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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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84部分:第十話 サガの力その一


第十話 サガの力その一

                  第十話  サガの力
「デッドエンドフライ!」
 ディオの蹴りがインプ達を撃っていた。両足で後ろに蹴り飛ばしている。その動きは到底インプ達の手に負えるものではなかった。
「くっ、こいつ!」
「何て強さだ!」
「おいおい、俺だって聖闘士なんだぜ」
 その強さに唖然とし己の周りを取り巻くインプ達に対して告げた言葉だ。
「御前等が幾らいてもどうってことはねえんだよ」
「どうということはないだと!?」
「我等を前にして」
「聖闘士の動きは最低で音速だ」
 青銅聖闘士である。
「だが白銀はそれの二倍から五倍」
「五倍だと!?」
「それでは」
「そうさ。それだけ強さに差があるってことさ」
 それが青銅と白銀の差であるのだ。同じ聖闘士とはいってもその戦力の差はかなりのものなのだ。まさに天と地程の差があるのだ。
「わかったか?これが」
「くっ、だがそれでもだ!」
「我等もまたアーレス様の戦士!」
 インプ達も引かない。ディオを囲んで言葉を続ける。
「そうおいそれとはやられんぞ!」
「覚悟しろムスカ!」
「どれだけ覚悟しようと勝手だがな」
 彼等の言葉を聞いてもディオの余裕は変わらなかった。
「御前等俺にやられるだけだぜ。それはわかってるのかよ」
「おいディオ」
 だがここでもう一人の声がしたのだった。
「あっ!?」
「御前一人でここの連中全員やるつもりか?」
「だったどうなんだ?」
 いささかぞんざいなディオの返答だった。
「御前には関係ねえだろうがよ」
「あるに決まってるだろ」
 言葉は抗議めいたものだったがその色は笑っているものだった。
「俺だっているんだぜ。ちょっとは回せよ」
「回せか」
「そうさ。このクロウのジャミアン様にな」
 ディオの後ろからジャミアンが笑いながら出て来た。その全身には何かしら不気味な小宇宙を帯びさせていた。まるで冥府にいるような。
「いいな」
「早い者勝ちだ」
 ジャミアンに対するディオの返事はこうだった。
「それでいいな」
「ほう、じゃあ俺が勝つな」
 ジャミアンは今のディオの言葉に笑いながら述べた。既に彼の横にまで来ている。
「何しろ俺は強いからなあ」
「髪の毛がないぶんな」
「うるせえっ」
 髪の毛のことを言われるとどうやら立腹するようだった。少し怒った声になってディオに反論するのがそれの何よりの証であった。
「俺のこれは禿じゃねえって何度も言ってるだろうが」
「じゃあ何なんだ?」
「ヘアスタイルだ」
 本人の言葉である。
「グラード財団の辰巳さんと同じなんだよ」
「あの人剃ってるのかよ」
「ああ、何でもそうらしいな」
 二人は敵と対峙しながら辰巳という男について話をはじめたのだった。
「だからあれは禿じゃないらしいな」
「そうは見えないんだがな」
 ディオはそう見ているのだった。
「あの輝きはな」
「それ言ったら怒るから気をつけろよ」
 ジャミアンは同僚に対して忠告をした。
「それもかなりな」
「御前と同じだな」
「十代で禿げるか、馬鹿」
 流石に怒ってきたジャミアンだった。
「あの人だってそこまで老けてねえだろうが」
「あれっ、もういいおっさんだろ」
 ディオはこうジャミアンに反論した。
「あれはもう」
「ところがまだ若いらしいな」
「そうなのかよ」
「あそこの総帥だってな」
 話はグラード財団全体に及びだした。
「元気だしな」
「元気っていうか異常じゃねえのか、ありゃよ」
 見ればジャミアンの顔が苦笑いになっていた。
 
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