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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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786部分:第百二十一話 放たれた矢その三


第百二十一話 放たれた矢その三

 光の槍と矢である。両者が激突する。
 まずは完全に互角だった。しかしだった。
 ふとだ。デイモスが呻いたのだった。
「うっ・・・・・・」
「むっ!?」
 迂闊と言えば迂闊だった。一瞬の油断で矢の一本を頬にかすめさせたのだ。
 かわしはした。しかしだった。
 そこにまた一瞬であるが隙が生じた。その時だった。
「今だ!」
「くっ、しまったか!」
「今こそ勝機!」
 アイオロスは叫ぶ。
「このアイオロスの全て、受けよ!」
「ぬううっ!!」
 彼の攻撃を受けてだ。何とか矢を槍で防ごうとする。しかしだった。
 それは無駄に終わった。押し切られてしまったのだ。
 後ろに大きく吹き飛ばされる。デイモスは一瞬のうちに高く飛ばされた。
 そのうえでだ。叩き付けられる。勝敗はこれで決した。
「うう・・・・・・」
「勝負ありだな」
 アイオロスの言葉だった。
「これで」
「その通りだ」
 仰向けに倒れているがそれでも言葉を返すデイモスだった。
「サジタリアス、貴様の勝利だ」
「そうか、それでいいのだな」
「勝利は勝利だ」
 こう言うのだった。
「見事だったと言っておこう」
「そこまで言ってくれるか」
「勝者を褒めるのにやぶさかではない」
 このことも告げたのだった。
「それについてはだ」
「それもか」
「そうだ、やぶさかではない」
 このことをまた告げたのだった。
「それについてはだ」
「潔さか」
「言った筈だ。我等には真の誇りがある」
 今言った言葉はこれだった。
「相手を認めることもそのうちの一つなのだ」
「だからか」
「行くがいい」
 言葉には微笑みさえあった。
「私を倒したのだからな」
「わかった。それではだ」
「行くがいい」
 また告げたデイモスだった。
「アーレス様の御前にだ」
「行かせてもらう」
「そして闘うがいい」
 アーレスとの闘いもまた勧めるのだった。
「しかしだ。勝てると思わないことだ」
「それはだというのか」
「アーレス様に勝てる者はいない」
 それはだとも言うのを忘れなかった。
「何があろうともだ」
「そう言えるか」
「そうだ、言える」
 また言うのだった。
「決して勝てはしない」
「それは私一人ではだな」
「貴様一人ではか」
「私には仲間達がいる」
 彼が今出した言葉はこれだった。
「そして教皇もだ」
「無駄だ」
 デイモスは今のアイオロスの言葉も否定してみせた。
「それもだ。無駄なことだ」
「無駄だというのか」
「そうだ、無駄だ」
 また言う彼だった。
「アーレス様には何人いようとも決して勝てはしない」
「人ではか」
「神でもだ」
 あえてだった。神と言ってみせたのである。
 
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