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真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~

作者:navi
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3部分:第一話 ある日常の風景



第一話です
ではどうぞ〜
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第一話 ある日常の風景


10年後……

どうもこんにちは。
転生者改め、天城悠里です。
この世界に俺が転生して早10年、小学生になった俺は二度目の人生を満喫してます。





ターニングポイントになったのは3歳の時、両親と電車に乗って出掛けてる最中、電車が脱線し列車が横転し大事故になった。俺はその時転生の際の気が目覚め、それを張ることで難を逃れた。その気を感じて最強の執事ヒューム・ヘルシングが助けてくれたお陰でなんとかなったが、事故で両親を亡くした俺を当時のメディアの連中は追っかけ回したらしい。幸い、ヒュームさんがいたこともあり、九鬼の情報規制で存在が明るみになることは無かったが……





さて、その後は両親の知り合いということで川上院に預けられる事になった。初めて鉄心さん達が俺と会ったときはそれは驚いていた。なにしろ、3歳の幼子が鉄心さん並の気を出していたのだから。当時はショックもあって安定しなかったが、最近では少しずつコントロールできつつある。





そんなこんなで今日も1日が始まる。時刻は朝の四時半。そろそろ修行僧達が起きてくる中、悠里は境内を箒で掃除をしていた。
特に意味はないが、朝早く起きるのが癖になってしまいこの時間には普通に起きる。


「おお悠里、早朝からご苦労じゃのぅ」

「おはよウ、悠里」

「おはようございます」


現れたのは川神院総代、川神鉄心。見た目は年老いた爺さんだが、その腕は未だに衰えていない。隣は師範代のルー・イーさん。穏やかな雰囲気だが、川神院の師範代であるこの人もやはり規格外の強さの持ち主だ。
だがそれを言うと「「お前もじゃろ(君もネ)」」と返される。……なんでさ?


「悠里、ここはワタシがやっておくから百代を起こして来てくれないかナ?」

「はい、わかりました」


そう言うと悠里は寺院内の百代の部屋へと向かった。


「毎朝本当に感心ですネ」

「まったく……モモも少しは悠里を見習って欲しいものじゃな」





「モモちゃん!もう朝だよ!」


襖を勢い良く開けると、目的の少女は布団にくるまっていた。まあ……起きるのが面倒なだけだろうが。


「ほら、さっさと起きる!」

「なんだよ悠里〜、今日は日曜だろ〜、もう少し寝ててもいいだろ〜」

「今日は金曜日だよ!そして昨日も同じ時間に起きたじゃん!」

「いいんだ、私は眠いんだ……もっと寝るんだ……」


そう言ってまた百代は布団にくるまろうとする。
必要ないと思うが念の為に紹介しておこう。川神鉄心こと鉄爺の孫娘にして未来の武神、川神百代。歳は俺より一つ上。この歳からは武の才能が光る天才、もといチート。大体合ってる。
だがそれを言うと「お前もだろ!」とツッコミが入る。……だからなんでさ?


「ああもう……いいから起きろーー!!」


ガバッ!と勢い良く布団を剥ぐ。布団には綺麗な黒髪を散らした百代が丸くなっていた。不機嫌そうに百代は悠里を睨む。


「悠里、年上はもっと敬うものだろ?」

「年上らしいことしたらね。ほら、さっさと鍛錬行くよ」

「面倒臭い〜」


そう言ってまただらける百代。ハァ……なら奥の手②だな。


「モモちゃん、今日の鍛錬遅れたら、明後日の試合は無しだって」

「なに!?」


今度は勢い良く百代が体を起こした。明後日の日曜日はモモちゃんと俺が試合をすることになっている。何年も前からモモちゃんが鉄爺に頼んでいたらしいが、漸くその許可が降りたらしい。鉄爺曰わく、


「モモも悠里も己の力にたいする認識を改めた方がいい」


とのこと。
ちなみにそれを俺が聞いたのは一昨日のこと、初めて聞いた時には「死んじゃうべや」と思った。ルー師範代は少し呆れていたが。


「じゃ、早くきてね」

「待ってくれ〜!」


だから、ヤダ。百代の叫びをバックに悠里は集合場所へ向かった。




それから数分後、百代はギリギリで鍛錬に間に合うことができた。悠里を見つけたときは少し睨んできたが。


「さて、それでは鍛錬を始めるが……なんじゃモモ、その不機嫌そうな顔は」

「うるさいクソシジイ!大体、鍛錬遅れただけで試合無しってなんだよ!」

「お主が決めたことなんじゃからその責任がつくのは当然じゃろうに」

「相変わらず賑やかネ」

「そうですね〜」


2人の言い争いを尻目に悠里とルーは朝の走り込みのコースを調べていた。今日は川神市をほぼ一周のコースだ。


「どうやらまた痛い目を見んとわからんようじゃのう!」

「上等だ!今日こそギャフンと言わせてやる!」


どうやら殴り合いになるようだ。巻き添えは嫌なので悠里とルーはお互いに頷き指示を出す。


「それじゃあ、走り込みを始めるヨー!みんな悠里について行ってネー!」

「2列ずつ隊列崩さないで付いてきてくださいね〜。ペースがキツかったら落としてきて大丈夫なんで〜」


そう言って一行は川神院を出た。全員が出た所で後ろの方から巨大な爆発音が聞こえたが、聞かなかったことにした。






走り込みを終えると一通りの基礎鍛錬を行ってから川神院を出る。百代と追いかけっこをしつつ仲良く登校する。百代と別れた後、悠里はクラスに向かう。


「おはよう、京」

「…おはよう悠里」


悠里は隣の席の女子に挨拶する。彼女は椎名京。後に天下五弓と呼ばれる弓矢の名人となる少女だ。


「……私にあまり話しかけない方がいいよ」

「なんでさ?」

「仲間外れにされるよ」

「今更気にしないから問題ない」


京は両親の問題でクラス内……いや、学年内でイジメの対象になってる。悠里は上に百代がいるため、その対象にはならないが。


「ああ、それより、本面白かったよ。ありがとな」

「うん……これくらいならいつでも」


ちなみに京との関係は一年の時から続いている。京はバカじゃない。むしろ頭がいいから自分の状況を考えて言ってる。けど、話しかけるなとかっていうのは今更だ。ちなみに、俺へのクラス内の評価は変わった奴、程度らしい。別に気にしないしどうでもいいけど。





少し、前の話をしよう。クラスの連中が京をイジメた時だ。俺が京を見つけたとき、イジメた連中は逃げてどっかに行ってしまって、京が一人で泣いていた。前述の通り、京は武道を習っているからかなり強い。だからそいつらは、何人も集まって悪口を浴びせた。京は無反応なわけだから、最終的には泣いてしまった。
前世でイジメられた経験があった俺なので、京を助けたかった。でも、京はそれで俺に迷惑が掛かるのが嫌だから、そっとしておいて欲しいらしい。
以降、京は悠里と距離を置こうとしたが、その度に悠里はかわして行き結局、今に至る。





休み時間になり、隣のクラスの前を通る。中では体躯のいい男子と黒髪のニヒルな男子が談笑しているのが見えた。体躯のいい男子は島津岳人、ニヒルな男子は直江大和という。読んでる人の知っての通り、マジ恋!の主人公とその悪友①だ。
この際だからはっきり言おう。俺、天城悠里はこの時の直江大和は嫌いだ。それもかなり嫌いな部類に入る。何が楽しくてあそこまでニヒルキャラを気取るのだろうか?しかも様になってないし。ついでに言うと、自分は安全圏にいるから関係ないと……噂が一人歩きして勝手にその形が出来たことは仕方ないだろう。ただ、それだけ自分の意見が言えるというのに、結局は大衆意見で自分を正当化する様子にかなりイラついていた。まあ、半端な気持ちで助けたならそれもイラつくが……





更に時間は過ぎて放課後、悠里は川神院へ真っ直ぐ戻ると、鉄爺に呼び止められた。


「すまんが、葵紋病院まで薬を貰いに行ってくれんかのぅ。ルーも釈迦堂もおらんで、悠里しか頼めんのじゃよ」


特に用事も無いので二つ返事で了承。直ぐにジャージに着替えて川神院を出た。葵紋病院へは走って向かう。少しでも身体が鈍らないようにするには、これくらい必要だからだ。偶に屋根の上とか跳んでいったりするけどな。そうこうしている内に、葵紋病院へ到着。中に入り薬局へ保険証と処方箋を渡してしばらく待つ。


「おや、悠里くんじゃないですか」


話しかけてきたのは葵紋病院の院長の息子、葵冬馬。真面目故に極端から極端に走った典型。すごい頭のいい秀才君。後にガチで両刀になるとは思えない。


「珍しいですね。どこか具合でも悪いんですか?」

「いや、鉄爺の薬貰いにきただけだよ。貰ったらすぐ帰るし」

「それは残念です。悠里と楽しい一時が過ごせると思ったんですが……」

「おいおい若、素で悠里をナンパしようとしてたのかよ……」


後ろから来たのは冬馬の幼なじみ兼付き人、井上準。頭脳、感性、体力よしの高い能力を持ったスーパーマン。それを言ったら泣いて喜んでいた。


「とても魅力的な方ですからね、悠里君は。声を掛けないわけにはいきませんよ」

「サラッと言うかよ……つかその格好、今日も走ってきたのか?」

「まぁな。大した距離じゃないし」

「普通は自転車で行く距離だろ……」

「流石は悠里君ですね」


川神市を軽く一周する程の体力を持つ悠里にとって、この距離は問題ではなかった。少しでも身体能力は確認したかったし。
その後、三人で談笑している内に薬が来たので貰い、悠里は病院を後にした。
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今日は車の車検何ですけど……
いくらかかるのやら……

なにせ13年ものですからね〜
 
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