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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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バレンタインデー

 
前書き
初めて催しに合わせたお話ができたような気がする。
先に言うとバレンタインは外国だと男性から女性にプレゼントをあげるのが基本らしいですね。ここでは日本流で行かせてもらうことにしましたが。 

 
シリルside

「じゃあ、私たち先に帰るね」
「レオンのことお願いね、シリル」
「うん」
「了解」

時刻はまだお昼を少し回ったほど。それなのに、何か用事でもあるのか早々に引き上げていく少女たち。それを俺とレオン、ラウルは静かに見送る。

「なんだ?珍しいな、あいつらがこんなに早く帰るとは」

それに疑問を抱いたリオンさんがさっきまでシェリアが座っていた場所、いまだに包帯だらけのレオンの隣へと腰掛けながらそう言う。

「何か予定があるみたいですよ」
「スターマンゴーのジェラート・・・か」

一人会話をする気がない奴がいるけどそれは放っておいて、今気にする点は少女たちがなぜこんなに早く帰ったのかが問題だ。しかも俺たちにはあまり早く帰ってくるなと釘を差していたし、どういうことなのかさっぱりわからない。

「サクラも連れていってたな、一体・・・あ!!」
「「「ん?」」」

別に住んでいるサクラまで連れていったことでますます謎が深まっていたようだったが、心当たりがあったような反応を示す。

「何かわかったんですか?」
「ジェラート?」
「それはもういいから」

いつまでも俺たちがスターマンゴーのジェラートを買ってこなかったことを根に持つレオンにチョップをしつつ、リオンさんの考えていることが何なのか聞いてみる。

「あ~・・・」

すると、彼は困ったような表情を浮かべた後、そっぽを向いてしまう。

「なんですか!?何かあるなら言ってください!!」
「ジェラート食べたい!!」
「レオンそろそろうるさいよ?」

青年の服を掴んでユサユサと揺らし問い質す。いつまでそのネタを引っ張るのかといった感じのレオンはラウルから引き剥がされ、俺もリオンさんから押し戻されてしまう。

「いずれわかることだから、今は知らなくてもいいんじゃないか?」

そう言ってはぐらかされてしまい、彼はこれ以上の追求を受けないためにも俺たちから離れていってしまう。

「なんだろ、一体」
「わかんない」
「気になるぅ」

何が何なのかわからないまま放置されてしまい、一体何事なのか気になってしまう。いずれわかるって、一体いつなんだよぉ。

















ウェンディside

「みんな!!準備はいい!?」
「「「オッケー!!」」」
「大丈夫よ」

エプロン姿で頭に三角巾を巻いて準備万端のシェリアの掛け声に私たちが返事をする。彼女の前にいる私たちも同じような格好をしており、キッチンの上には先ほど買ってきたたくさんのチョコレートが乗せられている。

「明日はバレンタインですからね!!」
「シリルたちにプレゼントしてあげないと~」
「なんで私までやってるのかしら?」

今日私たちがこんなに早くキッチンに立っているのは、明日がバレンタインデーだから!!バレンタインでは女の子から男の子にチョコを渡す日。だから、今年はシェリアたちと一緒に手作りのチョコレートを作ってあげようってことになったんです。

「まずは何をするの?」
「え?ウェンディ作ったことないの?」

チョコレートを箱から出しつつシェリアに何をすればいいのか尋ねると、ビックリしたような顔で視線を向けられる。シェリアは何度も作ったことがあるのかもしれないけど、私は実は今回が初めて。そもそもバレンタインにチョコをあげるという行為をあまりしたことがないし、あげるとしてもできているものをプレゼントしてたから・・・

「じゃあ教えながらやってあげるね。一人でも作れるように」

ニコッと笑みを浮かべるシェリアに思わず顔が赤くなる。確かにいつかシリルに一人で作ったものをプレゼントしてあげたいとは思ってたけど、ここまで私の考えを読まれていると恥ずかしくなってしまう。

「まずはチョコレートを細かく刻んで」

包丁を手に持ちトントンとリズムよく板のチョコレートを刻んでおくシェリア。その手際のよさに思わず見惚れていると、シャルルがあることに気が付いた。

「ねぇ、こんなに買って食べきれるの?」

言われてみると、私たちが買ってきたチョコレートの量は半端じゃない。チョコレートのお風呂にでも入ろうとしてるのかな?と勘違いされるくらいの量の板チョコが積まれている。

「大丈夫!!どうせレオンがたくさん食べるし」

そう言われ、全員が納得する。大食いの彼だったらこれくらいの量は問題なく食べられるだろうし、逆に言えばこれくらいの量がないと満足してくれないかも。ホント、なんであんなに食べてるのに太らないんだろう、羨ましいなぁ・・・

「じゃあ、次はウェンディたちもやってみて!!」
「うん!!」

疑問が晴れたところでシェリアからバトンを受け取る。普段から料理はするけど、いつもとはなんか感じが違うから緊張しちゃうなぁ。

「いい感じだよ、ウェンディもサクラも」
「ホント?」
「よかったです!!」

隣で同じ行動をしているサクラと一緒に褒められて嬉しくなる。そのおかげで、少しドキドキがわくわくに変わってきました。

「じゃあ刻んだのを湯煎しよっか」
「湯煎~?」

聞き慣れない言葉に首をかしげるセシリー。湯煎とはチョコレートをお湯で溶かすことだよね。それだと焦げないし、ゆっくり溶かすことができて安心だし。

「お湯が入らないように気を付けてね」
「なんか難しいわね」
「バランスが・・・」

刻んだチョコをボウルに入れて、お湯の入っているボウルにそれを入れて溶かしているんだけど、なかなか加減が難しい。強くするとお湯がチョコに混ざっちゃうし、弱いとうまく溶けないし・・・

「あ!!お湯混ざった~!!」
「ちょっとならそこだけスプーンで掬って捨てちゃって」

お湯が入ると固まらなくなるらしく、注意が必要らしい。それからなんとか湯煎を終えた私たちは、次の作業へと移る。

「次は生クリームを混ぜていきま~す!!」
「生クリーム?」

あとは固めるだけかな?なんて考えていたら、現実はそんなに甘くなかったらしい。生クリームを入れるのがチョコトリュフを作る基本らしいです。なので、溶かしたチョコレートに生クリームを少しずつ混ぜていきます。

「ヤバッ、順番間違えたかも・・・」

何か後ろから聞こえてはいけない言葉が聞こえた気がするけど、気にせず作業を進めていく。

「混ざったらスプーンで掬ってまな板に均等に分けていって」

それが済んだら一度冷蔵庫で冷やしてから次の作業に移るらしい。丸めながらセシリーとサクラがバレないようにつまみ食いしてるけど、見なかったことにしよっかな。私もちょっとだけ食べちゃってるし。

「じゃあ冷蔵庫に入れて冷やそうね」
「「「は~い!!」」」

まな板ごと冷蔵庫に入れて一度休憩に入る。その際、お話に夢中になって冷やしているのを忘れないように、タイマーをセットしてから話し始めます。

「そう言えばサクラは好きな人とかいるの?」
「いないですよ?」

シェリアがニヤニヤしながら、一緒にチョコ作りに励む少女にそんな質問をぶつける。どんな回答が来るのか楽しみにしていたのに、少女はさも当たり前だといった感じで即答していた。

「じゃあなんで参加してるのよ」
「ギルドの皆さんに作ろうと思ったから!!」

シャルルとセシリー、ラウルに対しては敬語ではなく対等に話ができるようになったサクラ。前までは三人にも敬語だったんだけど、そんなに年齢も変わらないし、仲がいいから話しやすくした結果らしい。

「そう言うシャルルとセシリーは?二人は好きな人にあげるの?」

すると、サクラが質問返しで二人の少女に問いかける。セシリーはともかく、シャルルはこういう催しには興味ないような気がしていたけど、今こうやって参加しているところを見ると、もしかしてという考えが出てきてしまう。

「私はウェンディが心配だから付き合ってるだけよ」
「僕は楽しそうだから~」

しかし、返ってきた答えは案の定といった感じのもの。シャルルはハッピーがいれば答えに詰まったかもしれないけど、今は彼がどこにいるかわからないし、セシリーはそもそも恋愛にまだ興味を示していない。だから、とりあえず私たちと一緒に作ることが目的でやっているんだと思う。

「でもウェンディとシェリアは本気よね」
「特にシェリアは張り切ってるもんね~」

悪者のような笑みを見せているシャルルとニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべるセシリー。標的にされた私たちは、恥ずかしさに思わず顔を赤らめる。

「だって・・・やっぱり笑顔になってほしいし・・・」
「いい加減気づいてほしいし・・・」

私は付き合うことができているからいいけど、シェリアに至っては相手側が彼女の気持ちに気付いておらず、何も進展が見られない。

「あいつからかってるだけとかじゃないの?」
「え~?そんなことあるかな~?」

実はレオンはシェリアの気持ちに気付いているけど、面白そうだから何もせずにいるのではないかと推測しているシャルル。でも、セシリーの言う通り彼がそんなことをできるとは思えない。気付いたら無神経に本人に直接聞いたりしそうだからね、あの子は。

「シリル先輩とそんな話したりはしないんですか?」
「さぁ?聞いたことないけど・・・」

彼と仲の良いシリルなら何か聞いているのではサクラが考えたようだけど、そんなことを聞いた記憶は一切ない。話しづらいとかの原因はあるかもしれないけど、シリルは意外と口が軽いからポロッと話してくれそうな気もするんだよね。

「でもリオンもレオンも鈍感でさ、ちょっとガッカリしちゃうよね」
「それは言えてるかもね」

頬杖を付きながら膨れ気味の天空の神は思わず本音を漏らす。彼女の気持ちが二人に向いているのは、両方が彼女の気持ちに気付かなかった結果であり、彼らが気付かないのは、少女の気持ちが自分のいとこに向いていると認識してしまうこの状況にもあると思うんだけど。

「結局あんたはレオンがいいの?それともリオン?」
「そ・・・それは・・・」

二人の間で揺らいでいるとは言っても、リオンさんよりもレオンとの方が一緒に過ごす時間が長いから、即答で彼の方を選ぶと思っていた。それなのに、彼女はモジモジしているだけでいっこうに回答をしようとしない。

「いい加減に決めちゃいなさいよ」
「え?レオンさんじゃないんですか?」
「シェリアの好きにすればいいと思うよ~」

もし二人にバレンタインチョコをあげようとしているのなら、それをやめて片方に絞った方がいい。そう思い提案してみるが、彼女から思いがけない返答が返ってきた。

「で・・・でも、二人には色々迷惑かけてるからそのお礼も兼ねてね」

所謂友チョコというものなんでしょうか、それを言われると私たちも無闇にダメとは言えません。むしろ私たちも色んな人に作った方がいいんじゃないのかとさえ思えてきます。

ピピピピピピ

「あ!!もう時間みたい!!」

そこで図ったかのように鳴り響くタイマー。それを聞いたシェリアは大急ぎで冷蔵庫の方へと逃げていきます。

「あの子、一生決められないんじゃないかしら」
「それは言えてるかも」

シェリアの恋は応援したいけど、それが成就するところまで行くのは至難の技だと思う。漏れそうになるため息を堪えつつ、私たちもシェリアとチョコを作るべく冷蔵庫へと向かいました。




















翌日~シリルside~

ウェンディたちが何かをしていた次の日の朝、俺たちは朝の身支度を整えつつ、昨日のことを振り返っていた。

「結局何をしてたのかわからなかったね」
「夕食も普通だったしな」
「ムニャムニャムニャ・・・」

包帯を巻き直しつつ、ズボンを穿いていくレオンの隣では、ラウルが眠りそうになりながら服を着替えていた。この二人はなかなか器用なようで、眠りそうになりながら着替えるという高度なテクニックをたまに使用している。朝が弱いのは寝足りないだけなのかわからないけど、もう少しシャキッとできないのかな?

「ほら、起きてラウル」
「ハッ!!ごめん」

二、三回強く揺すると彼は意識がはっきりしたらしく、目の焦点も合っている。それからケガをして時間のかかるレオンの着替えが終わってから部屋を出てリビングへと向かうと、ウェンディ、シェリア、シャルルとセシリー、ついでに昨日なぜか泊まっていったという話だったサクラが待ち構えていた。

「おはよう、シリル」
「今日は何の日かわかってる?」
「え?」

今日何かあったっけ?誰かの誕生日とか?いや、そんな記憶は全然ないし・・・

「わかりません・・・」
「んん?」

諦めて申し訳なさそうに顔を伏せる俺といまだに記憶を辿っているレオン。何を言われるのか不安を感じていると、二人は怒る様子もなく顔をあげるように促してくる。
言われるがままに顔をあげると、少女たちはリボンがつけられた箱を差し出してくる。

「「「「ハッピーバレンタイン!!」」」」
「わたしたちからプレゼントよ」
「「「え?」」」

バレンタイン?一瞬何のことかわからず言葉を失っていると、しばらくしてその言葉の意味を思い出す。

「今日バレンタインだったのか」
「だから昨日あんなに早く帰ったんだな」
「これくれるの!?」

俺はウェンディとサクラから、ラウルはセシリーとシャルルから、そしてレオンがシェリアからプレゼントを渡される。

「わぁ!!これって手作り!?」
「そうよ」
「すごいでしょ~」

早速開けているラウルからの情報で俺も大急ぎで開けてみる。すると、二人のプレゼントはお店などでは見たこともない形をしており、手作りなんだと改めて認識する。

「すごい!!これ二人が作ったの?」
「昨日シェリアから教えてもらいながら作ったんだ」
「いい感じだと思うであります!!」

二人が頑張って俺のために作ってくれたチョコレート。それを聞いた俺は嬉しくて二人を抱き締める。

「ありがとう!!ウェンディ、サクラ」
「どういたしまして」
「えへへ」

抱き返してくるウェンディとサクラ。二人がくれたものを早速食べようと一度離れると、一番年上の少女が何やらモジモジしながらレオンを見ていて、全員の視線が集まる。

「ねぇ、レオン」
「ん?」

少年の顔よりも大きいんじゃないかというほどのチョコレートをモグモグしているレオンに、顔を真っ赤にして話しかけるシェリア。それを見て何をしようとしているのか察した俺は、黙って見届けてみることにする。

「よかったら・・・あたしと付き合ってくれないかな?」
(((((言ったぁ!!)))))

こんな人前で告白するなんてなかなかチャレンジャーだけど、逆に見ていてくれている人がいる方が安心感があったのかも。ただ、レオンがなんと答えるのか、それが不安で仕方ないけど。

「あぁ、いいよ」
「え!?」

そして、返ってきたのは軽いながらも、少女が待ち焦がれていたものだった。

「ホント!?ホントにいいの!?」
「うん、いいよ」

信じられないといった感じで何度も何度も執拗に確認を行う天神。俺たちはようやく二人が結ばれるのかと喜んでいると、期待を裏切らない少年のボケが炸裂した。

「で?どこに付き合うの?服?」
「え・・・」

付き合うの意味を履き違えていた少年のボケに空気が凍りつくのを感じた。言葉を失った少女はしばらくすると、ガックリと肩を落としてタメ息をつく。

「そうだよね・・・レオンはそういう子だもんね・・・」
「んん?」

意味がわからないレオンは落ち込む少女を見ながらもらったチョコをどんどん食べ進めていく。すると、シェリアは少年の手首を掴む。

「じゃあ今日一日付き合ってもらうからね!!」
「うん、わかってるって」

怒りを飲み込んでいるのがありありと見える少女は、まだ食べ終えていない少年を引っ張って出掛けてしまう。取り残された俺たちは目を合わせ、苦笑いする。

「シェリア、大変そうだね」
「相手があれじゃあね」

ようやくレオン一筋に絞ったのかと思ったけど、当の本人は気付かない。可哀想な少女に同情しつつ、もらったチョコを口に運ぶ。

「あ!!これおいしいね」
「でしょ!?上手にできたと思ったからよかったぁ!!」

先に食べたウェンディのチョコを褒めると、彼女は嬉しそうに笑顔を覗かせる。初めて作ってこの完成度、ウェンディはいいお嫁さんになるね、もちろん俺のだけど。



 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
ギリギリバレンタインに間に合いました。よかったよかった。
もう少しシリルとウェンディをいちゃつかせようと思ってましたが、思うようには行きませんね。
次からは修行を軽くして行こうと思います。今までやったことないから、うまくできるかな? 
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