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魔界転生(幕末編)

作者:焼肉定食
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第79話 天草四朗 再び

 天草四朗は、沖田復活後、傷を負わされてはいたが、九州に潜伏していた。そして、西郷帰還と同時に再び動き出した。
 すでに、武市を含め、岡田、高杉、坂本、近藤、沖田は敗れ去ってはいたが、四朗には秘策があった。が、その前に九州での九州内で力を持つ人物に接触し、取り入ることが必要だった。
 天草には切り札があった。その為には、彼自身の指全て使う事と人々の怨念がたまっている場所が必要不可欠だった。
 九州は、彼の地元であり、怨念の場所でもある。そして、彼はまんまと薩摩県令・大山綱良に取り入られた。
 大山は西郷の私学校設立を援助していた。だが、西郷と袂を分かちあっていた時もあった。が、今は反政府人物であり、野心家であった。
 そこに天草は付け入ったのだった。
 確かに天草が大山に取り入られるのは、初めは難しかった。何故なら、一宣教師が、政治家に相手にされるわけもなく、天草四朗と名乗ったところで信じてはもらえないだろう。
だが、大山は天草を信じた。何故かは大山自身わからないが、天草の血腥さ使えると本能的に察したのかもしれない。
「さて、大山殿。我らの居城がほしいのだが」
 天草には考えがあった。それは、魔城・原城の復活。
その昔、天草達が島原の乱を起こした時、籠城して幕府と戦い敗れた場所。そして、今もなお累々たる隠れキリシタンの死体が眠る場所。
「天草君、おいに城を建てることはできんばい」
 と、大山に言われてはいたが、天草は、問題ありませんときっぱり言い切った。
 天草には人の手を借りずとも建てられるすべがあったからだ。それに、原城には誰も近づきたくはなかった。
「あそこには幽霊がでると」
 という噂が立っていたために大山でさえ腰を引くほどであった。
「さて、大山殿。西郷殿はいつ動かれるのであろうか?」
 天草は射るような目つきで大山に言った。
「いやはや、天草君。西郷どんは未だ動く気配もなく。山を駆け川で遊び田畑で作物を作っている有様でごわす。じゃっどん、なにか策が良いのでごあんどが?」
 大山は思案にくれたように腕を組んで答えた。
「西郷殿の帰郷と同時に佐賀、萩が動いた。薩摩も動く時期ではあると私も考えます。では、どうするか?簡単なことです」
 天草はにやりと微笑んだ。
「西郷殿の私学校を動かすのです。大山殿は、私学校設立に力を貸したと聞き及んでおります」
 天草はじっと大山を見つめた。
「そうでごわすが、じゃっどん、おいだけの力ではどうにもなりもうさん」
 大山はため息をついた。
「ですから、動くように仕向けるのです。事実、政府は薩摩に密偵を送り込んでいるとのうわさです」
「な、なんですと!!」
 天草の言葉に大山は驚いた。
「ははは、あくまでも噂ですよ、大山殿」
天草はその驚愕ぶりに笑い声をあげた。
「ですが、その噂を逆手にとって西郷暗殺をでっちあげる。そうすれば、どうなりますかね?」
 天草は楽しそうに大山に告げた。事実、噂ではなく、政府は動いていた。
 西郷暗殺ではなく、薩摩の動向を探らせるためだった。それ程、政府は西郷を警戒していた。
(なんとういう恐ろしい事を考えるのか、この天草という男は)
 大山はただただ生唾を飲みこんでいた。が、たしかにその策略ならば、血気多い若者達は、新政府許すまじとなるだろう。
 手間でも真実でも関係がない。
 士族は武士の命である刀を取り上げられ、領地さえも取り上げられてしまった。
 そこに火種を放り込めば、一気に燃え上がるだろう。
 佐賀の乱しかり萩の乱しかりだ。が、大山は腕を組み、うなっていた。
「大山殿。私が、その火種を放り込みましょう」
 大山の表情を読み降り、天草が不気味な笑みを浮かべて提案をした。
(おの男の笑みだけは苦手だ。じゃっどん、おいが手を汚すことなく、事が成せれば御の字ったい)
「では、天草君。よろしく頼むったい」
 大山もにやりと微笑んだ。
「承りました。その変わり、原城の件は、よしなに」
 天草は一礼し、大山に背を向けて去っていった。が、その顔には、大山を馬鹿にするように唇の端を釣り上げて笑っていた。
 
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