろと複雑な思いのなかで戦ってるんだ。一人で戦いたいならもう止めない。それに、仮説通りなら、こいつの望む通りのやり方に従ったふりしたほうがよさそうだ。



よさそう、なのだが、

なんだ、この喉に魚の骨が刺さったような変な違和感。


理子はそんな俺の変化に気づかず、俺の近くまでやって来て



「・・うん、ありがとね、しゅーちゃん


ばいばい」

そう言って手を振ると、俺の横を通り過ぎてアリア達を追いかけていった。
俺はそれを横に見て・・ため息をつく。
引っかかっていたものがなんだったのか、わかってしまったからだ。



そう、さきほどの俺の仮説が正しいとすれば、理子の行動にはおかしな点がいくつもある。またいろいろと矛盾しているんだ。そこがどういう意味になるのかは理解できていないが、まだ理子が裏切ったとは考えづらくなった。



それと


一瞬さみしそうな表情で手を振るこいつを、俺は見逃さなかった。・・いや見逃せなかったのか。なんで最後にそんな顔するんだよ。俺、正直お前の役に立ったとは思ってないんだが、というか別に、俺いなくてもお前一人でできたことばっかりだと思うんだけど。
それでも俺に対していろいろとしてくれたのはどうしてだろう?

俺は理子との出会いからすべてを思い返していた。一番最初に話しかけてくれて、Eランクの俺に友達として接してくれて、武偵殺しだって言った後から素の性格で接してきて、わがままでうるさくて、人使い荒くて、金を手玉にとって、でも楽しくって、面白くって、一緒にいて飽きなくて。

はあ、めんどくせぇ、これからは一人で出来るって言いたいんなら、あんな顔すんじゃねーよクソ。


俺はーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Riko side

修一と別れた後、アリアとキンジのいる部屋を見つけ侵入。HSSになっていたキンジとアリアのコンビと対決したが、二人のコンビネーションは流石といったところだろう。理子の2丁拳銃も飛ばされ、二人から銃を向けられてしまった。流石の理子でも、この状況はマズイ。一度撤退して体制を立て直そう。

あたしは背中に隠した飛行機を操縦するリモコンを操作し、隙を見て撤退。廊下をブラブラと移動しながら、次の作戦を考える。

(さてと、どうやって攻略しようかな・・?)

アリアとキンジのコンビは強敵だ。作戦もなく突っ込んでもさっきの二の舞。なら今度は・・爆弾を使って二人を離して一人ずつ対処しようか。それならなんとかならなくもない。


そう考えついたとき、通信機に連絡が入る。『イ・ウー』からの連絡通信だ。

「・・ちっ。余計なことを」

内容を読んで舌打ちする。『イ・ウー』はこれからこの飛行機にミサイルを撃ち込むらしい、発射まで残り10分後。退避することと書かれていた。発射まえにキンジとアリアを倒すのは無理だ。おそらく『イ・ウー』の上が理子じゃあの二人には勝てないと判断したのだろうが、余計なことをしてくれる。これで二人を倒しても、理子の目的は達成できないじゃないか。

やるせない気持ちがあるが、理子が今から連絡してもミサイルを止めはしないだろう。あの二人がミサイルごときでやられるとは思わない・・時間もないし、今回は諦めるしかない、か。

そう判断し、撤退準備を始めた。

バーに戻り、先に仕掛けておいた、壁に円を作るように設置された爆弾の状態を確認する。アリアとキンジを倒した後、爆弾を起動させ、外に脱出できるようにしていたのだが、問題はなさそうだ。あとはボタンひとつで連鎖的に爆発していき脱出できるだろう。

さてと、あとはキンジに一言言って帰るだけだ。キンジとアリアにはパートナーになってもらわないと困る。理子の目的のため、二人が仲違いするのはダメだ。

だが、すぐにキンジが来るはずもなく、理子は爆弾に囲まれた中に背中を合わせ、物思いにふける。これからのこと、これまでのこと、そして

(あいつ・・大丈夫、かな)

セコ男の顔が頭に浮かんできた。ハッと気づいて顔を両手で思いっきり叩き、その顔を頭から消す。あいつには酷いことをした。それはあいつ自身も気づいたんだろう、最後の会話中に目つきが変わったのをしっかりと見た。あれは理子を武偵殺しと証明したときの目と同じだ。あいつはああ見えて意外と頭のキレるやつだから気づいていてもおかしくない。だからこそ、もう普通に話すことなんてできないんだ。あっちも理子のこと大嫌いになったはずだろうし。・・こうやって思い出すことは、なんか未練があるみたいで嫌なのに。どうした理子。らしくないじゃないか。

アリアの母を武偵殺しとして警察に捕まえさせたときは、こういう感情は湧かなかった。ただ、アリアの目を確実に『イ・ウー』に向けるために仕向けただけ。それだけのために一人の人生を滅茶苦茶にすることすら厭わなかったのに。

いま、たった一人のEランクザコ武偵に嫌われることを嫌がっている自分がいた。

あいつ、結構ひどい怪我してたなぁ。やっぱアリアと戦わせるのは・・・ってまた。
いつの間にかまた考えてしまっていたことに気づきもう一度頬を叩く。どうして出て来るんだあいつは、もう、会うこともないし、あっちだって・・。

「狭い飛行機の中どこに行こうっていうんだいポリスちゃん?」

バーの入り口からキンジがHSS口調で入ってきた。アリアはいないが、恐らく飛行機の操縦席にでも向かったのだろう。ま、理子が動かしてるってわかったらそうするよね。


さてっと、しみったれたのももう終わり。敵も来たし、さっさと終わらせて帰ろっと!見たいアニメもあるしね!

「くふ、やっと来たねキンジ。それ以上は近づかないほうがいいよ」

「・・爆弾か!?」

「ご存じのとおり、私武偵殺しは爆弾使いですから」

スカートを持ち上げ頭を下げる。
・・・そういえば、あいつにアニメ教える約束してたっけ。あいつもなんだかんだ言いながらちょっと楽しみににしてたなぁ・・・ってああ、また・・

「ね、ねえキンジ、『イ・ウー』に来ない?この世の天国だよ。それに、『イ・ウー』には、あなたのお兄さんもいるし」

頭の中で何も考えないようにキンジとの会話に集中しようとした。本当にキンジをこっちに引き込む気はないが、話が逸らせるならなんでもいい。

「・・理子、あまり俺を怒らせないでくれ」

理子のほうはあのバカと喧嘩しまくってたからもう満腹でーす。・・・あっはは。ああ、もう駄目だ。いくらやめようと思ってもあいつのことが頭から離れない。・・はあ、わかった自分に素直になろう。あたしは・・

「じゃ、気が変わったら来てね。理子は歓迎するから。・・あと」

理子はいやだいやだと思いながら、金くれ金とうるさいキモいと思っていたあいつとの時間が、

けっこう好き、だったんだ。恋愛的じゃなくて、友達として。

必要と言ってくれたのはうれしかったし。それにあの奇想天外な行動にワクワクしたのも一つの要因だろう。

恋愛的には前にも言ったが、あそこまでセコイのはあたしもダメだ。一緒にいて息苦しくなりそうだし。デートとかしても面白くなさそう。・・ああでも意外とノリいいからアキバとか連れてってあげてもいいかもなぁ。それで理子の好きなアニメをたくさん・・て、そうだった。もう叶わないんだったなぁ。嫌われちゃったし。

・・けど

「修一に、ごめん、って伝えといて」

最後に、謝るくらいはさせてほしい、かな。こんなことに巻きんだこととかまあ色々と。謝るだけじゃもちろん許してくれないのはわかってるけど。

「修一って岡崎修一か・・!?いきなりどうしてーー」

「あ、そうだ!!最後に『イ・ウー』からプレゼントがあるみたいだよ!」

キンジに余計なことを考えさせないようにとっとと脱出することにした。
髪に隠したリモコンで、爆弾を起動する。耳元から爆発音が聞こえたと同時に体が傾き始める。

「お、たの、しみに~♪」

まあ、謝ることも本当はキンジ経由より自分で言った方がよかったんだろうけど、いまの理子が言っても聞いてもらえないだらうし、キンジからの方から言ってくれたほうがまだ聞いてくれそうだからね。

これでいいんだこれで。

と自分に言い聞かせながら、体が宙に浮いた





その瞬間ーー








「いや、自分で言えよバカ女」









「えっ・・ええ!?!?」
突如、キンジの横を通り抜けてきた修一が、もう落ちかけている理子に飛び込んできた。

とっさのことで思わず抱きしめてしまい、二人して上空に投げ出されてしまった。




ーーーーー




一瞬にして飛行機と距離が離れてしまった理子と修一。上空10000メートルで学生二人が顔を見合わせる。

「ちょ、修一!?なんでお前飛び込んできてんだ!?死にたいわけ!??」

「うっせーな!お前が俺のチケット取ってったんだろうが!俺降りたときどうしろっての、払う金持ってないわ!!」

「・・は、はあ!?」

確かに修一に疑いの目をかけるために、修一がUSBを差しに行った直後に部屋にあったチケットを取ったが、その後に戻しに行ったはずだ。恐らくいまもあの部屋の机の上に置いてあるはず。

というかこいつまさか、たったそれだけのために飛び込んできたのか!?あ、アホじゃない!?

遠くでミサイルが飛行機に当たった光を確認しつつ、バカを殴る。

「お前のチケットは部屋にちゃんと戻してんだよ!それで飛び込んでくるとか、なにやってんの!?」

「・・え、まじ?・・そりゃないぜー早く言えよー」

「お前ががここまで馬鹿とは思わなかったんだよ!!」

「おま、バカって言う方がバカなんだからな!!」

「子供か!!」

・・ああ、ほんと、どうしてこんな奴に声かけたんだろう・・計画が崩れていく。奇想天外過ぎてついていけない。それとどうしてこいつと話すと漫才風になってしまうのか。こんなことをどうして上空でやってる?・・まあ地上でもやりたくないけど。

でも、

こんな意味のない会話をまた出来たことに少し喜んでいる自分がいた。いまだけかもしれないが、それでも嬉しいと思ってしまった。

「なあ、落ちてってるけどどーすんだよ??パラシュート背負ってないじゃん?」

上空をかなりの速度で落ちながら、のんきに修一が呟く。
・・コイツ、アクシデント慣れしてきたな・・。普通の人間なら焦ってるとこだぞ。
ため息をつきつつ、諦めてこいつの話に乗ってやることにした。

「パラシュートはあるけど、理子のは一人用。修一も一緒につかまってたら速度落とせずに死ぬよ」

あたしのは個人的に作ったものだから試験もなにもしていないものだ。二人でなんて、やる前から無理に決まっていた。

「まじかよん。・・カメレオン」

イラッ

空気の読めないギャグを言う修一を殴り、

「はあ、わかった。・・・ほら、こっちに捕まりなよ」

修一が抱き着いてる状態じゃパラシュートを展開できない。修一を一旦体から離して手をつかむ。そして上空でくるりと一回転すると同時に服を思いっきり引っ張った。そうすることによって防弾制服が開き、大きなパラシュートに変化する。速度を減速したことによってグイッと体が引っ張られたように上に上がったような感覚が襲う。

「ちょ、おま・・おお!!」

「・・はぁ」

制服すべて、つまりスカートをも一つにしてパラシュートしているそのおかげで下着姿になるのが難点だ。修一が顔を手で隠しながらもその手と手のあいだから覗き見てる。・・・やっぱこいつも一応男子なんだな。いつもの理子にはときめかないくせに。

こいつと一緒に心中する気もないし、これひとつでなんとかしないと。

グイっと修一を抱きしめる。こうしないとバランスが取れないんだ。
修一が胸の谷間に顔を埋める形になった。

「お、おおおおお、おおおおおおおおおおお!!!!」

「もー、後でお金もらってやるからね!」

ちょっと顔が紅くなっているのはまああたしでもこれはちょっと恥ずかしい。修一と、かなり顔を紅くしているのを、感じてさらに恥ずかしくなって顔を上に上げ、気を紛らわす。

・・あ

「おい修一。やっぱ無理だ。このまま落ちたら死ぬぞ」

「おおおお、おおお?」

「聞けこのクソ童貞」

思いっきり頭を叩いて正気に戻す。こいつ、ダメだな。

「ふ、俺をバカにし過ぎだぞ理子。実はなこういうこともあろうかとあるものを用意してたんだ」

と、突然修一がドヤ顔でこっちを見てくる。・・え?


ーーーーーーーーーー


おれは女の子の柔らかさを本気で実感しながら、鼻血を出さないように意識を鼻に集中させる。や、やべえ、すげえ、エロい、すげえ!

「で?そのあるものってなんだよ?」

理子がそんな俺の努力も知らずに普通に聞いてくる。しかたない、見せてやろう。俺のパラシュート!


俺は上着を脱ぎ捨て・・ようとしたがまた買うのが面倒くさいのと勿体無いので腹に巻きつつ、防弾チョッキ姿になった。

「ふふん」

「・・は?」

ドヤ顔してみせるが理子はなにをしてるのか分からなかったようで首を傾けている。はっは。仕方ないな、見せてやろう俺の真骨頂!

「防弾シュート!パラシュート展開じゃああ!」

チョッキの胸部分にある紐をグイッと引っ張ると背中からパラシュートが勢いよく出てきて、さらに落ちる速度軽減する。最初に理子から報酬をもらった際に平賀からもらったものだ。普段はただの防弾チョッキなのだが、背中からパラシュートを出すことが可能な、正直今くらいしか使い時のない品物だが。

そういうものは、本当に必要な時に真価を発揮する。

「どうだ、俺(平賀の)真骨頂!!」

「へぇー便利だね。自分で作ったの?」

「平賀作品だ!」

ドヤ顔で理子を見るとジト目でこちらを見てくる理子。わかってないなこいつ。いま俺が使ってることがすげーんだよ。作ったやつがすごいんじゃない。

「ていうかさ、そっちにもパラシュートあるなら離れてよ。わざわざあたしに捕まらなくていーじゃん」

「あ、それもそうだな」

気持ち的にはもう少し女の子ってのを体感したかったのだが、そんなこと言われて離れない理由がない。・・いや、男子なら普通そう思うだろう?理子可愛いしさ。

「んじゃあ離れるけど、後で合流な。俺帰り道わからん」

「・・お前、本当どうしてついてきたの」

面倒くさそうな理子に頼み込んでようやくOKを貰うと、離れるのを惜しみつつ、手を離ー


ブチッ



「・・・すまん、千切れた」

「え、まじ?」

「まじ、です」

理子の体から手を離そうとしたその瞬間、防弾チョッキからパラシュートに繋がっていた紐が千切れ、パラシュートの部分だけがまるで風船のように飛んで行ってしまった。・・また不良品かよあのチビィ!!

「うわー、どーします理子。これこのまま落ちたらどーなんの?」

「・・あんたも理子も死ぬって、さっきも言ったでしょ」

「・・ええええ!?やだって!まだ金もらってないし死ねねぇよ!助けて理子えもん!」

「誰が理子えもんだ!あーもー!わかったからちゃんと捕まっててよ!!もうどこに落ちるかとか訳わかんなくなってるから、海に落ちないことだけを祈ってて!」



俺と理子はギャーギャー騒ぎながらも、理子の操作でなんとか、海には行くことなく、深い森の中へと落下していくことになった。


「「あああああああああああ!!」」

速度を無視して、だが。




 
 

 
後書き
普通上空で会話しようとしたら舌噛んで、下手すれば死にます。ですがそのまま落ちてくだけでは面白くないので、口パクもどきと手振りで会話しているということにしておいて下さい

矛盾点がありました。 
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