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提督はBarにいる。

作者:ごません
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ウチの航空部隊事情

 
前書き
 今回はハーメルン時代のコラボ回です。ろくろうさんという作者さん執筆の『艦隊これくしょん~あなたに逢いたくて~』から特別ゲストがお二人いらっしゃいます(正確にはご本人ではありませんが)。

 作品の概要をザックリ説明しますと、嫁艦になった翔鶴さんが、提督に会いに行きたいと次元の壁を飛び越えちゃってイチャラブするという、ある意味夢の内容となっております。今回出演しているのは平行世界の同一人物というポジションの人物ですが、作品に興味を持たれた方は是非あちらで! 

 

 今日は以前から予定されていた本土から来る提督が視察に来る日。さすがに徹夜明けで出迎えるワケにもいかず、昨日は店を早霜に任せて早めに休む……つもりだったのだが、金剛の奴にキッチリ搾り取られてしまった。アイツも少しは考えたのか、限界までは搾られなかったが心なしか身体が怠い。

「ふぁ~…んぐ。」

 堪えきれずに生欠伸を噛み殺すと、横から尻をつねられた。

「何をしてるんですか。もっとシャキッとしてください。」

 うぉう、流石は元戦艦、眼光が鋭すぎるぞ加賀。今回は航空部隊を主とした視察の為、秘書艦は加賀にしてある。まぁケッコンしている艦だし、体裁は保てるだろう。と、庁舎の裏に建設された飛行場に近付いてくる双発の発動機の音。どうやらおでましらしいな。ヴゥゥゥ……ンと鈍い音を上げながら下りてきたのは月光。また珍しい機体を移動用に用意したモンだ。

 複座式の夜間戦闘機である月光。試作段階では双発三座式のの陸上戦闘機となる予定が、最初の生産時期の物はニ式陸上偵察機として生産。その後、現場で施された改造案が正式採用されて斜銃と呼ばれる仰角を付けた20mm機銃を装備した形でロールアウトした数奇な運命の機体。ウチにも何機か配備されているが珍しい事には変わりない。やがてゆっくりと着陸体勢に入り、出迎えの俺達の前でピタリと止まった。パイロットはかなりいい腕をしているらしい。少し間があって降りてきたのは、白い軍服に身を包んだ男性と、その秘書艦であろう艦娘だ。

「相馬六郎中将です。本日は急な申し出を快諾して頂き、感謝しております。」

「秘書艦の翔鶴です。本日は宜しくお願い致します。」

 俺達の側までやって来た二人はビシッと直立不動で敬礼する。まぁ、階級的にも年齢的にも俺の方が上だから緊張しているのだろう。

「ここの鎮守府を預かる金城だ。今日はよろしくな。」

「航空部隊を執り仕切っている加賀です。本日は宜しく。」

 海軍だからな、礼儀は大切だ。俺達二人もしっかりと返礼をする。そこに駆け足で近寄って来たのは吹雪と初雪、白雪。

「遠路はるばるお疲れ様でした!まずはこの鎮守府の航空部隊の全容をご説明致しますので、此方へ。」

 吹雪には客人の先導係、初雪と白雪には客人の荷物を預からせた。



「はぁ……立派な物ですね。」

 相馬中将は会議室へと向かう間、物珍しそうにキョロキョロと周囲を見回していた。美保の提督もそうだったが、そんなに立派な造りだろうか。

「いやはや、噂には聞いてましたがまさに『城』って感じですね。」

「噂ぁ?」

 おっと、思わず素が出てしまった。もうしばらくは猫被って礼儀正しくしておくつもりが。オホン!と大きく咳払いをして誤魔化し、

「どんな噂かお聞かせ願えるかな?」

「ブルネイの金城提督は有名ですよ。激戦区に程近い南西諸島海域にありながら、大部隊を率いて凄い戦果を挙げている、って。」

 口を開いたのは秘書艦である翔鶴さん。よく見ると左手の薬指には光る物が。成る程、ケッコン済みだったのか。どうりで二人の距離が近いと思ったよ。

「ただ……黒い噂もあって。」

「ほう?」

「戦力増強を進めて本土に反旗を翻すつもりだとか、艦娘の強化の為に人体実験してるとか……。」

「プッ!ククク…アハハハハ!……いや、失敬失敬。」

 思わず笑ってしまった。本土のモグラどもはそんな事を考えてやがったのか?下らねぇ。

 俺は現場主義で前線に居たいだけだ。本土の安全圏でぬくぬくとしてるなんてのは性に合わん。艦娘の配備数が多いのは認めざるを得ない事実だが、それは必要な数を確保しているだけで、余剰戦力なんざいねぇっての。んな下らねぇ事を考える暇があるなら、テメェ等で視察に来いっての。恐らくこの相馬君も、半分様子を探らせる為の刺客みたいな扱いでココに送られて来たんだろうな……可哀想に。少しでも実入りのある視察になればいいな、と密かに思ってしまった。



「此方です、どうぞ。」

 吹雪が案内してきたのは会議室。広めの室内には赤城と鳳翔さん、そして何故か呼んでいないハズの金剛が待ち構えていた。

「紅茶とコーヒーをご用意しました。まずはくつろぎながらでもお話を聞いていただきたいと思います。」

 金剛は満面の笑みでそう言っているが、俺には解る。アレは置いていかれた事に怒っている時の顔だ。相馬中将と翔鶴さんの対面に俺と加賀も腰かける。……と、目の前に豪勢な茶菓子とティーセットが出された。恐らくは金剛姉妹の手作りだろうな。と思いつつ、俺はコーヒーを頼んだ。

「…では、僭越ながら私から、我が鎮守府の航空部隊の運用状況について説明させて頂きます。」

 そう言って赤城が立ち上がると、部屋の照明が落とされ、壁面にプロジェクターの映像が映し出された。



「我が鎮守府では空母・軽空母の艦娘を大きく3つに分け、運用されています。」

《1班・第一線で活躍する主戦力。主に新海域や特別作戦の時に運用される。》※()の中の数字は錬度

・加賀(120)

・赤城(117)

・翔鶴改ニ甲(103)

・瑞鶴改ニ甲(108)

・隼鷹改ニ(98)

・龍驤改ニ(96)

・千歳改ニ航(95)

・千代田改ニ航(94)


《2班・戦果を挙げる日常的出撃班。大規模作戦の際の支援艦隊の直奄等、運用は様々。》

・雲龍改(97)

・天城改(77)

・葛城改(65)

・瑞鳳改(89)

・龍鳳改(86)

・祥鳳改(86)

・飛鷹(97)

・大鳳改(70)

《3班・主にパイロット及び艦娘本人の錬度を上げる班。》

・鳳翔改(93)

・蒼龍改ニ(97)

・飛龍改ニ(97)

・大鳳(40)

・グラーフ=ツェッペリン(50)

「…以上、艦娘の運用面はこの通りです。続いて、艦載機の運用について……」

 ウチの保有する航空機は艦載機だけではない。地上の攻撃目標を狙って深海棲艦の爆撃機が飛来する事もある。その為、鎮守府の裏手に飛行場を設営して、艦載機のパイロットを転科して基地防空隊を組織している。運用しているのは紫電改や隼、屠龍や月光等々。陸軍と海軍の航空機両方を運用している。パイロットの錬成は鳳翔や蒼龍・飛龍を中心に行っており、戦果はまぁまぁ。航続距離の長い航空機を活かして、支援部隊を飛ばせないかと研究を進めている。 
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