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奇妙な暗殺教室

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ビッチの時間


「完敗だな…」



烏間先生がそう言うのも無理はなかった。
正直、もしかして彼ならまだまだ基礎が出来上がって居なくてもナイフを当てるられなくても掠る位なら何とか出来るだろう。クラスの誰もがそう思った。だが、現実は手を抜いていたとはいえ、格上であるはずの自分を相手にナイフを当て大金星という誰もが予想を裏切る結果となった。







一方烏間先生に辛くも勝利した丈一郎は骨を外した腕が問題ないかを腕を回しつつ確認していた。




「うん…問題ないな。久しぶりにやったから自信はなかったが、何とかなったな」




「イヤイヤイヤ!生々しい音が聞こえたぞ?アレ絶対痛いから」




「というより、戦闘中にわざと関節を外してリーチを伸ばす奴なんていねーよ」



そうツッコミを入れる三村と前原はクラスメイトが未だ誰一人ナイスを掠ることすらできない烏間先生に掠るどころかぶち込んだ。ジョジョに感動を通り越して呆れていた。




おかしいな普通は呆れるのを通り越して感動するものなのだが




「別に痛くねーよ。ちゃんと痛みは和らげたからな」




「はぁ?和らげたって一体何で和らげたんだよ」




「何って……呼吸が起こすエネルギーで和らげたんだよ。」




俺はこの時のあいつらの目を忘れないだろう。何言ってんのコイツ…頭が逝っちゃたんだな……と恐怖のあまりトチ狂ってしまった人間の末路を見ている様な同情の視線を向けられた。解せぬぇ




「待て待て呼吸のんかで激痛を和らげる事ができるのか?」




頭を抱えながら磯貝は丈一郎に問いかける。



「あぁ…俺の呼吸のリズムは奇妙なエネルギーを生むんでな」



「奇妙なエネルギーだと?待て待て待て!まさか超能力とか言わないよな?」




そう言い三村は動揺する。無理もないこのクラスで一番冗談を言わなさそうな奴が真顔であたかも、普通ならあり得ない事がさも当然の様に話し始める。そりゃあ動揺もするだろう。



「落ち着け……ちゃんと説明してやる。いつかは暗殺を仕掛ける際に話すつもりだったけど殺せんせーもピッチに頼まれてインドのチャイを買いに行ったから今ここで説明してやるよ。烏間先生も聞きますか?」




「あぁ…是非聞かせてくれ」



その後、丈一郎は教室から水筒を持ってきて烏間先生は皆んなを水筒が見やすい場所に集まらせた。



「皆んな見える場所に居るな?先ずは俺が持っていた水筒の中身を付属品のコップに注ぐ」




水筒の中にある液体は無色透明の水。何処にでもある特別何かがある訳でもない。唯の水だった。



「コップの中身って…水?」



「ああ、ただの水だ。なんの仕掛けもないだろう?…よく見とけよ」




 そう言うと丈一郎はコップの中に指を一本突っ込み、そのまま深く息をする。



「コォォォォォォ……」



 その瞬間コップに一瞬『バチバチ』と電流のようなものが迸ったかと思うと、日向は指を突っ込んだままのコップから手を放した。



その先の展開は常人なら誰でも予想がつき近くにいた生徒は思わず離れようとした。



「え?……はぁ?」



「何だこれ……夢でも見てんのかよ」




なんと支えを失ったはずのコップは下に落ちることなくその位置で止まっていたのである。水が凍り、棒突きアイスの様に凍った氷の中に指を突っ込んだかのようであったが、先ほども確認したか水筒の中身はただの水…唯の水に指を浸けているだけなのでそんなことは絶対にありえない。驚愕の余り大声を上げたクラスメイトを見る。



 すると丈一郎は指が中に入ったままのコップを手首を捻ってひっくり返す。しかし、コップの中身の水はぶちまけられるどころか波打ったまま決してコップから零れない。そして丈一郎がその状態のままコップをゆっくりと持ち上げると



「おいおいおいおい…嘘だろ?」



「ヤバイヤバイ!写メ撮りたい!」



「プリンだ!水のプリンだ!」



茅野がプリンと連呼するのも無理はなく、コップの中の水はコップ本体と離れ、コップに入った状態のままの形で指が刺さったままプリンのようにプルプルと震えて固定されていた。さらに不思議なことに、水は氷の様に固体ではなく、液体のまま形は崩さないまま水自体は対流していたのである。





「俺は生まれつきこの力を使えた。そしてこの力の名は『波紋』…チベットのとある山脈が発祥の地らしく東洋では仙道なんて呼ばている」



因みに、俺に波紋を技を叩き込んでくれた師匠も昔は由緒正しい寺で波紋の修行をしていたらしい。まぁ、修行中に女誑かして勘当されて困っていた所を俺のジジイの親に拾われて兄弟の様に暮らしていたらしい。そう考えるとなんで俺の周りの人間は碌でもない濃い人ばかりなんだ?涙が出てくる。




「こいつは特殊な呼吸法により、体を流れる血液の流れをコントロールして血液に波紋を起こし、生命エネルギーを生み出す。この性質を利用して実践で使える様に昇華させた技の1つが先程、烏間先生使ったズームパンチだ。『波紋は痛みを和らげる』という特性を利用して、関節を外しリーチを伸ばした。因みに、この性質は医療にも使えるから、応急処置も手早く行える。」




まぁその性質のお陰で…よく分からない薬と併用して、死にかけていた状態から何度でも蘇生させてほぼ徹夜で3日程ぶっ通しで修行させられたのは…今となってはいい思い出だ。




「まぁ使い手のレベルにもよるが……骨折ぐらいなら「ズドトドドドドドドドドドドドドドドドド!」




突如体育館倉庫から機関銃の激しい銃声音が響き渡った。




「なんだ?この銃声は!」




突如聞こえてきた銃声に場が騒然とする……だが、俺はこの銃声の正体が何なのか分かっていた。



「やれやれ……哀れなビッチだ。ミサイルで殺せないのに鉛玉なんかであの超生物を殺せる訳ねーだろが」




そして暫くすると銃声は聞こえなくなり、代わりに




「イヤァァァァァァ!」



とビッチの叫び声と殺せんせーが発していると思われるヌルヌル音が体育館倉庫から響き渡った。



「執拗にヌルヌルされているぞ!」



「行ってみようぜ!」



波紋の説明を中断し前原についていき倉庫に到着すると殺せんせーが出てくる。



「殺せんせー」



「おっぱいは!?」



セクハラ発言をした岡島の頭に突如ゴンッ!と鈍い音が鳴った。



「な……んで?」



 結構本気で殴られた為、岡島はガクりと気絶した。



「発言がセクハラなんだよ…どアホ!」



 岡島を殴った丈一郎は聞こえはしないだろうが殴った理由を岡島にいい捨てる。その様子を見ていた女子達はウンウンと頷き、男子達は苦笑いを浮かべる。



「殺せんせー。ビッチ姉さんは?」



「いや~、もう少し楽しみたかったのですが、みなさんとの授業の方が楽しみですから」



 渚は薄々聞いてはいけない様な気もしつつ恐る恐る殺せんせーに尋ねる。



「な、中で何があったんですか?」



 するとビッチ姉さんがよろよろになりながら出てきた。

 

「あぁ!ビッチ姉さんが健康でレトロな格好にされている!



「まさか・・・僅か1分で・・・あんな事されるなんて・・・肩と腰のコリをほぐされ・・・オイルと小顔とリンパのマッサージをさせられて早着替えさせられて・・・その上まさか触手とヌルヌルであんな事を・・・」



 そう言うとビッチは力尽きその場に倒れこんだ。



「「「どんなことだッ!?」」」



お前らこれ以上触れるな……知らない方が幸せって事も世の中にはあるんだぜ



「殺せんせー、なにしたの?」



「さぁねぇ。大人には大人の手入れがありますから」



「悪い大人の顔だ!」



とても薄い真顔で言ってくる殺せんせーにこれ以上聞いてはいけないと俺たち全員が思ったからか…これ以上ビッチの手入れについて追求する者は居なかった。




「さぁ!こごの小テストがある教室に戻りますよ」




「「「はーい」」」




そして俺たちが教室に戻って行く様子を見たビッチは…




「・・・許せない。無様な失敗初めてだわ。この屈辱はプロとして必ず返す!」





屈辱を晴らすためにリベンジに燃えていた。だが、その発言を聞いた丈一郎はさっき殴り倒した岡島を引きずりながら無様な醜態を晒すビッチを嘲笑った。




「やれやれ……本当にバカな女だ。奴が殺せんせーを殺せる可能性はもうないって言うのに」













 次の日、今回もデカデカと自習と書かれていた黒板



イライラしながら端末を操作するビッチ



授業をしないビッチに不平不満が隠せないクラスメイト



正直ここまで予想通りだと思わず笑ってしまう位俺の予想通りの展開で事が進んでいた。



「ああ!もう!!なんでWi-Fi入んないのよこのボロ校舎!!」



とーぜんだろここ旧校舎…しかもこの学校のE組に対する待遇から考えてWi-Fiが有るわけねーだろクソビッチ




的外れな見解ばかりほざくビッチにイラつきながら俺は前回同様本を読んで過ごしていた。何故ならもうここまで来れば、ほぼ俺が手を下すまでもない。




「あの、先生・・・授業してくれないなら殺せんせーと変わってくれませんか?俺達、今年受験なんで」



そう…椚ヶ丘中学校は中高一貫校なのでエスカレーター式で高校に進学するのだが、椚ヶ丘中学校特別強化クラスであるE組である俺たちは二学期終了時まで3-Eに在籍している生徒は、椚ヶ丘高校への内部進学は許可されない。



だが、俺たちには暗殺の件があるので本校舎に戻る気はさらさら無い。つまり、本校舎の連中とは違い俺たちは受験生なのだ。因みに外部受験を経て再入学する事は可能らしいが俺はそんな気はさらさら無いので関係ない。




「はっ!あの凶悪生物に教わりたいの?地球の危機と受験を比べられるなんてガキは平和でいいわね~。それに、聞けばアンタ達E組ってこの学校の落ちこぼれだそうじゃないの?」





この時クラスメイトが今までビッチの横暴に耐える為の糸がブチィッ!と切れる音が聞こえた気がする。




「勉強なんて今さらやったってしょうがないでしょ?そうだ!私に協力したら分け前として100万やるわ!」




余りにワガママで傲慢なビッチ…控えめにいって◯ねばいいのに




そんな事を思っているとゴンッ!という音が聞こえた。どうやら誰かがビッチに向かって消しゴムを投げたらしい。



「出て行け」



するとクラスメイト全員の我慢のタガが外れたのかその言葉に便乗して全員が口々に騒ぎ始めた。



「出てけ、クソビッチ!」


「殺せんせーと代わってよ!」


「な、なによあんた達!殺すわよ!?」



「やかましいっ!!巨乳なんていらない!」


「そこ!?」



茅野の発言は渚がツッコミを入れているのでスルーする事にする。だが、奴を排除するにはまだ弱いな…しょうがない俺がトドメを刺そう。



「まぁまぁお前ら落ち着け……猿並みの常識しか持っていないビッチにそう言ってやるな出来ない事をやれっていう話ほど可哀想な事はないぞ」



丈一郎はそう言いビッチを追い出すためのトドメを刺す為に動く



「なんですってぇ!」



食らいついたな…ちょろいな



「言葉の通りだ。テメーの薄っぺらいプロ意識は昨日の屈辱が許せずに現実逃避して出来もしない事に時間を割き俺たちの時間を潰す。


これが実に無駄な行為だと理解する事が出来ない低脳な頭脳


自分に加え自分には殺せんせーを殺すチャンスはほぼ無いだという現実を直視できていない。


以上の事から十分猿並みと結論するには十分すぎる理由だと俺は思うんだが?」






「はぁ?巫山戯んじゃあないわよ!私はイリーナ・イェラビッチ!世界中で何十件の仕事を完璧にこなした一流のプロよ!私に殺れない仕事なんて無いわ!」





チョロい……どうしてこうも簡単に言質を取られる事を言うのかねこのバカは




「自分に殺れない仕事はない?…殺せんせーの命に1ミリも届かなかったお前が簡単によく言うぜ。そもそもハニートラップを仕掛けて殺す暗殺は相手が油断しているのがそもそもの前提だ…しかし、今回テメーが殺し屋だと知らなかったかも知れないであろう一戦一遇のチャンスをお前は潰した。」



「ッ!……それは……」




丈一郎はビッチの現実を客観的な目線で語る。しかも間違っておらず正論な最もな言い分なのでビッチも言い返す事が出来ない。




「さて、ここまで言えば分かるよな?得意のハニートラップはお前の正体がバレた以上通用しない。だが、他の暗殺の基本スペックは二流以下。つまりお前に殺せんせーを殺すチャンスはほぼ皆無……即ち、殺せんせーを殺す為の殺し屋としてはクソだと言うことだ。分かったらさっさと荷物を持って失せろ!目障りだ!」




「グッ……覚えてなさいよ!このクソガキッ!」



丈一郎の最もな意見にビッチは負け犬が言いそうな常套句を吐きながら教室から出て行った。



「やれやれ……お前ら罵声を浴びせるよりも言質を取って相手の心をヘシ折る方が効果的だから覚えておけよ」



小さい頃よくジジイがそうやって相手を煽っていた。これがやられた相手にはかなり効く悲しい事にソースは俺



「さて…このまま何もしないのもアレだから殺せ『パチパチ』…ん?」



丈一郎が見事にビッチを追い出す見事な手腕にクラスメイトは感動の余り拍手で敬意を払う。



パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ



「よく言ったジョジョ!」


「昨日のアレも見ていてスカッとしたけど今のコレもスッキリした!」



「ありがとう!」



「巨乳撲滅!バンザーイ!」



しかもスタンディングオベーション。ここまで嫌われる奴は、殺し屋よりも嫌われ屋の方が向いてるんじゃあねーかこれ…あと茅野、万歳三唱するほど嬉しいのか?




「やれやれだぜ…」





 結局その後は、殺せんせーを呼んできて普通に授業を受けた。あと、烏間先生がビッチと話していた。クビ宣告か?そうなら嬉しいというか一刻も早くクビにしろ。










そして、次の日の英語の授業、結局クビ宣告ではなかったらしくビッチが教室に入ってくる。するといきなり黒板に字を書き始めた。




「You're incredible in bed! Repeat!」




奴の毅然とした態度に若干戸惑いながらも俺たちは奴の指示に従う




「ユーア インクレディブル インベット」




おい…まさか奴が普通に授業をする気なのか?いやでもそれは無いはずだ。俺の和訳が正しければ日本の中学生の教材にしてはいけないワードで授業するなど無いはずだ






「これは私がとあるアメリカ人のVIPに近づく為にターゲットのボディガード言った言葉よ。意味はベットでの君は凄いよ」




 「「「「「中学生に何ちゅう文章教えてんだよ!?」」」」」




ロヴロさん……あんたの育成能力は認めてますがここまで痴女にする必要があったのか?




丈一郎は仕事とはいえビッチの痴女ぶり呆れてリアクションすら放置した。



「外国語を短い時間で習得するにはその国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われるわ。


相手の気持ちをよく知りたいから必死で言葉を理解しようとするからね。だから私は仕事上、必要な時そのやり方で新たな言語を見につけてきた。


私の授業では外国人の口説き方を教えてあげる。プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ、身につければ実際に外国人にあったとき必ず役に立つわ」




(外国人・・・)



それをきいた岡島は気持ち悪い顔で何か考え事を始めた。まぁ十中八九碌でも無い事を考えているに違いないが思うだけならタダなので放置する。



「受験に必要な勉強なんて、あのタコに教わりなさい。私が教えてあげられるのはあくまで実践的な会話術だけ。
もし、それでもアンタ達が私を先生と思えなかったらその時は暗殺を諦めて出て行くわ。そ、それなら文句ないでしょ?後、悪かったわよ。色々」




いきなりビッチの改まった態度に沈黙が走る。だが、




「「「ハハハハハハハハッ!!」」」



 その沈黙はクラスメイト全員の大笑いによって直ぐに塗り替えられた。



「何ビクビクしてんのさ?昨日まで殺すとか言ってたくせに」



「何か普通に先生になっちゃったな」



「もうビッチ姉さんなんて呼べないね」



「良いだろ?ジョジョ」



前原そこで俺に振るなよ…ここまで対応が変わると罪悪感が芽生えてしまうのだが……



「勝手にしな…俺はメリットさえあれば授業する教師なんて誰でも良いからな」




「東城の奴は可愛くないけど……アンタ達・・・。分かってくれたのね・・・」



ほっとけ…痴女



「考えてみれば先生に失礼な呼び方だったよね」




「うん。呼び方変えないとね」




 ビッチの奴、感無量になって涙腺緩んでやがる。だが、俺の経験上確実にそれどころではなくなる



「じゃあ、ビッチ先生で」




その一言が放たれた時、ビッチの時が凍結した。
 


「えっと・・・せっかくだからビッチから離れてみない?ほら、気安くファーストネームで呼んでくれて構わないのよ?」



ビッチはファーストネームで呼ばせる方向に誘導を試みる。だが……



「でもなぁ、すっかりビッチで固定されちゃったし」



「うん。イリーナ先生よりビッチ先生の方がしっくりくるよ」



奴のキャラが既に痴女として定着しておりビッチと呼ぶのになんの違和感もないことから、誘導するのは不可能な事は明白だった。つまり



「そんなわけで、よろしく。ビッチ先生」



「授業始めようぜ。ビッチ先生」




「キーーーッ! やっぱあんたら嫌いよ!」




こうしてイリーナ・イェラビッチはビッチ先生の呼び方で定着され改めてE組に迎えられた。



 
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