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SWORD SUMMIT

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第三章

「それはもう想像の範囲外だよ」
「普通はそうだね」
「九十代で身体を動かせる自体がかなりだよ」
「ましてや大学生の学生大会優勝者に勝てるとか」
「まずないね」
「そう、ない筈だよ」
 絶対にとだ、フーシェは手合わせを目の前にしても言った。
「そんなことは」
「そう思うのは普通だよ」
「やっぱりね」
「けれどそれがだからね」
「本当にね」
「それを確かめさせてもらうよ」 
 友人達の言うことが真実かどうかをとだ、フーシェはこう言ってだった。
 実際に古田との勝負をはじめた、お互いの礼をしてだった。勝負をはじめると。
「!?」
 素早い、まるで残像が出来る様に。足の動きが違った。
 そして攻撃もだ、次から次にとだった。
 繰り出してくる、それでフーシェもだ。
 攻撃を防ぐので精一杯だった、こちらからの攻撃も繰り出すが。
 押されていた、そして稽古の時間が終わってからだった。彼は古田本人に驚いた顔で問うた、
「先生は本当に九十五歳ですか?」
「そうだよ」
 穏やかな笑顔での返事だった。
「十一月で九十六になるよ」
「とてもです」
「信じられないかな」
「はい」
 実際にと答えた。
「思えないです」
「けれどね」
「本当にですね」
「わしは九十五歳だよ」
「そうですか」
「信じられないかね」
「とてもです」
 ありのままにだ、フーシェは答えた。
「九十歳を超えてスポーツをされること自体が」
「武道だからね」
「スポーツとは違いますか」
「武道はね、それに毎日鍛錬をしているから」
「だからですか」
「身体も動くんだ」
 そうだというのだ。
「わしもね」
「毎日ですか」
「そう、毎日だよ」
「九十を超えられても」
「七歳から剣道をしているが」
「七歳からですか」
「そうだよ」
 もうその時からというのだ。
「それから毎日しているからね」
「七歳からですか」
「その時に竹刀を握ったな、若い時は一日に何千本も素振りをした」
 古田は修行の内容も話した。
「今はそこまでしていないが」
「しかし今もですね」
「稽古はしている」
「九十年近くも」
 七歳からはじめてという言葉を受けてだ、フーシェは述べた。
「されていますか」
「うむ、毎日な」
「そこまで身体を動かしてこそですか」
「今も剣道が出来る」
「あそこまで素早く」
「剣道は年齢じゃない」
 ここでだ、古田はフーシェにこうも話した。 
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