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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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提督はBarにいる×山勘編・その3


「ふむ……では、頂こう」

 俺の進言通り、まずはタレも何も付けないで餃子にかじりつく山勘。今回は煮凝りは入れなかったが、それでも十分すぎる位にはジューシーだったらしい。かじりついた断面から肉汁がだだ漏れだ。

「随分としっかりした味付けだな」

「俺のお袋のレシピでね。あまりタレを付けないように想定して作ってある」

「…なるほど」

 神妙に頷きながらも、山勘は小皿に酢とラー油を垂らして混ぜ合わせている。やはり醤油味はタネに付いているものの、酢の酸味とラー油の辛味は欲しかったらしい。食べかけは口の中に放り込み、新たな餃子に手を付ける。羽根をパリパリと割り、1つに切り分けて酢とラー油をチョイと付けて口の中に。途端に溢れ出す肉汁に、酸味と辛味が具材の味を引き立てる。

「ビールのお代わりをもらおう」

「は、はいただ今」

 早霜にジョッキを渡し、ビールのお代わりを催促する。口内いっぱいに餃子の味が広がった所に、ビール。至福の組み合わせだ。周囲の艦娘達も固唾を飲んで見守っている。

「お前らも我慢しないで食えよ。その為に多めに作ってんだ」

 俺がそう言って助け船を出した瞬間、殺到するビールと餃子の注文。そんな様子を見て、フッと笑う山勘。

「随分と好かれてるな」

「……まぁね。他の鎮守府は知らんが、ウチはいつもこんなモンさ」

「そうか。…餃子もう一人前、いや、もう二人前貰おう。それと違う料理も頼む」

「あいよ」

 喧しい艦娘達の声を聞きながら、手短にやり取りを済ませる。




 お次はレンジで出来る鱈の中華風レシピを1つ。

《レンジでチン♪白身魚の中華蒸し》

・鱈:1切れ

・塩:適量

・胡椒:適量

・おろしにんにく:適量

・酒:適量

・春雨(乾燥したままの状態で):20g

・赤ピーマン:1/4個

・パプリカ(黄):1/4個 

・椎茸:2個

・万能ネギ:適量

(タレ)

・醤油:大さじ1.5

・オイスターソース:大さじ1

・砂糖:大さじ1.5

・酢:小さじ1

・ごま油:少々

・水:150cc


 まずは大きめの耐熱ボウルに、鱈の切り身を入れて、両面に塩、胡椒、酒、おろしにんにくで下味を付ける。切り身以外の具材(万能ネギは除く)を食べやすい大きさにカットし、軽く混ぜ合わせてからボウルの中へ。

 タレの材料を混ぜ合わせたらボウルの中の具材に回しかけ、軽くラップをして600wのレンジで10分加熱。加熱の時間は使っている電子レンジによって変化するので注意してくれ。加熱が終わったら取り出して盛り付け、仕上げに万能ネギを散らせば完成だ。

「ハイよ、『鱈の中華蒸し』だ」

 程よく蒸された鱈の身と、野菜に春雨。そこにオイスターソース等で甘辛く仕上げたタレが絡み合う。米でもいいが、やはり酒の肴にピッタリだ。

「そういえば、奴が言っていたが出世欲が無いらしいな?」

 酒と肴、時折煙草を嗜んでいた山勘が口を開いた。

「まぁね。他の提督がどうかは知らんが、俺は今の立ち位置が気に入ってるよ」

 実は何度か本土での勤務も打診されてはいた。それ相応のポストを準備するので是非国内で……と。しかしどの話も、条件に『既存の部隊の現地残留』が明記されていた。その時点でどの話も論外だった。

 今まで手塩にかけて鍛え上げ、家族同然に付き合ってきた連中を見放す位ならば、出世の道から外れようと、日本へ戻れなかろうと構わない。そもそもこの地位まで上り詰めた辺りで満足してるんだ、出世したいのは血気盛んな若いのに任せるさ。

「……そうか、よほどここの艦娘達はいい扱いをされているらしいな」

「当たり前だろ?ブラック鎮守府糞喰らえってな」

 ブラック鎮守府の提督なんぞ、甲標的にでも積んで敵艦隊に突撃させてやりたいくらいだぜ、ったく。……ん?もしかしてこの山勘て野郎を送り込んで来たジジィの意図は、俺の素行調査だったりすんのか?だとしたら失礼甚だしい話だ。

「何か勘繰っているようだが、安心しろ。俺は純粋に酒を飲みに来ただけだ」

 ……そうは言われても、一度疑えば怪しんでしまうのが人情ってモンだろう。

「さて、そろそろ麺類でも食べて〆にしたいんだがな」

「〆の麺って言うと……ラーメンかい?」

「ラーメンもいいが……たまには違う麺料理がいい。中華麺でラーメン以外の料理を頼めるか?」

 まぁ、注文されたら作るのが俺のポリシーだからな、何とかするさ。


《食べるラー油で!豆乳だれつけ麺》※分量2人分


・中華麺(太麺推奨):2玉

・長葱:1/2本

・生姜:1片

・万能ネギ:3本

・胡瓜:1/2本

・食べるラー油:大さじ1

・オイスターソース:大さじ1

・醤油:大さじ1

・豚挽き肉:150g

・にんにく:1片

・食べるラー油(油のみ):大さじ1

・豆乳:200cc

・だし汁:100cc

・白練り胡麻:大さじ2

・味噌:大さじ1

・きび砂糖:小さじ1

・塩:小さじ1/2


 ラーメン以外との注文だったので今回はつけ麺にした。中華麺を袋に書いてある時間通りに茹でて、流水にさらし、くっつかないようにごま油少々と千切りにした胡瓜も和えておく。

 フライパンで食べるラー油の上澄みの油を熱し、そこにみじん切りにした生姜とにんにくを入れて炒める。香りが立って来たら挽き肉を加えて炒め、肉の色が変わったらみじん切りにした長葱、食べるラー油、オイスターソース、醤油を加えて長葱がしんなりするまで1~2分炒める。小口切りにした万能ネギを加えたらサッと炒めて、火を止める。

 お次は豆乳スープ。鍋にだし汁、味噌、練り胡麻、きび砂糖、塩を入れ、沸騰させながら溶かしていく。だし汁は好みの物でいいが、豚肉で動物系の旨味は出るから、鰹とか昆布なんかの魚介系のだしがオススメだぞ。だし汁が煮立ったら火を止め、粗熱が取れたら炒めておいた挽き肉と豆乳を加えて、再び火にかける。沸騰させると豆乳からえぐみが出るので、沸騰させないように注意。

麺とスープを別々の器に盛り付け、仕上げにお好みで砕いたピーナッツ、パクチー、食べるラー油をスープに散らしたら完成。



「お待ち、『豆乳つけ麺』だよ」

 待ちきれなかった、とでも言わんばかりに早速麺をスープに浸し、ズルズルと啜る山勘。豆乳のマイルドな味にラー油が程よく辛味を利かせ、日本人に馴染み深い醤油や味噌が塩気を演出。そこにビールが絶妙にマッチするんだよな、これが。

「……うん、美味い」

 その後も山勘は手を止める事なく、麺を完食した後にはだし汁を足してスープまで飲み干した。

「実に美味かった。ここはいい店だな」

 食後の一服に煙草を2本程ふかし、山勘は次の依頼があるから、と去っていった。いやはや、なんともミステリアスだがいい奴そうだ。今度はゆっくりと杯を酌み交わしてみたいモンだ。





 そんな『Bar Admiral』のある鎮守府から徒歩で30分ほど離れた路地裏で、山勘は紫煙を燻らせながら携帯で電話を掛ける。何度かのコール音の後に、目的の人物が電話口に出た。

『なんじゃ、お前か』

「おいおい、随分とご挨拶だな。アジア情勢を探る帰りに様子を見て来い、と言ったのはお前だろうに」

 電話口の相手は誰あろう、金城提督がジジィ呼ばわりする元帥閣下だ。

『で、どうじゃったあ奴は。お前の眼から見て?』

「提督にしとくにゃ惜しい腕前だ。主計科にでも鞍替えさせたらどうだ?」

『バカ言うでないわい!あれでも指揮官として有能な男じゃ。……人間的な話をしとるんじゃ』

「お前が何を心配してるかは解らねぇがな……奴は仕事に誠実だよ。料理の仕込みの丁寧さで判る」

『そうか、小僧は大丈夫そうか。腐っておらんかと心配しとったが……ならば良い。今度は国内を探ってもらう、とっとと帰ってこい』

「人使いの荒いジジィだぜ、ったく……了解」

 そう言って電話を切る山勘。私立探偵は表向き、本性は元帥の私的な間者である山勘は、フーッとブルネイの夜空に向けて紫煙を吐き出した。 
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