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おぢばにおかえり

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第三十八話 夏になってその一

                 第三十八話  夏になって
 夏です、おぢばの夏は暑いです。私は夏服になったうえでクラスでぼやきました。
「神戸よりもずっとね」
「暑いっていうのね」
「おぢばの夏は」
「この暑さがね」 
 もう心からです。
「嫌なのよ」
「ちっち暑いの苦手なのね」
「だからなのね」
「そう、だからね」
 もうたまりません。
「夏の間は元気がないの」
「一年の時そう言ってたし」
「二年の時もじゃない」
 クラスメイトの娘達は私に呆れた声で言ってきます。自分の席で元気のない私に。
「夏バテには気をつけてね」
「しっかり食べて」
「ええ、神戸が懐かしいわ」
 あの涼しさがです。
「六甲涼しいのに」
「まあおぢばにいる間はね」
 本当にその間はです。
「我慢するしかないけれど」
「ちっち的には辛いのね」
「この暑さが」
「寒さはいいの」
 神戸は夏は涼しいですが冬は寒いです、その六甲から来る風で街全体が冷やされるのは夏だけではなく冬もだからです。
「そっちはね」
「ちっち寒さに強いからね」
「厚着の仕方も知ってるし」
「だからなのね」
「冬はいいのね」
「そう、冬はね」
 本当にこちらはいいです。
 ですがそれでもなのです。
「夏はね」
「辛くて仕方ない」
「そんな感じね」
「おぢばがえりの時から思ってたわ」
 子供の頃、それこそ幼稚園の時から毎年帰ってそれで楽しんでいます。毎年夏に行われる天理教の催しです。
「おぢばは暑いって」
「盆地だから」
 奈良で生まれ育ってる娘が言ってきました。 
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