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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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715部分:第百六話 剣と剣その一


第百六話 剣と剣その一

                    剣と剣
 シュラもまた先に進んでいた。そして玄室に出るとであった。
「待っていたぞ」
「やはり貴様か」
 シュラはその声の主に対して冷静に返してきた。
「貴様がこのシュラの相手か」
「違うとでも思っていたか?」
「いや」
 そうではないと。彼に返すのだった。
「間違いなく貴様と闘うと思っていた」
「俺もだ。何しろだ」
「俺と貴様はこれまでも闘ってきている」
 シュラはこうその男ジークに対して告げた。
「だからこそだな」
「そうだ。貴様と俺はあの時も闘っている」
 ジークもまた彼に返す。
「だからだ。必ず会うと確信していた」
「そして闘うとな」
「その通りだ。では行くぞ」
 ジークはその手に剣を出してきた。あの赤く禍々しく輝く剣をだ。
 その剣を右手に持ちシュラを指し示して。そうしてまた言ってみせた。
「いいな。カプリコーンよ」
「その剣で俺を倒すか」
「貴様を斬る」
 声が鋭いものになっていた。まさに剣そのものになっている。
「必ずだ。いいな」
「いいだろう。では行くぞ」
 シュラもまたその右手を剣にしてきた。聖剣を抜いたのである。
「いいな」
「貴様にとってはその手が剣だったな」
「それもまたあの時と同じだな」
「そうだな。確かにな」
 その通りだと。瞑目する様な言葉で返したジークだった。
「だが。変わっているものもある」
「俺が強くなり」
「貴様も強くなった」
 シュラはジークの言葉に応えて述べた。
「あの時よりもだ」
「強くなっているのは確かだ」
 ジークも今にも技を出そうとしている。シュラもそれは同じだ。
 どちらが先に技を出すかである。その問題だった。
「いいな、それではだ」
「ベールよ、貴様はだ」
「どうしたのだ、今度は」
「貴様はかつてはあの地における神だったな」
 シュラが言ってきたのはこのことだった。それはジークの過去のことだった。
「そうだったな、覚えているな」
「忘れる筈もない。俺はそこから天界に入った」
 ジーク自身も言ってみせる。まさにそうだというのだ。
「だが」
「だが?」
「俺は所詮人だ。人でしかない」
「貴様自身はか」
「そうだ。人でしかない」
 こう言うのである。
「ベールは魔神だ。アーレス様の僕なのだ」
「アーレスのか」
「俺もまたアーレスの僕だ」
 彼もまたアーレスに対して絶対の忠誠を持っているのだった。そしてそれを隠すこともない。まさにアーレスの僕として闘うというのである。
「貴様もそれは同じだな」
「一つ言っておく」
 シュラもまたここで言うのであった。
「このシュラ、いやアテナの聖闘士はだ」
「どうだというのだ?」
「アテナへの忠誠が揺らぐことはない」
「何があろうともだ」
「そうだ、決してだ」
 そうした意味でジーク達狂闘士と同じだというのだ。
 
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