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歌集「春雪花」

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 明け暮れて

  君ぞなかりき

   この里に

 寒き風吹く

    冬となりけり



 ずっと彼のことばかり考え…ため息ばかり…。

 時は絶え間なく進み…ふと気付けば風は冷たく、この街にも再び冬がやって来たと実感する…。

 待つ意味もなく待つ…これほど無駄なこともあるまい…。



 闇ぞ降る

  想いぞ深く

    沈むれば

 痛みし恋も

   忘るものかな



 真夜中を回れば、辺りはしんと静まり返る…。

 あれだけ騒がしかった虫達も影を潜め、のっぺりとした闇だけが覆う…。

 こんな闇へと彼への想いを沈めたのなら…この辛い恋も忘れられるのだろう…。


 この冷たい闇の中へ…消せるものなら…。




 
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