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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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737部分:第百十一話 鮮血の嵐その三


第百十一話 鮮血の嵐その三

「私はこの程度では倒れません」
「だからか」
「そう、だからです」
 こう言うのである。
「血はすぐに戻ります。黄金聖闘士は回復力もまた秀でているのです」
「そうか。しかし敗れていればだ」
「どちらにしろ勝つか負けるかでした」
 アフロディーテはそのミシェイルに対して冷静に述べた。
「ですから」
「生き残る為に全てを賭けたか」
「私にはまだ先に戦うべき相手がいます」
 そこまで見ていたというのだ。
「その為に全てを賭けたのです」
「生き残りさらに戦う為に命をか」
「そうです。そして私はそれに勝ちましたね」
「確かにな。貴様は勝った」
 ミシェイルも認めることだった。
「見事だ。褒めておこう」
「有り難うございます」
「さあ、行くといい」
 ミシェイルは片膝をついたまま動かない。勝敗は明らかだった。
「先にだ」
「はい、それでは」
 彼の言葉を受けるアフロディーテであった。
「アーレスの前へ」
「アーレス様には勝てはしない」
 ミシェイルはこのことは確信していた。
「絶対にだ」
「我々では、ですか」
「例え貴様等黄金聖闘士全員が相手をしてもだ」
 それでもだというのだ。
「アーレス様を破ることは不可能だ」
「その言葉聞きはしました」
「しかしか」
「そうです。しかしです」
 アフロディーテは立っている。そのうえでの返答だった。
「私達は勝利を収めます」
「そう言うのか。それではそう思うがいい」
「思っていません。確信しています」
「確信か」
「そういうことです」
 こう言ってであった。一歩前に出るのであった。
 そしてそのまま玄室の向こうに向かう。アフロディーテとミシェイルはここで擦れ違った。だが今は激しい激突はなかった。それはもうなかった。
「それでは。また」
「また会おう」
 だが言葉は交あわせるのだった。
「それではな」
「私もまた運命の中にいます」
 アフロディーテは全てがわかっている口調であった。
「ですから」
「また。闘うことになるな」
「私は何度生まれ変わろうとも黄金聖闘士です」
「貴様等は全てそうだな」
「神話の時代より定められた」
 そこから遡るものだというのだ。
「運命ですから」
「因果なものだな」
 ミシェイルはアフロディーテのその言葉を聞いて述べた。
「それもまた」
「因果ですか」
「考え方にもよるがだ」
「それでもですか」
「そうだ、因果なものだな」
 また言ってみせた。
「それもまた」
「受け止めていますから」
「受け止めているか」
「受け止めずして何とするのでしょう」
 アフロディーテの言葉は揺れ動くことはない。何一つとしてである。
「そうせずして」
「そうか。強いな」
「強いですか、私が」
「運命とは時として過酷なものだ」
 ミシェイルは運命についてはこういうように認識していた。彼もまたその運命の中にある、それならばこれも当然のことであると言えた。
 
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