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ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)

作者:あちゃ
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第2章:リムルダール編
  1:身勝手な神々の黄昏

 
前書き
さあ始まりました第2章。
でもリムルダールの復興を始める前に、
原作には登場しない方の登場です。
 

 
(リムルダール地方)
リュカSIDE

(バチッ、バチバチ! ビリビリビリ!!)
きっと映画のターミネーターで時間移動をする時は、こんな感じに違いない。
強烈な光と激痛を全身に浴びながら、新たなる土地に出てきたイケメンビルダーな俺。

まだ体中が痛いけど、何とか身体を起こして周囲を見回す。
そこは薄暗い空が広がっている、悪臭の漂う沼地の中央だった。
「何だ、ここは?」

『目が覚めましたかリュカ?』
ん!? ルビスの声じゃない男の声が頭の中に響いた。
誰だ……聞き覚えがあるけど、この声は誰だ!?

『リュカよ……探しましたよ。私が分かりますが? マスタードラゴンです。貴方が本来住むべき世界の神、マスタードラゴンです』
「ヒゲメガネか!? 如何したんだよ……お前もアレフガルドの復興を手伝うのか?」
ルビスじゃ心許ないし、ヒゲメガネも協力ってか?

『そうではありませんリュカ。私は貴方を連れ戻しに来たのです』
「連れ戻すぅ? 何かその言い方だと、俺の意思でこの世界に来たみたいな感じなんだけど、違うからね! 魂を誘拐されたんだからね!」

『解ってますリュカ……ルビスの独断で、本来禁じられてる魂の勝手な召喚が行われたんです。私も知らぬ事でした』
そう言えばルビスが言ってたな……マスタードラゴンには黙って連れてきた的な事を。

「ふ~ん……あぁそう。じゃぁ俺はアレフガルドを復興しなくても良いのね?」
『当然ですリュカ! 貴方は私の創造した世界で天寿を全うしたのです。後は安らかに永眠するだけ。さぁ私と帰りましょ』

『待って下さいマスタードラゴン! 今リュカを連れて帰られては困ります。まだアレフガルドの一部を復活させただけ……このままでは直ぐに魔王軍が押し寄せ、復活したメルキドも再度蹂躙されてしまいます』

『それは私やリュカに関係ない事! 貴女の世界の事は、貴女の世界の中だけで解決なさい! リュカは私にとって大切な友人でもあるんですよ……勝手に魂を召喚するなんて言語道断! 以前は好意でリュカの魂と肉体を派遣しただけ……貴女の自由にして良い訳ではありません!』

おお……珍しくヒゲメガネが怒ってる。
相当やっちゃダメな行為だったんだね。
……にしても、ヒゲメガネが迎えに来るの遅くね?

「おいヒゲメガネ。貧乳女神に怒りをぶつけるのは勝手だけど、何で今更迎えに来た? 違法な魂の召還だったのなら、もっと早く現れろボケェ!」
一つの地方を復活しちゃったじゃねーか。

『申し訳ありませんリュカ。私が気付いたのが、大分時間が経過してからだったモノでして、まさかルビスが禁を侵してるとは……』
なるほど……筋は通るか。

『マスタードラゴンお願いです。やっとメルキドの人々は人間らしい生活を取り戻したのです。それなのに今リュカに居なくなられると、新生メルキドの人々がまた苦しんでしまいます!』
折角希望を手に入れたのに、またドン底に落とされるのは可哀想だな。
ピリンやチェリコにスラタンは幸せになってもらいたいし……

「おいヒゲメガネ。違法行為をしたルビスも悪いが、それに気付かないで出遅れたお前も悪い! 俺も何人か助けたい連中が出来てしまったし、ここで手を引く訳にはいかないぞ」
『リュカ……貴方の優しい心は理解しましたけど、このままアレフガルドで人生を終えると、ビアンカの魂とは二度と出会えなくなるんですよ。良いのですか、それでも?』

「えぇ~!? それは嫌だなぁ……でもピリン達も助けたいしなぁ……」
『そうですよねリュカ。ピリンやチェリコなどの美女を救いたいですよね! このリムルダールにだって居りますよ、美女が!』

そう必死に言われると帰りたくもなるなぁ……
でもエロエロな施設を造るつもりでいたしなぁ……
う~ん……迷うなぁ……

「そうだヒゲメガネ。アレフガルドを復活させてから、元の世界に戻るってのはダメなのか? もしくはビアンカを生前(若い頃)の姿で召還しろ!」 
『そんな我が儘が罷り通るわけないでしょう!』

「やっぱダメか……」
そうだよな……
無理だよな……

『リュカよ。貴方がこの世界に残ると言うのなら、私は貴方の意見を尊重します。しかし、現在も私がルビスの世界に干渉してる事は大問題なのです……元の世界に戻る事は出来なくなりますよ』
そう言われると心が動く……けども、新たなエロエロ人生の幕開けも、良いかもしんない。

「ここで帰っちゃうとルビスが泣くから……頑張ってアレフガルドを復活させるよ」
元の世界に戻ったら戻ったで、ヒゲメガネに扱き使われそうな予感もするし、今少しルビスの我が儘に付き合ってやろう。

『そうですかリュカ……良い友人でしたが残念です。もう二度と会えないなんて……』
その友人を何度も利用したクセに!
『ありがとうございますリュカ! それとマスタードラゴン!』
先刻(さっき)まで泣きそうな声だったルビスから、明るい礼の言葉が聞こえる。

だけど……この二人が喧嘩するって胡散臭く感じるね。
何か裏がありそうで……
やっぱり帰るか?

『リュカよ……貴方の心意気に敬意を表し、私からプレゼントをしたいと思います』
「プレゼントだぁ~?」
何だヒゲメガネ? 気持ち悪いぞ……普段の偉そう加減は如何した?

『実はプレゼントと言うほど大層な事ではなく、前世で使用してたドラゴンの杖の情報をお教えしたいと思います』
「ここに無い物の情報を教わっても意味ないのだが……解って言ってる?」
馬鹿かこのヒゲは!?

『そう言うな。凄く為になる情報だぞ』
「だから……ここに無いんだから、為になり得ないだろうに!」
何とか俺の居る次元に姿を引っ張り出してきて、たこ殴りにしてやりたい。

『ふっふっふっ……あの杖はなリュカよ。杖自身が認めた者の魂に呼応して、その者の呼びかけに従う杖なのだ!』
「……………は?」
何を言ってるんだコイツは?

『だから、心の底からドラゴンの杖を呼び出せば、お前の手元に時空を超えて現れると言ってるのだ』
「………………………嘘、マジでか!?」
本当か? 本当なのか!? そんなご都合主義が罷り通るのか??

『疑うのであれば試しなさい。心の底から杖を呼び出すのです』
そうだな……兎も角試してみよう。
ドラゴンの杖が手に入れば、素材集めも楽になるし最高だよね。

「よ~し……ドラゴンの杖よ~!!」
心の底から呼ぶと言うのがイマイチ解らなかったから、兎も角大きな声で杖を呼んでみる。
これで何も起こらなかったら凄く間抜けだよね、俺。

(ヒュン!)
だけど俺の心配は杞憂に終わった。
突如握り締めてた拳の中に何か現れる感触がしたと思ったら、久しぶりに見るドラゴンの杖を何時の間にか握っていたのだった。

「マジか!? 本当に杖が現れたぞ! (すげ)(すげ)ぇー!!」

リュカSIDE END



(時空の狭間)

何も無く真っ暗な空間に、金と銀の大きな光が浮かんでいる。
金色の光はマスタードラゴンの思念体。
銀色は精霊神ルビスの思念体だ。

2つの神が眼下に映し出されてるアレフガルドの一角を……そう、リュカが映ってる場所を見詰め会話している。
「本当に大丈夫でしょうか?」
「何ですか今更……リュカを利用する計画に同意したのはルビス、貴女ですよ」

「それは……私のアレフガルドが酷い状態になってしまって、他に解決方法が思い浮かばなかったからです」
「そうです……もう他に方法が無いのですよ」
眼下の映像に映るリュカのはしゃぐ姿を見た2つの神の反応は対照的だ。

あの男(リュカ)の実力は貴女も知ってるでしょう」
「それは知ってます……現にメルキドを復興させましたし」
マスタードラゴンは微笑ましく思い、ルビスは不安を募らせる。

「リュカは反骨心が強いですが、基本的には善人です。ですから、本来は禁じ手である方法を用いて彼を復活させ、切羽詰まった状態を知らしめる。そして女の涙に弱い性格を利用して反論を封じる……貴女の泣き真似は上手でしたよ(笑)」
「真似じゃありません! アレフガルドの現状を思ったら、本心から泣けてきたんです!」

「それはそれは……ですが、その涙の甲斐あってリュカは新生メルキドの人々と心の交流を深め、助けたいという気持ちを芽生えさせたんです。これこそが彼の善人気質。しかも反骨心を刺激して、私が『元の世界に帰りましょう』と言えば、アレフガルドに残ると言うのは解ってました。彼は良い意味でも悪い意味でもエゴイストです。自分の親しい人々が不幸になる事を無視できない男なのです」

「それも解りました。ここまでは上手く物事が推移してるって事も……ですがドラゴンの杖を与えてやる必要性がありましたか? あの男があの杖を使用したら、あの大魔王ゾーマですら勝てなかったのですよ!? 世界の復興をお願いしてるつもりが、気付いたら世界を征服してしまうかもしれませんよ?」

「それは絶対にありません。リュカは世界征服に微塵も興味がありませんから……もし少しでも興味があったのなら、私の世界は既にあの男に征服されてるでしょう。ですが現実にはグランバニアという一つの国を統治してただけで、他国への侵略も乗っ取りも行っておりません。今更こんな荒れ果てた世界を征服しようとは考えないでしょう」

「………だと、良いのですけど」
「リュカに乗っ取られるのが怖くて、彼から魔法の力を奪ったのでしょ? 些か遣り過ぎだと私は思いますが、その程度の安全策を実施するのは納得できます」

リュカに対する思いは対照的な二つの神……
それぞれの感情を顔に出しながら、眼下でドラゴンの杖を振り回してるリュカに視線を向ける。
どうやら杖の感触に満足したらしい。

「ほらほらルビス……リュカがビルダーとして活動を開始しますよ。()の土地の事を説明しておかないと、後でクドクド嫌味を言われてしまいますよ(笑)」
「はぁ~……マスタードラゴンは気楽で良いですね。本当はティミーを派遣してほしかったのに……」

「はっはっはっ、それは丁重にお断りします。彼は私の世界の勇者様ですからね」
爽やかに笑いながらマスタードラゴンは去って行く。
そしてルビスは溜息を吐いて、自らが創造したアレフガルドへ意識を向けるのだった。



 
 

 
後書き
まさかのヒゲメガネ暗躍。
リュカを思い通りに動かす為に、神様連合が手を組んだ!
如何なるリュカ!? 如何する神様連合!? 
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