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オズのビリーナ

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第四幕その十二

「この国に来ても不思議が起こり続ける」
「それがオズの国ね」
「そうなるね」
「そうね、その私の一番の不思議はね」
「この国の主になれたことだね」
「そうよ、この人と出会えてね」 
 ご主人である王様を見たままです。
「よかったしね」
「そうだね」
「じゃあこの国のことを案内するわね」
 あらためて言ったビリーナでした。
「お昼までね」
「お昼御飯は、だね」
 王様はその辺りのことがよくわかっていました。
「私達が食べるものと人や猫が食べるものは違うからね」
「私は何も食べないしね」
 ガラスの猫が言うにはです。
「そうした気遣いは一切不要よ」
「そうだね、君の場合は」
「ええ、そういうことでね」
「私はトロットにテーブル掛けでお刺身でも出してもらおうかしら」
 エリカの食べたいお昼はこちらでした。
「和風にね」
「お刺身なのね」
「お刺身も好きなのよ」
 ぺろぺろと毛づくろいをしつつ恵梨香に答えます。
「何でもね」
「お魚なら?」
「貝も好きよ、タコやイカは食べないけれどね」
「猫にイカはよくないしね」
「あら、そうなの」
「ええ、イカはよくないのよ」
 猫にはというのです。
「お母さんに言われたわ」
「それは初耳だわ」
「貴女も知らなかったのね」
「そうなのよ、だからイカは食べなくていいわよ」
「じゃあこれからも食べないわね」
「それじゃあそうするわね」
「それで今日のお刺身は何にするの?」
 恵梨香はエリカにさらに尋ねました。
「それで」
「何でもいいけれど、鮪かしら」
「鮪のお刺身なの」
「それがいいかしらね」
「じゃあ鮪のお刺身を食べて」
「楽しませてもらうわ」
「じゃあ今から案内するわね」
 ビリーナは皆に声をかけました。
「私の国の中をね」
「ええ、それじゃあお願いするわ」
 ナターシャが応えてでした、そのうえで。
 皆で王宮を出ました、ビリーナはご主人と一緒に皆を案内するのでした。 
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