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オズのビリーナ

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第六幕その十

「幾つもあったらお互いの頭が喧嘩するわよ」
「そうよね、身体は一つでも頭の数だけ心と脳があるから」
「もうこんがらがるわよ」 
 また言うビリーナでした。
「訳がわからなくなるわ」
「そう思うでしょ、私は頭は一つでいいわ」
 これがビリーナの考えです。
「二つもいらないら」
「そうしたドラゴンとは違って」
「そう、絶対にね」
 本当にそこはというのです。
「頭は一つよ」
「それで充分なのね」
「ないと困るけれど沢山はいらないわ」
 二つはというのです。
「これで充分よ」
「今のままで」
「そうよ、ただ頭が二つある鷲は」
「ああ、あれね」
 ナターシャはビリーナが今お話に出したその鷲のお話にすぐに応えました。
「あの鷲ね」
「ナターシャも知ってるの」
「ええ、知ってるわ」
「そうなの」
「だってロシアの伝説にあるから」 
 だからというのです。
「モスクワの空の上を飛んだことがあるのよ」
「実際にいるのね」
「たまに頭が二つある蛇もいたりするのよ」
「外の世界だと」
「そう、それでね」
「そうした鷲もいるのね」
「そうよ」
 ナターシャはビリーナにお話します。
「ロシアにはそうしたお話があるのよ」
「それは面白いわね」
「そうでしょ」
「ええ、私の頭は一つで充分だけれど」
「こうしたお話は面白いわね」
「不思議よ」
 頭が二つある鷲のお話がというのです。
「とてもね、外の世界も私が見てきた以上に不思議ね」
「ビリーナも最初は外の世界にいたわね」
「その時には知らなかったわ」
 オズの国の外の世界のことはです。
「いたけれどね」
「そうなのね」
「ええ、不思議はオズの国だけのことじゃないのね」
「そうなるわね、ただオズの国は世界で一番不思議が多い国よ」 
 このことは間違いないというのです。
「また特別よ」
「そうなの」
「だってこの国は何から何まで不思議でしょ」
「それはそうね」
「こんなに不思議が多い国はないから」
 それこそというのです。
「外の世界の全ての国の不思議を合わせたよりも不思議が多いわ」
「そうなのよね、この国は本当に不思議の塊よ」
 トロットもこう言います。
「外の世界ではごく稀に不思議なことが起こるけれど」
「この国はなのね」
「特別よ」
「不思議が集まる国ね」
「魔法もあって」
 それにというのです。
「科学も他の世界と違うから」
「私もそう言われるわね」
 ガラスの猫も言います。
「不思議だって」
「あんたみたいなのは外の世界にはいないわ」
「絶対によね」
「そう、絶対によ」
 それこそとです、トロットはガラスの猫にもお話しました。 
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