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提督はBarにいる。

作者:ごません
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出撃・礼号作戦!~最終作戦、始動~

 俺が呼び出したメンバーが到着したのは、俺の炊き出しの支度が終わり、皆でワイワイと食べていた時だった。

「あ~っ!提督さん達だけ何か美味しそうな物食べてる!ズルいっぽい~!」

 輸送用の飛行艇を降りてきて真っ先に声を上げたのは夕立。コイツはどこにいてもマイペースだよ、ホント。大物なんだかおバカなんだか、見分けがつかん。

「まぁまぁ、提督だって色々考えてこうしてるんだから。」

 それをどうどう、と宥めているのは陸奥。やはりまとめ役は武人的な長門よりも皆の姉的雰囲気をもった陸奥の方が向いていそうだ。

「他の奴等もご苦労だったな。取り敢えず腹拵えしながら状況を説明する。好きな物をとってきな。」

 そう言うと、我先にと言わんばかりに炊き出しコーナーに向かっていく。個人ごとに好きな物を持ってきて、泊地の敷地内の芝生の上に敷いたブルーシートの上に座っていく。大急ぎで準備させたからな、食事する暇も無かっただろう。全員美味そうに食べていく。

「皆食べながら聞いてくれ。観艦式に参加していたイタリアの艦娘……Zaraが深海棲艦の奇襲によって拿捕された。」

 食べていた艦娘達がざわつく。無理もない、観艦式の参加という名目で来ていた為に装備はそれほどでは無かったが、ウチの鎮守府の最大戦力がほぼ揃い踏みの状況下で拐われたのだ。

「油断があったのは否めん。だからこそ、この落とし前は俺が……いや、俺達でキッチリと取らなきゃならねぇ。」

 相手の待ち構える艦隊は恐らく姫級を多数配置した強力な防衛線だろう。それでも、俺達はやらなきゃならん。

「では、これより編成を発表する!」




「第一・第二艦隊。今回は連合艦隊……水上打撃部隊でいく。先ずは旗艦……長門!」

「良いだろう……この長門の力、敵に見せつけてくれる。」

 長門は目の前でZaraを奪われてるからな、静かに……だが激しく燃えているようだ。

「続いて陸奥、扶桑、山城!」

「あらあら、金剛さん達じゃないなんて珍しいわね。」

「まぁ、私達もたまには運動しないと……ねぇ、山城?」

「そうですね姉様!」

 中々出撃の機会が巡ってきていなかった陸奥・扶桑・山城。今回金剛四姉妹には援護部隊を任せるつもりだからな、その為の采配だ。

「続いて正規空母…加賀。制空権争いは任せたぞ。」

「……解りました、お任せ下さい。」

 正規空母の中では最高の錬度を誇る加賀。こういった難関の攻略となると、やはり彼女頼みになってしまう。それでも、彼女はいつも期待値以上の仕事をしてくれる。

「最後に重巡……鳥海。重巡一の火力、期待してるぞ。」

「は……はいっ!お任せ下さい!」

 改二となって重巡洋艦一の火力を出せるようになった鳥海。こういった緊急性の高い作戦はほぼ初参加のはずだが、その能力をいかんなく発揮してくれるだろう。

「続いて第二艦隊。旗艦は神通だ、任せたぞ。」

「はい……ご期待に応えてみせます。」

 鬼教官は実戦も強い。その指揮能力と戦闘力は俺も太鼓判を押せる。

「続いて駆逐艦……夕立、時雨。」

「っぽーい!」

「うん、任せてよ提督。」


 駆逐艦最狂と、豪運の持ち主。今の状況下で出せるベストメンバーを選出したつもりだ。

「続いて重巡……プリンツ、お前だ。」

「ふぇっ?わ、私ですかぁ?」

 ドイツ海軍の火力と持ち前の運は大きな強味だ。案外、隠し玉と思ってたりする。

「最後に雷巡……北上、大井。」

「ほいほーい、任された~。」

「殺ってやるわ……うふふふふふ♪」

 大規模作戦の切り札中の切り札、雷撃大好きハイパーズコンビ。ウチには北上と大井は3人ずつ在籍しているが、その中でも一番の古株を連れてきた。とくに大井、こいつはマジでヤバい。キリングマシンというか、バーサーカーというか……とにかく、ヤバい。

「以上が出撃のメインとなるメンバーだ。金剛、比叡、榛名、霧島には援護部隊を任せる。必要な面子を選出、報告しろ。」

 そこで全員が立ち上がり、敬礼した。隙は無い。後はやるだけだ。




 昼食を兼ねたミーティングを終えて臨時の作戦本部へと戻ると、室内の面子は難しい顔で唸っていた。

「どうかしたかジィさん、まさか輸送部隊が失敗したとか言わねぇよな?」

「いや、それは上手くいった。既に出撃は可能な状況じゃ。」

「ならすぐにでも打って出りゃ良いじゃねぇか。迷ってる暇はねぇぞ!」

 普段の大規模作戦ならば、ある程度腰を据えて取り組む事も出来るが今回は状況がよろしくねぇ。一刻も早い人質の救出が望ましいからだ。

「じゃが敵が多すぎる。これを見ろ。」

 手渡された資料は幌筵から出された偵察機からの報告書。敵艦隊の戦力分布、その内容がびっしりと書き込まれていた。

「空母棲姫に戦艦棲姫が多数、飛行場姫からの爆撃機の大群に、姫級を護衛するのは改flagship級、その他戦艦、空母、重巡に駆逐艦、潜水艦。いずれもelite以上の模様……確かにこりゃウチの艦隊だけじゃあ難儀しそうだなぁ。」

「更にじゃ。最深部に形成されつつある『巣』の中核は、見た事の無い新型の姫級。……恐らくは重巡洋艦クラスとの事じゃ。」

「……マジ?」

 ジィさん、それを早く言えよと言いたくなる位の大艦隊。しかもZaraは既に敵の手に堕ちた可能性が高い。

「あぁ、しかもその姫級……仮に『重巡棲姫』としておこう。それを護衛するのは戦艦棲姫2、空母棲姫1を主幹とする艦隊だ。」

 更に三笠教官からの追い討ち。これだけの戦力を相手取るのに一番最悪のケースは挟撃される事だ。

 敵の最深部にいる艦隊でも、ウチの艦隊ならば互角以上に渡り合えるだろう。それは確信している。だが、その背後を突かれるとこっちは一気に総崩れだ。とは言っても、今からウチの全戦力を移送するのは時間が掛かりすぎる。手詰まりに近い感覚を覚えつつ、必死に糸口を探る。……と、海図を見ながらある事に気付く。

「なぁ、単冠(ひとかっぷ)湾の泊地からは出せねぇのか?連合艦隊。」

 ぼそりと呟いた俺の一言に反応して、どやどやと海図に集まり始める提督とその秘書艦達。

「北は戦艦棲姫が多い編成だ。こっちはウチが叩く。南からのルートは空母戦力が多いらしいから……空母機動部隊で二正面に構えれば……」

「挟撃の線は薄くなり、戦力の分散も見込める……か。単冠湾泊地に無線を繋げ!急ぎ機動部隊を編成させよ!」

 流石は元帥、歳を食っても頭の回転と反応の早い事。先程までの意気消沈した作戦本部はどこへやら、バタバタと騒がしくなってきた。

「さぁて、売られた喧嘩は買う主義なんだ。キッチリと痛い目見さして、ナメた真似出来ねぇ様にしてやるぜ。」

 誰に言うでもなく、俺はそう言って気合いを入れた。さぁ、決戦だ! 
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