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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  なのはStrikerS ~乾坤一擲、必撃粉砕!!~


ゆりかごとの交戦空域、右方。
そこで八神はやては全航空隊の指揮をとっていた。


しかし、いくらガジェットを落とせども落とせども、その数が減っていくことがない。

それに対し、こちらの戦力は魔導師だ。
どうあっても、体力や魔力は削られていく。

有利不利にかかわらず、このままではこちらの敗北は決定的である。



「だけど、それを引き延ばすことはできる。そうしていれば、なのはちゃんやフェイトちゃん、舜君がかたを付けてくれる。うちの仕事は、それまでこの戦況を引き延ばすことや!!!」


かといって、守ってばかりでもない。
外部から落とせるならそれに越したことはないのだから、隙さえあれば、前部に並んだ砲門を潰しにかかる。


そうやって何とか今までに二門ほどつぶしたが、まだまだ数は多い。
と、その時、汗を流しながら空を飛ぶはやてに、一本の通信が入った。



『八神指揮官!!緊急です!!』

「どうした!?」

『ゆりかごの左方を攻撃していた部隊が、謎の怪鳥の襲撃を受けて壊滅状態です!!あれは・・・・あの鳥はアインヘリアルを潰した・・・・グああああああああああッッ!!!』

「ちょっと!!大丈夫か!?くっ・・・誰か!!こっちを頼む!!!私は左方のほうへ・・・・・」




キュロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!






はやてが右方から左方へと移動し、現状を確かめに行こうとしたその瞬間。

甲高い鳴き声を上げて、怪鳥「迦桜羅」が飛来してきた。



その身に焔を纏い、武装局員をなぎ倒しながら突っ込んでくる。


それを見て、はやてが迅速に指示を飛ばした。




「総員、あれには手を出さんといて!!!!」

『しかし!!』

「あれの相手は・・・・うちがする!!!」





今代にして、最後の夜天の主が、化け物退治に乗り出した。






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「リボルバァーーーーーー!ナックルッ!!!!」


・・・・ドォン!!!






スバルの拳が、ディエチの砲撃を打ち砕く。




すでに二人が四人のレプリカナンバーズと交戦を始めて二十分が経過していた。


これは結構長い時間だ。


本来魔導師同士の戦闘は長くても三十分を少し超えるがどうかである。
その三分の二がすでに経過し、しかし終わりに差し掛かるでもなく、未だに戦い続けている。



敵の人数が多いにもかかわらず、よくこれだけの時間ねばったものだ。
身体にダメージはあり、現にスバルの身体は所々から出血し、唇なぞは始まって一分もしないで切れていた。



しかし、休んでいる暇などない。
そこにオットーのレーザー・レイストームが浴びせられ、それをバリアで防ぎつつ離脱しながら体制を整える。

相手の攻撃は終わらない。
相手の体力はこちらの遥か数倍上をいっているのだ。へばる、なんてことなど決してない。


ウイングロード上で一瞬動きの止まったスバルに、ディエチが隙有りとばかりに砲撃を連続で撃ってきた。
それをきつそうな顔をしながらマッハキャリバーを走らせて、まるでジェットコースターのように疾走するスバル。


と、そこでその顔がさらにひきつる。
ウイングロードの先、あと数秒で自分が通るであろうそこに、チンクのスティンガーが数本突き刺さったのだ。



「うっそ・・・・勘弁してよ、ねっ!!!」


それをとっさにジャンプして、山なりに避けるスバル。
そのスバルを、オットーとディエチが狙いを定めて砲撃を放つ。


その迫りくる光に、空中のスバルはどうする事も出来ない。


が、それは結局スバルには当たらなかった。



朱雀が獣神体で飛来して、スバルをその背にのせて回避したからだ。




「ありがとう!!!」

『いえ!!こちらもなかなか抜け出せずに申し訳ございません!!あのレプリカのディープダイバーに手を焼かれまして!!!』


そう、今まで朱雀はセインを相手にしていた。
しかし、いくら「奴」素体と言っても、一体だけなら問題ではないはず。

更に言うならセインは本来、偵察や奇襲と言ったいわゆる真っ向勝負の能力持ちではない。

なのになぜ、朱雀がここまで手こずったのか。




それをスバルが聞くよりも早く、休みなく砲撃や投擲が放たれてくる。



光線、砲撃、爆撃
更には直接攻撃もある。


もちろん、今までも攻撃は何発か入れているし、その手ごたえもあった。



しかし、その耐久性や、再生速度が半端ではないのだ。

スバルが殴り飛ばしても、上半身をのけ反るだけで、その体勢で蹴りを放ってくる。
朱雀が斬り込んでも、あろうことか刃を腕で押えられ、反対の手で殴り飛ばされる。





「このままだとジリ貧だよ!!どんなにやってもこっちがやられちゃう!!!」

『しかし、こちらにある一撃必殺の技はどれも簡単に出せるものではないです!私のは溜めに、貴女のはその後の残心に、それぞれ時間を取られます!』

「でも!!うわあっ!!!」



バチィ!!!!




朱雀の背にスバルが乗って、旋回するように砲撃をかわしながらどうするか言い合っていると、極太の砲撃が二人を襲う。
それ自体はかろうじてスバルのバリアが抑え込むが、あまりの重さに朱雀がよろめき、そこにセインが重い一撃を叩き込んで来た。



「このッ!!」

『いけませんスバルさん!!受けずに避けてください!!!!』

「えっ!?っとぉ!!!」




その攻撃を受け止めて反撃しようとするスバルだが、朱雀の忠告に慌てて身体を引いてそれを回避する。
セインはそのまま地上に着地し、チンクやオットーが追撃してくる。



「な、なんでダメなんですか!?」

『あれに接近戦はいけません!!ティアナさんと合流してから出ないと、現状では無理です!!』

「え?え!?」

『ですから!!とにかく今は他の三人を潰すとしましょう!!行けますか!!!?』

「は、はい!!!」




攻められっぱなしだった二人が、ここから攻めに転じる。
ここからスバル・ナカジマの、ブチ抜き粉砕が、始まるのだ。




『行きますよ!!!』

「はい!!!」

ドォウ!!!!




おおよそ飛翔とは言えないほどの大きな羽音を打ち鳴らして、背にスバルを乗せた朱雀が一気に空中に立つ機人たちに突っ込んでいく。


まずその風圧に、チンクのスティンガーが落とされた。
だが、当然それは物質であるスティンガーのみだ。
ディエチとオットーの砲撃と光線はそんなものでは落ちない。


だが、ここで朱雀は突っ込み方を変える。
機人たちに向けていたのが嘴の先という「点」から、急ブレーキをかけるかのように自らの腹を前面に出した「面」へと変えたのだ。


そう、朱雀は自らを盾にした。





『ごガっッ!!?ッッ!!いま、です!!!』

「ハアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

その苦しそうな声を受け、朱雀の背中方面から真上を飛び越え、スバルが砲撃を撃っているオットーめがけて接近する。
しかし、黙ってそれをさせるほど、彼らも甘くはない。



スバルの目の前にセインが現れ、更にセインの後方からは、チンクの投げたスティンガーが迫る。





「オオオオオオオオオオッッッ!!!!ディバイン、バスターッ!!」




ドンッ!!という音を立て、スバルの左拳のナックルが砲撃を放つ。
だがそんなものは当然とばかりにかわされてしまう。

しかし、それでいい。
むしろそれこそが目的だった。

必要だったのは、撃つことによって発生する「反動」だったのだから。




「セヤッ!!」

その反動で身体を反時計回りに回転させるスバル。
そうする事で、うまくセインに触れることなくかわした彼女が、次に相手をするのはチンクのスティンガー。


しかし、スバルの反対の拳、右のナックルはすでに準備を終えている。


手首部分のギアが回転し、その力を最大増幅させて、スバルが拳をぶち当てる!!!



「ハァッ!!!」

キィン!!という甲高い金属音が響き、次の瞬間



チンクのスティンガーは、粉々に「破砕」された。
そこまで粉になってしまえば、もはや爆破スキルなど使えない。

後方では朱雀がセインに火球を吐きかけてその動きを引きつけている。




もはや邪魔する者など、一切なく




その身体が光線を潜り抜け、拳がオットー・レプリカの顔面に突き刺さる!!!!





ギィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!

「うをおおおおおおおおおおおおおおおおりゃアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

スバルの拳の振動は、外部ではなく体内に深く浸透し、頭から首へ、胸へ、肩へ腕へ腹へ脚へと響き渡り、その体を内部から破壊する。



IS「振動破砕」

その能力を最大限にまで引き出し、足の運びや体重移動、拳の突き出しを以って一つの技へと昇華した、「振動拳」が炸裂する。

ドォォォォォオン!!!



オットー・レプリカが爆散する。
ようやく一体、倒す事が出来た。




「やった!!!」

『スバルさん!!!危険です!!!』

「え?」





そこに

あろうことか砲撃でではなく、その巨大な大筒をブン回して、ディエチがスバルに迫ってきていた。


しかし、スバルはすぐに動けない。
振動拳はその威力もさることながら反動も大きく、放った後は一~二秒の残心を要するのだ。

そもそもこの技は、最初から混戦には向いていなかった。
しかし、それでも朱雀がいればフォローできるはずだったのだ。


ここでディエチがまさかの直接攻撃に出てこなければ。



「う、うわあ!!!!」

『スバルさんっ!!!』


しかし、目を閉じるスバルに、いつまでたっても攻撃は来なかった。
その事態に目を開けて前を見ると、ディエチ・レプリカの頭、喉、胸の三カ所に、正確に穴が開いていた。



「・・・・え?」

「ったく、何やってんのよスバル!!」

「!!!!」



その声は聞き覚えのあるもの。


スバルの一番の親友にして、フォワードのリーダーの少女だった。


肩で息はしているし、バリアジャケットはボロボロで
髪は乱れて、片方のリボンは千切れたのか、後ろで一つにまとめ上げられている。


頭からは一筋の血が流れた跡まで見えたが、ティアナ・ランスターは勝利を手にして生還してきた。



「ティア!!!」

「行くわよスバル!!!残りは二体でしょ!?」

「うん!!!」






ティアナの言葉に、スバルが動き出す。





一体どうやって勝ったのか、怪我とかは大丈夫なのか。



聞きたいことはたくさんあったが、今はとにかく、目の前の敵を倒す事が先。




そう、終わった後に聞くんだ。






全部全部、笑い話にできるような、そんなハッピーエンドにして。





















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とか言ってホントに最後に書くわけにもいかないので







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少しだけ時間は戻って





スバル、朱雀と別れた後のティアナは、廃ビルの中を駆け回っていた。

もはや「階」なんてものは意味をなさず、「部屋」や「フロア」なんて区切りもなく、ダンジョンのようになっているそこをティアナは必死に走り回った。

自分には一撃であれを吹き飛ばす手段などありはしない。
しかし、蒔風との模擬戦で知ったのだ。



私には私の勝ち方があり、それは絶対的にあいつらに有利だという事を。





「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・クロスミラージュ、どれくらい集まった?」

《蒔風さんのデータから見ても、まだ55%に届くかというところです。まだ足りません》

「そう・・・・だったら今度は・・・・こうしてみる、か!!!」




ティアナが幻影に身を隠し、ノーヴェに向かって弾丸を数十発撃ち放った。

しかし、相手の身体は強靭だ。そんなものは意に介さない。
瞬時にティアナの居場所を見つけ、そこに拳を叩きこむ。

それをダガーの刃で滑らせるように受け止め、再び幻影で身を隠す。




さっきからこんなことばかりをしている。




飛び出してからの場所移動、不意打ち、横っ面、正面からの攻撃、フェイクシルエットでのフェイント、ダガーでの攻撃

それらすべて、命中してはいるのだがとてもではないが決定打とはなりえない。
それでも、どうやら核となっている部分があるらしく、そこは全身くまなく撃ち抜いた結果、ガードをしている三カ所だとわかった。


すなわち、頭部、首、胸部の三カ所だ。




だがわかったからと言って、現状が変わるわけではない。
そもそもティアナの攻撃など効きもしないのだ。


異常な再生速度はこちらも同じで、銃弾によって穴が開いたところで、すぐに再生して埋まってしまう。

(私、ホント幻影使えてよかった・・・・じゃなきゃとっくに押されまくって一発ダウンよ・・・・・)


そう、それでもティアナがまだ生き残っているのは、ひとえにその幻影の恩恵だ。
やられそうになればそれで姿を隠し、幻影を突撃させてから自分が死角から撃つことも可能なのだから。


だが、それをもってしても敵三人は凄まじかった。




この廃ビルも、最初はただの廃棄された埃塗れのビルだったのに、今では三人の攻撃の余波による衝撃で完璧に廃墟になってしまった。




(でもまぁ・・・この調子なら行けるかしら・・・・クロスミラージュ、あとどれくらい?)

《残り、35%と言ったところですね》

「(だったらこのまま同じように・・・・・)ッッ!!??」



ザキッ、シュカンッ!!




ティアナが首筋に悪寒を感じ、とっさに背をもたれて隠れていた壁から離れる。
先ほどの音は、ちょうどその位置にツインブレードが貫通してきて、鋏のように交叉した音だ。


「うっそ・・・・もう見つかった!?まさか・・・・やばっ!!!!」




そこにドゴンッ!!!という轟音をあげながらノーヴェの拳が飛んできて、それを頬に一筋の切り傷を残しながらも、紙一重で何とか回避するティアナ。
ノーヴェの腹部にゼロ距離で銃弾を撃って後退させ、自身も距離を取る。

だがその真上、穴のあいた天井から、ライディングボードに乗ったウェンディが、ティアナを押しつぶそうと飛び降りてきた。


それをダガーで受け止め、横に落とそうとするが、受け止めた瞬間ボードの重みが軽くなった。
降りてきた直後に、ボードから飛び降りたウェンディが、もう一つのボードで殴りかかってきたのだ。


それに対してティアナは腕の力を抜き、頭上のボードを横に落として、ボードでボードをガードする。
が、そこでツインブレイドが迫ってきて、空いたダガーで防御するが、腕が弾かれてしまう。

そして無防備になったその上体に、ノーヴェのハイキックが叩き込まれた。





「ぐっ、あああああああああああああああ!!!!!!」

《Sir!!!》



ティアナの身体がテニスボールのように跳ね、廃ビルの隅から隅に飛んで行った。




「グッ・・・・ああ・・・・」

《大丈夫ですか!?》

「ええ・・・・でも・・・地面が揺れてるわ・・・・」

《Sir!!!七時の方向からきます!!!》

「くそっ・・・・たれええええええええええええ!!!!!!クロスファイアーーーーー!!!」

《Shoot!!》

「シューーーートッ!!!!」

ドドドドドドドドドドンッ!!!!!



オレンジの魔弾が、接近してきていたウェンディに向かって連続でなだれ込む。
が、当然防がれてしまう。

ティアナは地面を撃って穴を開け、そこから飛び降りて回避した。




「ッ・・・・この・・・ままじゃ・・・・」




ティアナは頭部から血を流し、いつ切れてしまったのか、ツインテールは片方のリボンがなくなってほどけていた。
後ろの髪を一つにまとめ上げ、フェイクシルエットでナンバーズを引きつけながら息を整える。


《Sir》

「なに・・・・クロスミラージュ」

《先ほどの行動で、98%の解析終了。行けます》

「!!・・・・・ようやくね・・・・これが終わったらマリーさんに頼んでしっかりプログラム組もっかな」

《そうですね。これにはまだまだ貴女の負担が大きすぎます》

「問題ないっての。行くわよ。クロスミラージュ」

《Yes,Sir》






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ナンバーズレプリカには感情などない。
ただ与えられた事項を為すだけの存在である。

しかし、その動作はいかにもイラついているかのようも見えた。


敵のティアナは、力も魔力も、自分たちよりもはるかに下だ。
にもかかわらず、仕留められないのはどういう事か。


それはただ単に、フェイクシルエットによるまやかしによるものか。
否、それならばとうに解析が済んでいる。

割り出しまで五秒ほどかかりはするが、本人かどうかの識別は可能だ。



現にそれを見破り、先ほど隠れていた対象を吹き飛ばしたばかり。



だがそれでも対象は倒れない。


こちらの一撃は確かに入った。
その一撃は相手を行動不能にまで陥れるほどのものだ。


なぜ、倒れないのか。




だがそんなことはどうでもいい。あと数発でも叩きこめば終わる。
そう、これは作業。プチプチと丹念に潰していくだけだ。





と、そこで敵が行動を起こした。








ギリギリまでシルエットで隠した弾丸が、ノーヴェ・レプリカの眼前に現れたのだ。
それに片腕を振ってなんでもないように弾くノーヴェ。


それに反応して、ディードが双剣を構えて発射元に向かって行く。
対象は壁に隠れている。穿つ事はあまりにも容易だ。

ディードの後方ではウェンディがボードを、壁から飛びだしてくるティアナを撃つために構えた。











ギュガガガッ!!!!

ズ・・・・・ズン・・・・・・・






重い音を鳴らし、床を振動させて、ウェンディ・レプリカがライディングボードを落とした。
その身体には、頭部、喉、胸部に穴が開いており、直後、その黒いシルエットがグズグズと崩れて崩壊していった。

足元の床には撃ち抜いたであろう弾丸がめり込んだ穴が三つ開いていた。




その事態にノーヴェ・レプリカが振りかえり、ディード・レプリカがなおも変わらずティアナのいるであろう壁に向かって双剣を振り降ろす。
しかし、それは壁を崩していったのみで、その先のティアナを切り裂くことはない。

壁が崩れて、そこから現れたのは、ダガーモードのクロスミラージュで双剣を受け止めたティアナだった。




「こうやって剣の根本を押えて、足の構えさえしっかりすれば、非力な私でもなんとかだけど受け止める事が出来るのよ」

《お見事》


その言葉と共に、クロスミラージュの片方をゼロ距離から眉間にピタリと押し当てた。




「BANG(バン)、よ」

《Shoot》

ドドドンッ!!!


そして同じように、ディードにも三発しっかりぶち込む。
その消えゆく身体を腕で押しのけながら、ティアナが残ったノーヴェに迫っていく。



「まったく・・・ここまで行動パターン集めんのに苦労したわ」

《蒔風さんからもらった彼女たちのデータがなかったらもっと掛かってましたよ》

「そうね・・・・感謝してもしきれないわね」


ユラリと立ち上がってくるティアナに、ノーヴェ・レプリカが後ずさる。
その何もかもを見透かしたような瞳に、一体この「欠片」がなにを感じたのだろうか。


ティアナがやったのはまず、敵の行動パターンの収集だった。
それをクロスミラージュがまとめ上げ、一つの対策ファイルともいえる物を組み上げたのだ。

だが、それはあるだけではどうしようもない。



敵が動き出したのを見てファイルを開いても、先がわかるころにはもう敵はその行動を終えている。

言わば、格闘ゲームでいちいちコマンド表を見ながら対戦をするようなものだ。
そんなものは対戦にならない.



ならばどうするか。
いや、そんなものはどうするか、などという疑問にするのもばかばかしい事だ。

基本、そのような事をする者は皆、コマンドを覚えて対戦に挑むのだから。








そう、ティアナ・ランスターは








ただ単に敵の行動パターンを、すべてその頭に叩きんだだけだ。







そのティアナが、今不敵な笑みを浮かべながら、ノーヴェ・レプリカに歩み迫る。

「さあ、どうするの?言っとくけど、どう来てももう私の勝ちよ。あなたが何か一つでも行動すれば、そこから私はあなたの行動を割り出す事が出来る」

ジャコン!!!チャキ


「さ、動いてごらんなさい?その瞬間、私はあなたの行動の、十五手先まで見透かしてるけどね」









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そう宣言してから、あとは二分もかからなかった。


実際、反撃からは五分もかかっていない。
今までの二十五分はすべて情報を集めている時間だった。


「さあ、行くわよクロスミラージュ!!!スバルを助けに!!!」

《YES,Sir!!》




そうして、ティアナはスバルの応援に駆け付けたのだ。




おそらく、こちらはもう大丈夫だろう。







しかし、不気味な事に













いまだに紅蓮の断罪者は、現れていない。













to be continued
 
 

 
後書き

アリス
「なんと言うティアナ無双。スバルの頑張りが何だか薄くなりませんかね?」

スーパーティアナさんタイムですね!!






アリス
「次回、取り戻すもの」

ではまた次回










夢見て憧れて、必死に積み重ねてきた時間。どんなにつらくてもやめなかった努力の時間は、絶対に自分を裏切らない

 
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