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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  Angel Beats!! ~Going my Way~



「生徒会に?俺が?」

「ああ、あんたは普通とは違った来かたをしている。つまり、未練だとかそういったのはないんだろ?」

「そうだな・・・・そもそも、死なんてもんはどーだっていいもんだから・・・・たしかにそうだ」

「で、この世界でやることって言ったら「奴」から俺を守ることなんだろうけど・・・・」

「それも意味ないしなぁ。お前死なないし」

「だったらさ、一緒にやってみないか?生徒会」




音無から誘われたのは、「奴」といざこざがあってから翌日の放課後だ。


音無の言うとおり、蒔風は暇だった。
まあ確かに、この世界は初めて訪れることもあったためそれなりに見て回ることもできたのだが、いかんせん範囲が狭い。
なんせ学園、寮、設備などぐらいしかなく、あとは延々と広がる森だけだ。もっと離れれば山もあるそうだが、そこまで行くのも億劫なだけ。

つまりは簡単に見回り切ってしまったのだ。


そうして、特に思い残しだとか未練なんかはとっくに飲み込んでいるこの男は、特にやることもなくなってしまっていた。




と、そこで音無からの誘い。たしかに、いい話だ。
しかし蒔風にはそんな経験はないし、そもそも、途中から入っても先のメンバーがいるのではのか。


そう思って聞いてもみたのだが




「大丈夫だ。生徒会は俺しかいないから」

「は?」

「教師だってNPCなんだぜ?ここで人間・・・前世がある奴らは・・・・今はお前、「奴」、俺くらいだ」

「いないの?なんで」

「少し前までいたんだけど、そいつももう行っちゃったから」

「でも・・・・そんな中で残ったお前はどうするつもりだったんだ?」


「どうもしないさ・・・・・それに、あとからそんなに来ないってのは、それはいいことだろ?ようは自分の人生に納得している人が多いってことなんだから」

「なんか「医者は暇なほうがいい」ってみたいだな」

「それに近い」



そんなことを話しながら食券を手にカウンターで受け取ろうと並ぶ二人。
そこで、最初の質問に戻った。




「生徒会、入ってくれるか?」

「・・・・・・はぁ。わかった。入ろう。特にやることもないし、そうやって誰かと接するのも面白そうだ」

「ははっ、大変だぞ?」

「誘ったのは誰だよ。ともかく、よろしくだ、会長」

「よろしく、副会長」




そうして、なんやかんやあって蒔風の生徒会参入が決定した。





「できれば「奴」も誘いたいなぁ。ほら、どうせ俺死なないし」

「それはやめとけ!!」







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「で?なにすればいいんだ?」

「そうだなァ・・・・って言ったところでやることないんだよな」

「はぁ!?」


蒔風が素っ頓狂な声を上げる。
それに音無がはははと笑いながら先を話す。


「だっていつもやってんのはここに来たやつらを成仏させることなんだけど、今はみんないないし・・・・」

「じゃあお前も成仏すりゃあいいじゃねえか。ってか、だったらなんでオレを誘ったんだよ!!」

「ん~~~。面白そうだったからかな?だって、死なないでこの世界に来たやつなんて、初めてだし」

「・・・・はぁ・・・・もうお前それでいいよ」




そんなことを話しながら蒔風と音無が歩いていくと、チャイムが鳴って、授業の始まりを告げる。




「お、しまったな・・・急いで教室に・・・・」

「だめだ。遊ぶぞ」

「・・・・・は?」


授業に出ようとする音無に、蒔風が待ったをかけて腕をつかむ。
その蒔風になにすんだとあきれ顔をする音無だが、蒔風は問答無用だ。


「おまえオレのこと誘っといてなにも無いんなら、オレのやりたいようにやる!!まずは球技だ!!」

「は?は!?」

「俺は球技ができん!!だからそれを克服させてくれ!!やんぞコラーーー!!!」

「ちょ、待てって!!授業は!?」

「そんなんどうだっていいだろうが!!!どーせん死なばもろともだし!!!」

「まあ、確かに死んでんけど・・・・」



強引にグラウンドにまで出ていく二人。
そして、蒔風がバットを握り、音無がグローブを持った。



「よっしゃ!!打てるまでやんぞーーーー!!!」

「はあ・・・・」

「なんだよ、ため息つくなよ!!暇になっちまったんだから、やることないんだよ!!」

「まあ・・・誘っといて何もなかったオレが言うのもなんだけどな・・・・「奴」を倒しに行かなくてもいいのか?」

「いーの!!どーせあっちもなにもできないし、俺はあいつが動かないと何もしようがないんだからさ」

「そういうもんか?」




そんなことを話しながら、普通に練習を始める二人。



蒔風がバットを振り、五回に四回は空ぶって、それを音無が注意、指導していた。

そうして再度始めると、手からすっぽ抜けたバットが音無の顔面に直撃かけたり。
当たれば間違いなくボールは見えなくなるが、まったく見当違いの方向へと飛んで行ってしまう。





そんなことを続けて、早くも放課後になってしまった。
すでに夕日がまぶしく、すぐに暗くなりそうだ。






「なんとか様にはなってきたな!!蒔風!!」

「なぁに、もうすでにコツは掴んだ。今に見てろよ?世界の果てまで飛んでくホームランを見せてやっからな!!!」



結局乗り気になって楽しそうになっている音無と、汗をかいていい笑顔になっている蒔風が、これで最後にしようかと叫びあった。


最初、蒔風はとにかくタイミングがあったら「ここだぁ!!」とか言って思いっきり振っていたのだが、音無の注意でなんとかそう言った「思い切り打法」をやめ、慎重に、とりあえずバットに当てることから始めたのだ。

その成果もあり、弱くではあるが、だんだんバットに当たるようになってはきている。
音無の足元にテンテンテン、と転がってきているいくつものボールがその証拠だ。



「よっしゃ!!いくぞーーー!!!」

「バッチこーーーい!!!」




そう言って音無が投球の姿勢になり、アンダースローでボールを投げる。
それを冷静に視界とらえる蒔風。


「(落ち着いてだ・・・・無理することはない。しっかり見れば見えるんだ・・・・全力じゃなくていい、必要な分の力でッ!!!)」



カキィン!!!!



「お・・・・おぉッ!!!」

「やっ・・・・・・・たぁアアアアアアアアアアア!!!!!!」




そうして、気持ちのいい音を立ててボールが空に消えていく。
方向は真っ直ぐに音無の後ろの方だ。


つまり



「ホームラン行ったろ、これ!?」

「おおお!!やっとやったな!!!」



ホームランである。
それにはしゃぎまくる二人。



そうしてある程度ワイワイやった後に、用具を抱えて帰ろうとする。






その途中












「音無、なんだ?その赤いの」

「え?赤いの?」

「えっと・・・・ッ!!!音無ッ!!」


蒔風が用具を投げだして音無の前に出る。
蒔風が見たのは音無の額に写る赤いポインターだ。


つまり、狙撃。


それを見た蒔風が、とっさに音無の前に出て、それから守る。
そしてその直後、蒔風の後頭部に銃弾が命中した。


頭が割れるような痛みと共に、蒔風が地面に倒れ伏す。



それと同時、後者の方の茂みから、「奴」が出てきてライフルを投げ捨てた。



「あぁ、クソッ!!不意打ちなら死ぬんじゃないかと思ったのによォ!!!邪魔すんじゃねぇ!!!」

「あ・・・おまえか」

「おまえかって・・・・まあいい・・・蒔風はこれで・・・・」




そういって舌なめずりする「奴」

どうやら今回は「不意打ちなら殺せるのかも」という実験だったようだが、蒔風を打ち抜くと言う思いもよらない結果に嬉しがっていた。
しかし、それを見て音無が頭を抱える。


「あのな、前にもトラップ・・・つまり不意打ちで死んだ奴も、普通に生き帰ってんぞ?」

「あ?・・・なんだよ・・・・だがまあ・・・・」

「それにこいつも「ダァッ!!!いってぇなクソ野郎!!!」生きてるし」

「なあッ!?」



音無の言葉通り、いきなり立ち上がって頭を押さえる蒔風。
驚愕する「奴」

頭から血が流れているが、それも治まりつつある。


「あーーっつ・・・・ん?あれ?これって・・・・・」

「つまり蒔風も例に漏らさず、この世界じゃ死なないってことなんだろうよ」

「マジかよ・・・・じゃあ・・・・」

「ああ、もちろんお前の方も死なないぞー?」

「ななな・・・・・」



「なんだよこの世界・・・・それにおまえ、まだきっちり計算終わってないだろ?」

「うぐ・・・・・」

「焦ってないで、とっととやることやってこい。ってか、何やっても無駄だろ?そんなことわかってるくせに・・・・」

「く・・・・っそ!!!ぜってぇ諦めねえ!!必ずぶっ殺してやるからなァ!!!!」




そんなことを言いながら、「奴」が何処かへと去っていく。
それを見て苦笑する音無に、何か言いたげな顔をした蒔風。


「おまえなぁ・・・・死ぬの怖くないのかよ?」

「この世界でその質問は無意味だって。それに、蒔風はどうなんだよ」

「おれか?」


「俺が狙われると知って、おまえは何の躊躇も無く俺の前に立った。おまえは死んでこの世界に来た人間じゃないのに、なんでそんなことができたんだ?死なないかどうかもわからんかったのに」



そう言われて、蒔風の顔がすーっ、と大人しくなっていく。
そして、普通さと、寂しさと、孤高さという、三つの感情の降り混ざったよくわからないような顔をして、複雑そうに言った。



「おれは・・・ここにきてこんな事しなくても、死、っていうのがよくわかっちまった人間だからな」

「・・・・・・・」

「わかるか?意味が。俺はな・・・・死ななくても、死んじまった人間なんだ。だから・・・怖くない」

「そうか・・・・・」





そうして、用具を片づけて寮へと戻る二人。
食堂はもうしまっていたので、買い置きのカップラーメンを喰った。




「ぺヤ○グってこっちあるの!?」

「あるぞ?それだけじゃなく、マル○ゃんだとかど赤いき○ねに緑○たぬき、定番のカ○プヌードルまでよりどりみどりだ」




そんなことをしながら、二人の夜は更けていく。







ちなみに別の寮の部屋で、カリカリと計算し続ける男はというと・・・・・



「ガーーーーーーーーーーーーーー!!!殺せないってなんだよこれよ!!くっそ・・・・なんでこの世界セレクトしちまったんだ・・・・そもそもなんでこんな世界あるんだーーーーーーーーーーーーー!!!!!」





と、頭を抱えて叫んでいたそうだ。







to be continued
 
 

 
後書き

なんか普通の学園生活になりそうだ・・・・

アリス
「だって「奴」がなにしようと死なないじゃないですか、この世界」

そうなんだよねぇ・・・・
引っ張っては来たけど、どうしようか?

アリス
「そういえばAngel Prayerとか言うのありませんでした?」

あれって世界そのものを書きかえるのは無理だろ

アリス
「そっかぁ・・・・・」



ま、なんとか持っていきますよ。
泣けるかどうかは・・・・別だけど!!!!


アリス
「泣けないんですか!?」

なんだ?泣かせる文章が書けるとでも思ってんのか!?私が?無理デス!!!



ア「次回、続く日常」

ではまた次回












そんな人生・・・あんまりじゃない・・・・
 
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