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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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784部分:第百二十一話 放たれた矢その一


第百二十一話 放たれた矢その一

                   放たれた矢
 デイモスは構えを取りながら。対するアイオロスに対してまた問うのであった。
「そしてだ」
「何だ」
「貴様の技はこれまで見てきた」
「うむ」
「二つな」
 まずは二つというのである。
「見させてもらった」
「しかし。それからだな」
「そうだ、それで終わりではあるまい」
 アイオロスを見据えながらの言葉だ。
「それでだ。まだあるな」
「言った覚えがあるが最大の技がまだある」
「そうか。やはりな」
「その技で貴様を倒す」
 言葉に気迫が宿ってであった。
「必ずだ。倒してみせる」
「私も同じだ。私もまた最大の技がまだある」
「その最後の切り札か」
「如何にも。それだ」
 デイモスの言葉には不動のものがあった。
「それで貴様を倒す」
「そうするというのか」
「この技を使ったことは神話の時代よりそうはなかった」
 このことも言ってみせるのだった。
「それだけの相手でなければな」
「私はそれだけの相手か」
「そういうことになる」
 まさにそうだというのである。
「この技、神にさえもそう使ったことはない」
「それはオリンポスの神々にもか」
「如何にも」
 率直な返答だった。しかも迅速なものだった。
「その通りだ」
「私を認めるというのは有り難い」
 アイオロスもそれを受けて述べる。
「しかしだ」
「しかしか」
「その心を受けたからこそ余計に力を出させてもらう」
「そうした相手でなければ出しはしない」
 その技をだと。デイモスはこのことも言ってみせたのである。
「決してだ」
「オリンポスの神々には使わなかったと言ったな」
 アイオロスは先程の話をさらに問うてみせた。
「そうだったな。それは何故だ」
「それはだ」
 それに応えて話すデイモスだった。
「あの者達は。オリンポスの神々はだ」
「うむ」
「自分達こそが絶対だと思っていた」
 言葉に苦いものが宿っていた。それを隠すことはしない。過去の記憶は消せはしない。その消せないものが今彼を苛んでいるのである。
「我等を下の。下賤の神々と侮っていたのだ」
「下賤のか」
「我等だけではなくアーレス様もだった」
 彼等が仕えるアーレスもだったというのである。そう話すのだった。
「同じく下賤の者として侮蔑されていた」
「戦いを好む血生臭い神としてか」
「それでだ。我々を侮蔑するのはいい」
 それは構わないのだという。
「まだだ。許せる」
「だがアーレスを愚弄するのはか」
「我等を認め受け入れて下さったあの方を愚弄することは絶対に許さん」
 言葉にこれまでになり怒りが宿っていた。それをどうしても消せないものだった。それを隠さずにだ。アイオロスに対して語るのだった。
「何があろうともだ」
「許しはしないか」
「そうだ、許さない」
 また言うのだった。
「絶対にだ」
「それは忠義か」
「人の言葉で言うとそうなるだろう」
 否定しなかった。はっきりとは言わなかったが肯定の言葉だった。
「それはだ。そうなる」
「そうなるというのか」
「アーレス様もまた疎外されていた。御一人だった」
 神話の時代のことだ。彼もまた誰からも認められる一人だったのだ。そしてデイモス達もだ。だが彼等はお互いに認め合いそうして永遠の絆を結んだのだ。
 
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