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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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710部分:第百四話 星の拳その四


第百四話 星の拳その四

「これからだ。受けろアスモデウス!」
「むっ!?」
「このアイオリアの最大の技はこれからだ!」
「この技は」
「まだだ」
 アイオリアの言葉が不意に変わった。
「だが。見るのだ」
「どうやら逃れられないな」
 リゲルは己の置かれた状況を悟った。
「その様だな」
「かわせるものではない」
 また言うアイオリアだった。
「だが。それよりも前にだな」
「この星達は減ることはない」
 リゲルもまた己の技には絶対の自信を持っていた。それを言葉にも出す・
「そう、さらに増えていくのだ」
「さらにか」
「さて、貴様の技が出されるのが先か」
「貴様の星達が俺を倒す方が先か」
「そうだ。どちらが先か」
 まさにどちらが先にそうなるかであった。
「その勝負だな」
「アスモデウスよ」
 アイオリアはここでリゲルを呼んでもみせた。
「貴様は動じないのだな」
「動じる?何をだ?」
 返す言葉に不敵な笑みが宿っていた。
「何故動じる必要がある」
「そう言えるのだな」
「何度でも言える」
 まさにそうなのだというのである。
「このリゲルはだ」
「命を賭けたやり取りが楽しいのか」
「それこそが戦いではないのか」
 逆にアイオリアに問い返しもしてきた。
「命を賭けることこそがだ」
「そして狂闘士はその中で生きるのだな」
「同時に己を高めていく」
 それもあるのだという。語る言葉は毅然としている。
「そういうものではないのか」
「そうだな。己を高めるということはだ」
「貴様等聖闘士も同じ筈」
「その通りだ。だが」
「だが?」
「我等は狂闘士とは決定的に違うところがある」
 それについて話すのである。
「それがだ」
「決定的にか」
「確かに我等は戦う」
 このことは否定しないのである。
「だが。その為の戦いはだ」
「守る為の戦いか」
「そうだ。戦いの為の戦いではない」
 否定するのはこのことであった。
「貴様等の様にだ。己を高めることは他のことでも充分にできる」
「違うな、それは」
「違うというのか」
「そうだ、違う」
 こう言うのである。
「それは違うな」
「では何故違うというのだ?」
「人も神も放っておけば堕落する」
「それはアーレスの考えだな」
「その通りだ。アーレス様の御考えだ」
 まさにそれだというのだ。アーレスの考えであるというのだ。
「崇高な御考えだ」
「ではそれは何故崇高なのだ?」
「戦いは命を賭け生き残る為には己を鍛えなければならないな」
「そうだな。それは事実だ」
「心も身体もだ」
「だからこそ戦いが必要なのだな」
 リゲルの言葉はわかった。
「そういうことだな、つまりは」
「話は聞いたな。それではだ」
 リゲルの小宇宙もさらに高まった。極限にまでだ。
 そのうえで流星の数が増えた。まさに荒れ狂う流星の嵐だった。
 アイオリアをその中心に置きだ。リゲルは言うのである。
「さて、レオよ」
「俺の技か」
「最早俺の星達をかわすのにも限度が出て来た筈だ」
 彼はまずはこのことを言ってみせた。
「技を放たない限り倒れるのは貴様だ」
「わかっている」
 流星は次々とアイオリアに当たろうとする。だがそれはその都度砕かれていく。しかしそれにも限界があるのは明らかなことであった。
「だが。貴様が案ずることではない」
「間も無くだな」
「見るのだ!」
 ここでアイオリアは叫んだ。
「このアイオリアの小宇宙のさらなる高まりを!」
「むっ!」
 その高まりを見るリゲルだった。アイオリアの小宇宙はさらに燃え上がるのであった。


第百四話   完


               2010・3・18
 
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