| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

提督はBarにいる。

作者:ごません
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ズボラのグルメ・2

 まずは和風と洋風、2種類のお手軽だけど見た目が豪華そうなサラダを作ろうか。

「よし、じゃあまずは和風の方を文月に作って貰おうかな。」

「よ、よ~し。頑張るよ~!」

 和風のサラダのポイントは『香り』だ。和食は彩りや味、盛り付けの美しさだけでなく、香りも楽しむ料理だからな。名付けて、《やってんじゃないの風サラダ(和風)》!

《やってんじゃないの風サラダ(和風)》※分量2人前

・茹でタコ:150~200g

・クレソン:1/2束

・セロリ:1本

・みょうが:2個

・青じそ:5枚

・生姜1片分

・白髪ねぎ:10cm分

・白いりごま、ごま油、ぽん酢:適量

「まずはタコだな。水気を切って、食べやすい大きさにぶつ切りだ。」

「は~い。」

 文月はそう返事をすると、おぼつかない手付きでタコを切り始める。ホントに普段から包丁を握っていない事が見て窺える。意外と俺が知らないだけで、料理が出来ない艦娘は多いのか?等と考えていると、

「し、司令官っ。私達の手伝うことはないのかっ!?」

「えー、長月ぃ、声が掛かるまで放っとこうぜぇ、めんどいし。」

「う、うるさいっ!私はお前と違ってちゃんと料理を覚えたいんだ!少しでも手伝いたいんだ!」

 ぎゃあぎゃあと喧嘩を始める長月と望月。しかしまぁ、駆逐艦の姉妹艦喧嘩ってのはかくも微笑ましい物か(あ、ロリコン的な意味じゃなくて父親的な視点だからな)。

「あ~、わかったわかった。んじゃ長月にはクレソンを切って貰おうかな。」

 クレソンは根元を落としたら3cmの長さにカット。

「しかし、このクレソンとやらは何なんだ?普通の野菜のようには見えないが……。」

「そりゃそうだ、クレソンてのは水草だからな。」

「み、水草!?水草を食べるのか!?」

 まぁ、クレソン初めてなら驚くよなぁ。クレソン、和名はオランダガラシやミズガラシなんて呼び方もするんだが、基本的に湿地や水場に生える植物だ。その独特の香りやワサビと同じ辛味成分が特徴で、茹でてごま和えや、天ぷら、漬物、味噌汁の具、鍋なんかにも美味い。また、ルッコラやホウレン草のように香味野菜としてサラダや肉料理の付け合わせとしても重宝する。

「けっこう美味いんだぞ?まぁ、楽しみにしてろ。」

 そう言いながら、俺は長月が切り落としたクレソンの根を、豆腐のパックに水を張って浸けてやる。

「何してるのぉ~?司令官。」

「これか?クレソン育ててまた食おうと思ってな。」

 クレソンの特徴には、その繁殖力の強さも挙げられる。下水道や側溝なんかの汚水でも育つってんだから、その力は御墨付き。なんせ、クレソンが日本で初めて野生化したのは洋食屋が輸入したクレソンの切れっ端が汚水と共に池に流れ着いたってのが最初らしいからな。この位なら余裕で育つ。ただし、水はこまめに替えないと衛生上宜しくないがな。

「さてと、調理に戻るぞ。次はセロリだ。ピーラーで皮を剥いて、5cm位の長さに切り揃えてから、縦に薄切りにするぞ。」

青じそ、みょうが、生姜は千切りにするのだが、これは難しいだろうから俺がやろう。後は白髪ねぎだな。

「長月、白髪ねぎを作ってくれ。こいつでな。」

 俺が長月に手渡したのは長葱と剣山。こいつで長葱の表面を撫でていくと、簡単に白髪ねぎが作れるんだ。

「おぉ……、こいつは凄いな。簡単だ。」

 野菜の準備が出来たら全てボウルに入れ、ぽん酢を回しかけてザックリ混ぜる。あ、ボウルは耐熱性の物を使ってくれ。

「そしたら仕上げだ。フライパンでごま油を熱して、湯気が立って来たらボウルの中に回しかける!」

 瞬間、ジュワッと音を立てて香味野菜に火が通り、更に香りが立ってくる。ん~、いい香りだぜ。最後に白いりごまをふって混ぜたら完成だ。

「はい完成、『やってんじゃないの風サラダ』だ。……な?ちょっと料理が出来そうな人が作ったように見えるだろ?」

「た、確かに……。」

「お料理初めての私達が作ったとは思えないね~。」

 さて。お次は洋風か。



《やってんじゃないの風サラダ(洋風)》※分量は4人分

・水菜:1束

・マッシュルーム:6個

・ベーコン:3枚

・にんにく:1片

・レモン汁1/2個分

・オリーブ油:大さじ1

・パルメザンチーズ(ブロック)、塩、こしょう:適量 

「まずは材料を切っていくぞ。ベーコンは1cm幅で切って、にんにくは芽を取って横に薄切りにする。」

 水菜は食べやすくちぎって、マッシュルームは薄切りにしてボウルに入れる。

「お次はベーコンだ。油を敷かずにベーコンをフライパンに並べて焼いていく。」

 ベーコンの脂だけでカリッと焼けるからな、火加減は弱めの中火で焦がさないようにカリカリベーコンを作る。ベーコンが出来たら脂は捨てず、ベーコンだけ取り出す。

「ベーコン取り出したら次はにんにくだ。オリーブ油を足して、薄切りにしたにんにくを揚焼きにする。」

 きつね色になった所で、にんにくを取り出す。油は捨てずに冷ましておく。

「切った野菜にレモン汁と塩2つまみ、さっきのフライパンの油をかけて混ぜる。」

「こ、これだけでも美味しそぉ~。」

 文月が目をキラキラさせている。やっぱ美味いものを食べる直前、ってのはテンション上がるよなぁ。

更に、カリカリベーコン、揚げ焼きにんにくを散らし、ここで味見。塩・こしょうで味を整える。

「仕上げにパルメザンチーズをピーラーで削って散らせば……」

「おぉ、お洒落だぞこれは……‼」

 パルメザンチーズの塊がない場合は、見た目を気にしなければ粉チーズでも同じ味に出来る。

「出来た。《やってんじゃないの風サラダ(洋風)》だ。」

味としては、シーザーサラダに近いだろうか。簡易に作れるシーザーサラダと思って食べればそれっぽい味に感じるだろう。

 さてと、次は望月に教えるパーティ向きの料理だ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧