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提督はBarにいる。

作者:ごません
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大改装第6弾!~美味い物には手間を惜しまず~


 先日、予算が漸く貯まったのでまたまた妖精さんにお願いして執務室(というか店)の機能拡張をお願いした。妖精さんには『またですか?』と苦笑いされてしまったが、ヘーゼルナッツブラウニーで手を打ってもらった。思えば色々とこの部屋も魔改造をしたもんだ。

 最初は執務室とちょっとキッチンが豪華なカウンターバーだけだったのに、ダーツバーverが追加され、イタリアンバル風verが追加され、この間は料理教室verまで追加した。いやはや、通常状態の執務室も含めると既に5種類のバリエーションがあるのか。そして今回はその第6弾、以前から要望のあった「鉄板焼き」に対応出来る店構えにしてもらった。酒の棚やワインクーラーなんかは前と同じだが、生鮮食品の扱いが増えるから業務用冷蔵庫を増設。更にビールサーバーも追加した。ステーキとかならワインでもいいが、お好み焼きならビールでしょ、やっぱり。そしてなんといっても今回の目玉、カウンターをフラットにしてそこに本格的な鉄板焼き用の鉄板が収まった形だ。ガスの火力で240℃まで加熱可能……これなら、お好み焼きだけでなくステーキ、海鮮焼き、鉄板焼きスイーツでもなんでもござれだろう。まぁ、その日の内装は俺の気分で変えるから、この鉄板焼きスタイルの出番が来るかは解らん。けれど今日はお披露目も兼ねてこのスタイルで行くか。




 耳聡い艦娘連中の事だ、今夜辺りには店のリニューアルの噂が広がり、鉄板焼きを求めてやって来るだろう。予想としては常連の武蔵や霧島、隼鷹辺りか?……いや、お好み焼き狙いで黒潮とか浦風、龍驤、浜風とかも来そうか。手間がかかるのはお好み焼きの仕込みだからなぁ、先にやっておくか。

 まずはベーシックな具材から。キャベツに万能ネギ、紅しょうが、揚げ玉、桜えび辺りは確実に生地に入れたい。揚げ玉と桜えびは使いやすいように別の容器に移すだけで良いが、他の具材は刻まないといけない。万能ネギは小口切り、紅しょうがはみじん切りに。キャベツは玉の状態から4等分にし、芯の部分と葉の固い部分を取り除いて分けておく。葉の部分は3~5mm幅の千切りにして、固い部分は食感を変える為にみじん切りにしておく。ベーシックな材料としてはこんな所だが、本格的な味を求めるなら山芋のとろろや鰹節や鯖節、宗田節なんかの副産物の削り粉なんか準備すると尚良しかな。(ちなみにだが作者はヤマキの削り粉を愛用してるぞ)

 次は注文によって変えるトッピングの支度。豚バラにイカ、タコ、海老、チーズ、餅なんか定番だな。今日はそこに油かすとすじこん、安く手に入った牡蠣と帆立もプラス。

 豚バラはお好み焼きの直径に合わせて切り揃えておき、イカは皮を剥いて一口サイズに。タコもイカ同様一口サイズにカットし、海老は背わたを取って殻と足、尻尾まで全てを外して3等分位に。帆立(ボイルした奴が扱いやすい)は肝を取り除いて4等分、牡蠣は薄い食塩水で荒ってザルに空けて水気を切る。※牡蠣は生食用より加熱用の方が美味いぞ

 油かすに聞き覚えのない人もいるかも知れないが、動物の内臓や脂身から油脂を搾った残り滓が本来の油かすなのだが、現在流通している油かすのほとんどは低温の脂で揚げて水分と油分を飛ばした物だ。これを入れるとお好み焼きにコクが出る。オススメは牛の油かすかな。

 すじこんは読んで字の如く、牛スジと蒟蒻の甘辛煮。そのまま食ってもいいが、筋ネギ焼きは美味いからな、それも準備しておく。




《圧力鍋で手軽にすじこん》

・牛スジ:300g

・長ネギ(青い部分):1本分

・生姜のスライス:厚めのを3枚

・蒟蒻:1丁

・酒:25cc

・みりん:25cc

・砂糖:大さじ1.5

・醤油:40cc

 まずは牛スジの下ごしらえから。圧力鍋にたっぷりのお湯を張り、ネギの青い部分と生姜スライスを入れる。沸騰したら牛スジを入れ、再沸騰したら3分程茹でる。下茹でだから圧はかけなくていいぞ。その間に蒟蒻の下ごしらえも同時進行で、2cm角に切ったら圧力鍋とは別の鍋で3分下茹でして水気を切っておく。

 牛スジが茹で上がったら冷水に取り、血合い等の汚れや余分な脂を落とすように揉み洗いする。洗い終わったら下茹での水は捨てて新しく水を2リットル位張って、牛スジを戻し、点火。沸騰してきたら灰汁を取り除いて加圧。市販の圧力鍋なら強の圧力で30分位を目安に。30分経過したら火を止め、圧が抜けるまで放置。

 圧が抜けたら牛スジを取り出して2~3cm角に切る。茹で汁は良い出汁が出てるから、カレーやおでん、たこ焼きの生地を伸ばすのに使ったりすると美味いぞ。

 いよいよすじこんの仕上げだ。鍋に酒とみりんを入れ、火にかけてアルコールを飛ばす。牛スジ、蒟蒻を加えたらそこに水を400ccと砂糖を加え、灰汁を取りながら5分煮込んでしっかりと甘味を含ませる。5分経ったら醤油を加えて落し蓋をして更に30分煮込む。30分経ったら味見をして微調整してくれ。これですじこんは完成。




 後は生地なんだが、注文によって要求される生地の配合は変わるから、その都度作った方がいい。それに一般家庭でよくやる事だが、生地に予めキャベツや紅しょうがなんかを加えて混ぜておく人がいる。アレをやっちまうと浸透圧の関係で野菜から生地に水が染み出して生地がベシャベシャになってしまう。だから、面倒でも食べる分だけ1枚ずつ、焼く直前に具材を混ぜ合わせるのがベストだ。後準備出来るのは調味料類位か。

 広島風お好み焼きならオタフクソースが鉄板だが、その他のお好み焼き系には少し辛めのイカリソースが合うと個人的には思う。ただ、それ単品だとスパイシーさに欠けるからどろソースをブレンド。前にもちょこっとだけ紹介したが、どろソースってのはソースを作るときに出る沈殿物を集めた物で、スパイスやフルーツが溶け残ってたりするから相当にスパイシーで塩っ辛い。我が家ではとんかつソースに好きな比率でどろソースを混ぜて使っている。

 後はお好み焼き屋のようなマヨビームを目指してクリーミーマヨネーズを作る。市販のマヨネーズだと粘り気も酸味も強すぎてお好み焼きには不向き。その為にマヨネーズにある物を加えてクリーミーにしつつマヨネーズをのばす。そのある物は、牛乳と無糖のヨーグルトだ。マヨネーズと牛乳とヨーグルトの割合は、10:1:1。ボウルで混ぜるのがめんどくさいなら、マヨネーズディスペンサー(よく見かける絞り出す穴が複数付いてる容器ね)に材料入れて、よく混ざるまでシェイクしてもOK。後は隠し味の練り辛子も準備したら、ほぼほぼ準備はOKかな。

 一段落着いたと思ったら、ドアをノックする音が。どうやら本当に客が来たらしい。

「開いてるぞ~。」

 さぁて、誰が来たのかな? 
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