魔法少女リリカルなのは 大切なもののために
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プロローグ
気がつくと何もない空間に浮かんでいることを自覚した。
本当に何もない、ただ暗闇が広がる空間
「俺は・・・ああ、確か車を運転していたら、対向車両のトラックが突っ込んできて・・・」
死んだのだと思い出した。
じゃあ、なぜ意識がある?ここがあの世というやつなのだろうか?
そう思っていると、俺の前に青白い炎が灯る。
「こんなとこに居たのか~まったくいちいち探しちまったじゃね~か」
そこに現れたのは青い炎に体を包まれ、黒いローブをきた顔色の悪い男であった。
って、某夢の国の作品に出てくる悪役さんじゃないか!!
まあ、俺はこのキャラ意外と好きだったりするのだけど・・・
「おい、こっちの話きいてるか?」
「聞いている、でもなぜその姿?」
多分俺が思っている通りならば、ここは恐らく冥界の入口付近、そんで目の前にいるのはそこを守護する冥界の神、ハーデス(もしくはハデス)のはずだ。
漫画やアニメでいろいろな姿で描かれるハーデスだが、なぜその姿で出てきたのかが不思議でならなかった。
「ああ、これはな、お前が最後に記憶してた俺様のイメージが元で構成されてるんだよ。まあ、普通俺様たちの姿が人間に見えることはないからな、そう見えてるのは見る側のイメージに依存するんだよ」
以外に、律儀に説明してくれた。
「じゃあ、本題に入るけど、いいかな?」
俺が感心していると、彼はそのように切り出してきた。
にしても、作品通り、いちいち動きが面白いな
「何笑ってるか知らないけど、説明するぞ。」
そう言われたので俺は首を縦に振る。
「まず、一つ、君は死んだ。二つ、ちょっと目的があるから別の世界に転生してくれ。三つ、目的果たしてくれるなら好き勝手にいきていいから。以上じゃあ、いってらっしゃい」
「はしょりすぎだろ、説明、説明!!」
危うく、いきなり飛ばされるところだった。危ない危ない。
要は二次創作の小説である転生ってやつだな。でもなんで俺なんだろ?
「めんどくさいな~俺様だって暇じゃないんだぞ・・・たく、俺様のこと知ってるからわかってるとは思うが、ゼウスのやつがひとりの人間をとある世界に送りやがった。自分のミスを隠すためにな、んで、その送り込んだ世界ってのがお前の世界のアニメの世界らしい。ヘラから聞いたんだが、あの野郎、そのアニメをたいそう気に入ったらしくてな、それに人間の女が大好きなあの野郎のことだ、恐らくその人間を媒体にして好き勝手やろうと思ってるかもしれないそうなんだよな。まあ、今はヘラがとっ捕まえたらしいからしばらくは大丈夫だろうけどな。それでたまたま、近い時間に死んでこっちに落ちてきたやつを一人送ってくれって、ヘラに頼まれたんだよ。」
ハーデスはそう長々と説明すると、大きく上を向いて盛大に肩を落とした。
「なるほど、女神ヘーラーの嫉妬に巻き込まれたから、そんなにボロボロな姿なのか」
ハーデスは現れた時からボロボロの状態だった。
それが普通なのかと思っていたが、へーラーの八つ当たりを受けたというのなら納得ものだ。
「そうなんだよ~あの女のヤキモチ焼きは常軌を逸しってるぜまったく・・・」
その後もゼウスとへーラーの文句をブツブツと言っているハーデスに対して続きを促す。
「ああ、そうだったな。んで、目的ってのはゼウスが送り込んだ人間を始末すること。こっちに落ちてきたお前だ。生きてた時にも何かしてたんだろ?」
とくには何もやってないんだが・・・心外だな。
こう見えても、人生26年間、剣術の家系に生まれて一生懸命に学び練習して免許皆伝もらったばっかで・・・彼女なしで気になることようやくデートにたどり着いて、家に送って帰ってる途中で事故にあっただけだ!」
「うん、途中から全部しべってるからな、お前」
うぐ、感情が高ぶって声に出していたか。
「まあ、目的を果たすなら好きに生きてイイってことだから、それはお前に任せるわ。んで、そのまま行かせるには忍びないから、この中のカードから2枚だけ引いて、その中身をお前の力にしてやるよ、ついでにお前のなかに眠ってる力も引き出してやる。大サービスだなこれは。」
そう言うと、ハーデスが俺の顔に手のひらを翳す。
「なるほど、お前がこっちに落ちてきたのはこっちのせいか。ほれ、これがお前のなかに眠ってた力だ」
彼はそう言って一枚のタロットカードを渡す。
それに描かれていたのは。『death』であった。
「・・・死神」
「たまにいるんだよ、こう、呪われた人間ってやつ?」
いるんだ、たまに・・・なんだろう、全然慰めになってないよ
「ほら、二枚引けよ」
そう促されるがまま、二枚のタロットを引く、そこには『the high priestess』と『strength』が書かれていた。
「これもいいカードだな、じゃあ、説明おわったからちゃっちゃと行っちゃいな」
そう言ってハーデスが手をかざすと、俺の意識は再び薄れていく。
あいつ、どこの世界かと、カードの意味、聞いてねえぞ!!
「はぁ、はぁ・・・」
「リューネ、もう無理は」
「大丈夫、大丈夫だから」
そんな声が聞こえて意識が覚醒する。
体がうまく動かないことから恐らく赤ん坊に戻っているのだろうと俺は推測する。
脳や前世の記憶はそのまま受け継いだらしい。
しばらく暗闇にいたせいか視界がまだ眩しいままだ。
それに不規則に体が揺れている。誰かが俺を抱いて走っているようだ。
「よくここまで持ちこたえたものだ、だが、貴様らにはこの書の餌になってもらう、その子供ともどもな、やれ」
三人目の声が聞こえたと同時に、剣戟が聞こえ、短い髪の恐らく女性が髪の長い女性と戦っているのが薄らとだが開けてきた視界に映る。
だが、数度の交差の後、最初に聞いたリューネという人の苦悶に呻く声が聞こえる。
恐らく、元から負傷していたのかもしれない。
くそ、生まれ変わったばかりでもう俺は死ぬのか?
「リュウジ、二人だけでも、転移を」
「だけど、君をおいては・・・」
「速く!私もすぐに行く」
リュウジと呼ばれた俺を抱えた男性は唇を噛みながらも、さらに距離をとり、転移の準備を始める。
「そうはさせん、やれ、殺してからでも構わん!」
また、別の声が聞こえる。
「リュウジ、リョウ!!」
ようやく視界が開けると、リューネと呼ばれた女性が俺と、男性の名前を呼ぶ。
なんとか目線を向けると、急速に髪の長い女が、剣を水平に向け突きの体勢で向かってくる。
次の瞬間、目の前にリューネと呼ばれる女性の姿があった。
「ふたりとも・・・ぶ・・・じ・・・?」
「リューネ!」
「ごめ・・・ん・・・ね?リュウ・・・ジ、リョウ・・・愛してるわ」
リュウジの転移呪文は途中で止まっていた。彼女は最後の力を振り絞り強制転移を発動させ、二人を転移させる。
転移が始まる瞬間、記憶があっても赤ん坊の脳は理解の許容限度を迎え、強制的に意識を落とした。目の前で起きた惨劇を焼き付けながら・・・
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