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提督はBarにいる。

作者:ごません
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山雲農園の春野菜スペシャル!その2

 さて、お次は春の定番・初鰹といこうか。今日は活きのいい鰹が丸々一匹仕入れられたからな、こいつを捌いて『少し』イタリアン風な鰹のたたきを振る舞うとしよう。何はともあれ鰹を捌かないとな。俺は手早く頭を落としてやると、背中側から下ろしていく。

「お、鰹か。初鰹は旬真っ盛りだからな。……提督、『酔鯨』の大吟醸貰っていくぞ」

 武蔵は俺の手が空かないのを認めると、カウンターに入ってきて『酔鯨』の大吟醸の一升瓶とグラスを3つ、勝手に持っていった。……まぁ、今日は早霜も遠征でいないから手が空かねぇからいいけどよ。

「そういえば提督、魚って背開きと腹開きがあるじゃないですか。あれは何でなんですか?」

 武蔵から受け取ったグラスの中身の『酔鯨』をまるで水でも飲むかのようにスルスルと飲んでいく大和。

「諸説あるけどな。基本的に関東が背開きなんだが、関東は江戸時代は侍中心の文化だからな。『腹を切る』のは縁起が悪かったのさ」

「成る程、験担ぎという訳か」

「逆に大阪を中心とした関西は商人中心の文化だから、『腹を割って』話すのは縁起がいいと腹開きが好まれたって話は聞いた事あるけどなぁ」

 そんな話をしている間に、鰹は刺身用のサクの形に下ろし終わった。さ~て、こっからが調理の本番だ。

《ちょっぴりイタリアン風・初鰹のたたき》※分量2人前
・鰹(刺身用のサク):150g

・細ねぎ:適量

・茗荷:2本

・きゅうり:1/2本

・新玉ねぎ:1個

・塩、粗挽き黒胡椒:各少々

・オリーブオイル:大さじ1/2

《タレ》

・にんにく(すりおろし):小さじ1/2

・醤油:大さじ1.5

・レモン汁:大さじ1/2

 調理だが、ベースは鰹のたたきとあまり変わらない。塩、胡椒で下味を付けた鰹を、オリーブオイルを熱したフライパンに入れたら強火で表面だけをサッと焼いて、冷蔵庫で冷やす。冷えたら1cmの厚さの削ぎ切りに。

 お次は薬味。細ねぎは斜め切りに、茗荷は縦半分に切ってから斜め薄切りに、きゅうりは細千切りに。玉ねぎは半分に割ってスライス。

 皿の上にスライスした玉ねぎを敷き詰め、鰹、薬味の順番で載せたら、混ぜ合わせておいたタレをかけて完成。

「ヘイお待ち、『イタリアン風鰹のたたき』だ。残念だったな武蔵、アテが外れて」

 恐らくは普通の鰹のたたきが出ると予想しての高知の日本酒『酔鯨』を選んだんだろうが、俺はそんなに単純じゃねぇぞ?

「確かにぃ~、これだとワインの方が合いそうですよね~♪」

 山雲はそう言いながらも、たたきを肴にスルスルと『酔鯨』を胃に納めていく。

「うむ、確かにこれは日本酒よりもワインが欲しくなるな……」

「でも、お醤油も効いてるから日本酒も合うわよ武蔵」

 流石に大和型、食うのも飲むのも早い。さてさてお次は~……アスパラガスで行くか。




 
 アスパラガスをどう調理するか……揚げ物2種と焼き物1種の盛り合わせと行こうかね。まずは揚げ物から。

《アスパラベーコン1本揚げ!》※分量アスパラ6本分

・アスパラガス:6本

・スライスベーコン:6枚

・薄力粉(まぶす用):適量

・塩コショウ:適量

・パン粉:適量

《バッター液》

・薄力粉:大さじ2

・卵:1個

・水:大さじ1

 アスパラガスは下の堅い所を剥いたら水気を切り、塩コショウを振って下味を付けておく。

 穂先の方からベーコンを隙間なく巻いて、巻き終わりを下にして置いておき、そこにベーコン周辺を狙って薄力粉をまぶす。こうする事でバッター液がアスパラガスに付きやすくなるぞ。

 後は予め混ぜておいたバッター液とパン粉を付けたら、後は揚げるだけだ。同時進行でアスパラガスの春巻きも作るとしよう。



《アスパラと生ハムの春巻き》※分量5個分

・アスパラガス:5本

・生ハム:20g位※大体でOK

・春巻きの皮:5枚(15cm四方)

 こっちのアスパラガスも根元を切り落とし、下の堅い所を剥いておき、長さを3等分になるように切っておく。

 3等分にしたら、穂先・中間・根元が3本1セットになるように生ハムで巻いて纏める。

 後は春巻きの皮で包み、揚げるだけだ。

一本揚げと春巻きを揚げながら、その間に焼き物の支度もしよう。



《串まで食べられる!アスパラ鶏つくね》※分量2人分

・アスパラガス:4本

《肉だね》

・鶏ひき肉:200g

・長ねぎ1/4本

・生姜(すりおろし):小さじ1

・溶き卵1/2個分

・パン粉:大さじ3

・塩、胡椒:各少々

・片栗粉:適量

・醤油、みりん、酒:各大さじ1

・サラダ油:適量

アスパラガスは根元の皮を薄く剥き、長ねぎをみじん切りに。ボウルに鶏ひき肉と刻んだ長ねぎ、他の肉だねの材料を練り混ぜて、4等分にして丸めておく。

アスパラガス全体に片栗粉をまぶしたら、丸めたたねに差し込み、アスパラ全体を包むようにして広げる。

熱したフライパンに油をひいて、弱めの中火で転がしながら焼いてしっかりと火を通す。火が通ったら余分な脂を拭き取り、醤油、みりん、酒を混ぜ合わせた物をフライパンに加え、強火にしてアルコールを飛ばしながら全体に絡まったら出来上がり。



 いい色に揚がった一本揚げと春巻き、鶏つくねを盛り付けたら出してやる。

「ハイよ、『アスパラの3種盛り』。つくねにはお好みで七味、一本揚げはソースとマヨネーズ付けてどうぞ」

「ん~、アスパラのシャキシャキが良いですねぇ♪」

「しかしまぁ、アスパラを串に使うとはな。……提督よ、どうやってこんな料理を思い付く?」

「あぁ、そのつくねか?きっかけは焼き鳥屋だったんだがな……」

 昔、立ち飲みの焼き鳥屋で飲んでいた時、五平餅みたいに串じゃなく細めに割った竹に付けて焼いたつくねが出てきたんだ。それが食べづらくてなぁ。それなら、串ごと食えれば良いのになぁってのが発想の原点だ。

「成る程ぉ~、提督のめんどくさがりがきっかけだったんですね~」

 おい、めんどくさがりとは違うと思うぞ、山雲……。 
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