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オズのビリーナ

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第十二幕その二

「これからね」
「そう、国に戻ってね」
 今度は戻ると言ったビリーナでした。
「種を蒔きましょう」
「種は落としてないわよね」
 ガラスの猫はビリーナにこのことを確認しました。
「そこは大丈夫よね」
「ええ、ちゃんと持ってるわ」
 ビリーナは左の羽根の下、彼女の脇のところを見ました。そのうえでちゃんとチェックしてからガラスの猫に答えました。
「安心して」
「それならいいわ」
「一粒も落としてないわ」
「じゃあ安心していいわね」
「そう、安心しなさい」
 是非にと言うのでした。
「落とす様なことはしないわ」
「それじゃあね」
「このまま戻るわよ」 
 種を持ってと言ってです、ビリーナは地上でも先頭に立って進みました。そうして先に先にと進んでいってです。
 鶏の国に着くとです、鶏の皆がビリーナに声をかけてきました。
「お母さん、お帰り」
「今回の冒険はどうだったの?」
「楽しかった?」
「危ないところはなかった?」
「冒険のことは後で詳しく話すわね」
 ビリーナは出迎えてくれた自分の子供や孫達に言いました。
「ちゃんとね」
「じゃあその時にね」
「お話してね」
「その時を楽しみにしてるから」
「お話してくれる時を」
「そういうことでね、さて」
 ここでビリーナは王宮、この国での自分のお家を見て言いました。
「まずはあの人に挨拶を」
「戻って来たって」
「そうよ」
 まさにとです、トロットに答えました。
「あの人に言わないとね」
「何もはじまらないっていうのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「だって私はこの国の女王様でね」
「ご主人は王様で」
「あの人の妻だから」
「だからまずは戻ったって言うのね」
「それからよ」
「種を蒔くのね」
「そうするわ」
 まさにそれからというのです。
「これからね」
「わかったわ、じゃあ行きましょう」 
 トロットはビリーナのその言葉に応えました、そしてです。
 皆で王宮に向かってでした、そのうえで。
 王様に帰還の挨拶をしました、王様はビリーナに久し振りに会って満面の笑顔になってからその挨拶を聞いて言いました。
「それは何よりだよ」
「種が手に入ったこと?」
「いやいや、君が戻って来たことがだよ」
「そのことがなの」
「うん、一番嬉しいよ」 
 そうだというのです。
「私はね」
「そうなのね」
「いや、心配だからね」
「何があってもよ」
「その頭と度胸でだね」
「私は乗り切るわよ、それにね」
 ここで皆も見て言うのでした。
「仲間もいるから」
「大丈夫だっていうんだね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「だから安心していいわ」
「いつも通りだね」
「そうよ、あなたも安心していいのに」
「いやいや、そうは出来ないんだよ」
「私が冒険に出たら」
「死ぬことはないにしてもね」 
 オズの国でこれはありません、誰でも。 
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