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東方の賢者のソックリさん(17歳)

作者:ソウクイ
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なにこれ?

私は八雲紫、17歳。 

『八雲紫』のコスプレをした少年。 

 自分のコスプレでない。
 妖怪の八雲紫のコスプレです。
 ややこしい。 

まぁそんな事はどうでも良いとして……此所はどこです。

普通に道を歩いていた時に立ち眩みがして視界が暗転。
暗転したと言っても長くて数秒ぐらい。其れぐらいしか視界が見えてない時間は無し。
なのに、目眩から立ち直ると目の前には鼻息の荒いオタクの集団。さらに……周りを見ると辺りが見覚えのない街並み。

状況が判らなすぎて逃げたいと思うのが普通ですよね。それで後ずさる様に足を後ろに一歩動かしたんです。

すると落ちた。

普通の歩道に立っていた筈なのに一歩後ろに下がっただけで落ちた。落ちる時に空が見えて、暗い空間の中に入り、瞳が閉じる様に楕円の形に見えていた青空が消えた。

それで今居る場所です。

現在地は気持ち悪い目玉が多数の空間の中。
標識やら電車やら車やら色々と浮いとるよ。

理解不能……。

もとい、理解出来ないというか理解したくないですね。
何となくこの空間の事が判ります。

「此れって……スキマの中?」

光景があの東方projectの『八雲紫』が出していたスキマ空間と瓜二つ。この光景はそうとしか思えませんか?
逃げたいと思ったからスキマ空間に入った?

私の意思でこのスキマに?

え?

……え?

私がスキマを開いた?  

使えた?使えるんですか。
スキマを?ただ八雲紫と同姓同名なだけの一般人なのに?なんですか八雲紫のコスプレをし過ぎて妄想の世界に入るぐらい頭が変になった?ありえそうですね。

……スキマを使えるか試してみる。

ウニョン

亀裂が出来て外の光景が。

「うわぁ!?」

驚いた中年の人が見えて直ぐに閉じる。
自分の意思でスキマが開けた。
さっきからまさか妄想とかで……無い可能性もなきにしもあらず??

「マジですか」

思わず普段使わない言葉を呟いて冷や汗がだらり。
私は名前が八雲紫ですが『妖怪の賢者の八雲紫』じゃない。なのに何で、スキマ…境界を操る程度の能力が使えてるんです?

何ですか『八雲紫』のコスプレをし過ぎて呪われた?
それともやっぱり……妄想。

二つの可能性。
前者は論外にしたい。
後者も同じく論外。

どっちも論外じゃだめじゃね?

一先ず妄想でないと考えて……それと能力の事も置いて、先ず私は何処に移動したか。目眩をした後の事ですよ。

街並みとかは一度来た事のある東京辺りに見えましたね。少なくとも都会。都会と間違えそうな場所は、地元の近くには無し。数百キロぐらい移動しないと都会なんて無いですね。

目眩の後、意識を逸らしたのな数秒ぐらい。
数百キロとかとても移動できる距離じゃ無いですね。
野菜戦士でも難しいでしょう。
物理的な手段での移動は無理。
瞬間移動の類いでもないと移動は無理ですよね。

つまりスキマで移動ですか?
やっぱりとんでも移動の原因は此ですよね。

能力で勝手に移動したって事ですか?
…あの立ち眩みが怪しいですか。
あの時に能力が発現した?

まぁ幸いと言うか此所は異世界とか外国では無いんです。東京だとしたら地元はほんと遠いですが…自力で帰れる範囲。兎に角帰りましょうか。帰ってから考えましょう。この空間落ち着かない。

さて、どうやって帰れば…?
スキマは何となく使える様になってますが、此処から直接地元に行くのは無理な気が……いけそうな気もしますが……突然出てきた能力、あんまり必要ないなら利用したくないですね。 

普通の移動で帰る。
電車ですね。

外の様子を窺う。
人気が無い所を選んで外に出ました。

出たのは路地裏。

出たのは良いですが、はぁ、表通りは人の数がスゴい。また騒がれるかも。人混みとか嫌いなのに、私は覚悟を決めて外に出ました。

「うおお!?」

「ゆ、ゆかりんだ!」

「り、リアルだ」

「くっ!スゴい!あんな美人がコスプレするなんて」

「ほ、微笑んでください!」

「踏んでください!」

また人だかりに囲まれました。
何ですかこれ、予想より反応が多すぎます。
出てから一分ぐらいでですよ。
地元の数十倍の反応が。
オタク密度が高い?

「あ、あの握手を」

はぁ…気持ち悪い壁のせいで前に進めない。
今こそ能力を使うときとか……使えるわけが無いですよねーー。

あまりやりたくない手段ですが仕方ないですか。
高校生活の一年でイヤイヤ習得した技能、袖から扇子を取り出してバッと広げる。

「退いてくださる」

開いた扇子を顔に当ててニッコリと笑いながら言う。 女装してる自分がしてるとは思わない無の意識。

似非大物大妖怪風演技。
自分では良くわかりませんが地元ではこの演技の前に は、不良も道を開けてくれるクオリティがあります。

「は、はひ」

ざっと壁が開いた。その中を進みます。
なるべく顔は微笑みから崩さない事を心がけて……内心何してるんだろうと思えて泣きたい。

「こ、腰が」

「スゲェ、スゲェよぉ。絶対にゆかりんだよぉ」

腰を抜かして恍惚としてるキモいのなんて見えない。
そのまま歩いて人の包囲を抜けました。

追っ手が来ない様にあえて人混みに入り素早く移動。

運よく直ぐに駅を見つけれました。
駅名……やっぱり東京の銀座近く。

幸いと財布は持ってきたので地元までの電車代はあるんですが……出費が痛い。電車賃は地味に高い。

はぁぁ電車に乗る前にトイレ。
誰にも見られないようにコッソリ。
電車ホームにある共同トイレに入る。




悲鳴が出た。



や、八雲紫のコスプレ女装から…

女装が消失? 
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