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シークレットガーデン~小さな箱庭~

作者:猫丸
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-荒くれザンク編- 4




物語は一時中断しルシア達が隣町が入った頃にまでさかのぼる

ルシア達が隣町へ入った同刻、南の森で残酷で非人道的な男による地獄絵図のようなが行われていた――

「ギャハハハッ殺せ!殺しあえっ!!」

血のような紅い瞳を持った男が若い娘たちに向かって、刃先が鋭く切れ味抜群そうな剣で脅し、恐怖のどん底へ叩き落としている。
それはまるで地獄の様な光景であった。

「やっ、やめてくださいっ。ザンクさまっ。」

一人の町娘が勇気を振り絞り男に情けを求めたが男は

「あぁ?テメェ…オレ様に指図すんのかあぁん?」

「ひぃぃぃぃ……」

すがり寄って来た娘の左腕を切り落とした。男の凶悪な睨みに怖気づき、娘は尻餅をついて後退る…。
次に男はある姉妹の前に刃渡り二十センチはあろうかの刀を一本ずつ放り投げ

「おいっ、死にたくなかったら殺せっ!殺しあえっ!ギャハハハッ」
「そ、そんな……」
「オレ様は、兄弟恋人親子で殺しあう姿を見るのが大好きなんだよっ。ギャハハハッ」

ご機嫌に高笑いをしながら男は姉妹たちに剣を突き付け、早く殺しあわないとオレがお前らを殺すと脅し、殺しあうように仕向ける。


だが人は人の思うがままには動かない。姉妹の姉は静かに妹の頬をさすりかすれた小声で

「こんな…お姉ちゃんでごめんね?……でもあなたを殺すことなんてできない…だって、世界でたった一人の私の妹だもの」
「お…おねえちゃん?」

姉は自ら刀を手に取り、我が身の心臓へと高く突き刺し自分を殺す ということで妹を救ったのだ。

「キャァァァァ!!」
「おねえちゃーーーーーん!!」
「ギャハハハッ」

辺りには男の高らかな笑い声と沢山の娘たちの悲鳴と妹の悲しみの悲鳴が響き渡った。
妹はこの一瞬で絶望の淵に立たされ復讐の鬼と化した。そして……

「ウォォォォォォ」
「ひぃぃぃぃ」
「あの子どうしたのいきなり…」
「そんな…また化け物が…」

新たな感情も知性も持たない哀れな人形兵が誕生したのであった。
一分前までは美しき双子として町で有名だった姉妹。
それが たった一分後、姉は片割れの妹を守るために自らの手で自害し、妹は自分を守るために姉が死んだ哀しみと非人道的なあの男への狂おしいほどの怒りに身を焦がし男の玩具と化したのだ…。
どのような選択肢を用いても結局、彼女たちは男の玩具でしかないのだ……。


「いーねーいーねー。ギャハハハッ…オレ様を楽しませてくれる奴はすきだぜぇ。ギャハハハッ」
「ウオォォォン」

哀しみの声を上げる人形兵を眺めながらご機嫌に高らかに笑う男に向かって一人の娘が口を開く。

「……ヒドイ」
「あぁ?なんだとォ?」

先ほどまで高らかに笑っていた表情が一変し、凶器のような表情に変わる。
金髪ポニーテールで右目が赤、左目が金色のオッドアイの瞳を持った、白いワンピースの美しい少女に視線をやる。
またあの残酷な行いが行われるんじゃないかと、娘たちは一気に震えあがり少女へと視線が集まる。
ゆっくり男はケタケタ笑い剣を地面に引きずりながら少女に近寄よっていく。少女は動じず怖気づ、真っ直ぐ男の目を見つめ男もまた少女の目を見つめながら…剣を振り上げる。…が

「やめろ、ザンク」

突如、何処からか瞬間移動してきた あのヨナを誘拐した般若の面の紅き鎧の騎士が男の背後に一瞬で移動し剣を持つ腕を掴み、振り下ろそうとしたのをのを止めた。


「あぁ?よぉ、叢じゃねぇーか。オレ様に命令するたぁ、偉く出世したなぁ、あぁん?」

掴まれた腕を振りほどき、般若の面の紅き鎧の騎士を睨みつける。
般若の面の紅き鎧の騎士は男から離れ少女の方を向き低いドスのきいた男のような声で

「……その娘は殺すな。大事な“人柱”だ」

“人柱”と聞いて男は少し驚きそしてまた高らかに笑いだし、超ご機嫌そうに娘たちを見まわし剣を娘たちの方へと向け

「はぁ、こいつが?ギャハハハッじゃぁ、他の奴らは好きにしていいってことだよなぁ!?」
「ああ…。人柱さえ無事ならあとは好きに処分しろと。王の命だ」

好きに処分しろ…と聞いた娘たちは一気に絶望してゆき皆悲しみに満ちた声をあげる。

「そ、そんな…」
「えーん、おうちに帰りたいよー」
「ああ…どうか神よ。わたくし達をお救いくださいませ」

絶望に哀しむ娘たちを横に少女は

「……ひとばしら?…なんのこと?」

なぜ自分が人柱なるものに選ばれたのか
そして人柱とはいったいどうゆう意味なのかただ一人、男と般若の面の紅き鎧の騎士には知られないように考え込む。

何故ならひとつ選ばれるような心当たりがあるからだ…。
だがそれはできる事なら思い出したくのない記憶、いや自らの意志ではきっともう思い出す事すらできない、心を蝕むだけのウイルス。
それは遠い遠い昔と思いたいくらいな昔に 自らが犯した罪 封じ込めた過去の話 すべてが闇に落ちた禁じられた話--
 
 

 
後書き

【血に飢えたケモノ】

名前:ザンク
年齢:220歳
性別:男
種族:ドラゴンネレイド
職業:殺し屋

容姿:水色のワイルドヘアで血の様な赤い瞳。
   犬歯が生えている。

武器:剣
出身国:海の国
詳細:ドルファ四天王の一人。
残虐で血に飢え戦いを好むため、悪行を快楽としている。
とにかく非人道的な男。

 
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