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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者

作者:niko_25p
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第二十二話 ホテルアグスタ 2

ホテルアグスタへ到着した機動六課メンバー。

先に入っている副隊長と合流し警備任務に当たる。

いつもと同じように平常心の筈のティアナだったが……





魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者、始まります。





outside

ホテルに到着してヘリから降りる時に、キャロはシャマルがウキウキしながら3つの箱を持っている事に気づいた。

「シャマル先生、それ何ですか?」

「ん、これ?うふふふ、隊長達のお仕事着」

これ以上ないくらいに良い笑みを浮かべたシャマル。

「楽しみよねぇ~♪」

そう言いながら、シャマルはスキップで隊長達と共にホテルへと入っていった。

「?」

首を傾げるキャロ。いったい何が楽しみなんだろう?と考える。

「おーい、キャロー。ホテル周辺、回るぞー」

アスカに呼ばれた為、キャロは考えるのはそこまでにして、ライトニングメンバーに駆け寄って行った。





アスカside

オレ達は先入りしていたシグナム副隊長と合流して、今後の警備の打ち合わせをした。

「ホテル周辺は山と湖に囲まれていて警備がし辛いですね。陸戦ならともかく、空から出られるとちょっと……」

オレはホテルを中心にした地図を見て湖を指した。

いざとなれば、スバルのウイングロードを足場にして戦うしかないな。

「空戦は私とヴィータで抑える。お前達は防衛ラインを突破されないようにすればいい」

地図に記されている赤いラインをシグナム副隊長が指でなぞる。

ほー、剣術をしているのに、長くて綺麗な指だなぁ。

マニキュアとかしてないんだけど、その飾り気の無いところが逆に色っぽい……ゲフンゲフン!

イカンイカン。余計な事は後で妄想しよう。

「陸士271部隊が総勢35名の人員を出していますし、そこの部隊長も出張っているから、とりあえず心配は無いと思いますが……ん?キャロ?」

オレはシグナム副隊長と話していたが、少しだけ離れた所でキャロはジッと山を見ていた。

「どうし…」

声をかけようとして、オレは違和感に気づく。

「……」

山々を見回して、オレはキャロの隣に立った。

「山が静かだな」

「……わかりますか」

オレの言葉に、キャロが不安そうに答える。

「どうしたんですか?」

オレとキャロの反応に、エリオが尋ねてくる。

「これ、間違いなく敵がくるぞ」

オレが断言すると、キャロがはい、と頷く。

「どういう事だ?説明しろ」

シグナム副隊長も、訳が分からないと言う顔をしている。って当たり前か。

「静か過ぎるんです、山が。こんなに緑豊かなのに、小動物どころか鳥も飛んでない。悪い事が起きる前触れです」

オレはシグナム副隊長とエリオにそう説明する。

「動物や虫は、人間より危険に対して敏感です。山全体が静かって事は、はぐれガジェットが誤って紛れ込むような事じゃなくて、もっと大きな戦闘になるかもしれません」

六課にくる前は自然保護区にいたキャロが補足してくれる。

オレは山岳部隊だったから、山の事なら少しは分かる。

「まさか…」

信じられない、と言った表情をしていたシグナム副隊長だったが、オレとキャロがあまりにも真剣な表情をしていたせいか、言葉を飲み込んでいた。

「…警戒はしておいた方が良い、と言う事だな。アスカ、隊長達とスターズにも連絡しておいてくれ。異変があるとな」

「了解です」

という訳で、オレは早速ティアナに念話を飛ばす。

『こちらライトニング5。スターズ4、応答せよ』

『こちらスターズ4。どうしたの?』

すぐに連絡が返ってくる。

『こっちで異変を察知した。大規模戦闘になる可能性があるから、油断するなよ』

『ちょっと、どういう事!?』

ティアナが驚いて聞き返してくる。

『山が静か過ぎるんだ。動物も虫もいない。悪い事が起きる前触れだ。気を付けろよ』

『……』

ん?返事がないぞ。どうしたんだ?

『ティアナ?』

『そんな不確定な情報をワザワザ送ってくんな!言われなくても油断なんかしてないわよ!』

うお!いきなり怒鳴られた!なんで?

『用がないなら切るから!』

ティアナはそう言って一方的に念話を切りやがった。

「怒るなよな~」

不確定って、一応確信はあったんだけどな。何をピリピリしてんだ、アイツは?

まあ、とりあえずそれは置いといて、隊長に連絡を……あれ?

連絡を…ん?繋がらない?

「何か、隊長達と連絡が取れないんですけど」

ハラオウン隊長に連絡しようとしたんだけど、なぜか念話が弾かれてしまう。

「そう言えば、ホテルの廊下に使われている自然石が念話に干渉するかもしれないと言っていたな」

シグナム副隊長が思い出したように言う。つーか副隊長?それって昨日の時点で分かってませんでした?

ジト目で見るオレに、シグナム副隊長はコホンと咳払いをした。

うっかり忘れてたな。

「しょうがない。アスカ、直接隊長達に伝えてきてくれないか?」

あ、誤魔化した。

「忘れていたんじゃ…」

「さっさと行かんか!」

「イエッサー!」

なんで逆ギレよ?





outside

アスカは受付でホテルスタッフに隊長の誰かを呼んでもらおうと思っていた。

だが返ってきた返事は、忙しいから自分で探してくれとの事だった。

それなら、とアスカはホテルの中に入って隊長達を探し始める。

「何て言うか、オレがテロリストだったらって考えないのかね?」

危機感の無さに呆れかえるアスカ。

まあ、あれだけ管理局員が出張っていれば滅多な事は起きないだろうと自分に言い聞かせて隊長を探す。

一階、二階と探し回ったが見つからない。

放送で呼んでもらおうかと考えたが、今度はスタッフが見当たらないときている。

「ひ、広いな。ガジェットが侵入しても、きっと途中でバテるぞ」

そろそろ苛ついてきたアスカがそんな事を口走った時だった。

「あれ?アスカ君、どうしたの?」

三階のロビーに差し掛かった時、背後から聞き慣れたなのはの声がした。

「は、はい!高町たい…」

やっと見つかった!と振り返ったアスカは思わず息を呑む。

そこには、普段のサイドアップの髪を下ろし、紅いドレスを身に纏ったなのはがいた。

その後ろには、水色のドレスを着たはやてに、紫色のドレスのフェイトがいる。

「あ……」

いつもの隊長達とは違い、実に煌びやかだ。

それでいて派手すぎる事は無く、化粧も落ち着いた感じで大人な女性になっている。

呆然としているアスカを見て、はやての悪い虫がうずき出す。

ニヤリとアスカを見る。

「おやぁ?なんや、アスカ君。見とれてもうたんか?」

からかうように言うはやて。

「……はい。正直、見とれてました。皆さん、その…すごく綺麗です」

ぽーっとしたアスカの言葉に、フェイトが恥ずかしそうに頬を染める。

その素直な反応は予想外だったのか、はやてが少し戸惑う。

(あれ?もっと慌てふためくかあと思ったんやけどな?)

調子が狂ったのか、はやてはそれ以上からかう事ができなくなってしまった。

そんなはやては置いといて、アスカはうっとりとしたように言葉を続ける。

「高町隊長は、下ろした髪がいつもと違って、その…失礼ながらすごく大人っぽいし、ハラオウン隊長はドレスと良く似合って、その…凄く可愛い感じで、八神部隊長は…」

「うんうん、私は?」

年下の男の子の意見はどうなのかと、はやてが前のめりになる。

そこでハッと我に返るアスカ。

「……うまく化けましたね。耳とシッポはどこに隠しました?」

「そうそう、こうやって葉っぱを頭に乗せてドロンと…ってなんでやねん!」

何かの血が騒いだのか、素早くノリツッコミで切り返すはやて。

思わず笑い出すなのはとフェイト。

((よし!))

何が良しなのかは分からないが、アスカとはやては非常に良い笑顔でお互いに敬礼した。

「せっかくなので、写真撮っていいですか?」

どうしてそうなるのか、アスカがスマホを取り出す。

「ダメダメ!」

思わぬ事に、フェイトが即時に却下する。

だが、それで引っ込むアスカではない。直接が無理なら、搦め手を使う。

『八神部隊長、何とかなりませんか?』

なぜかはやてに応援を頼むアスカ。

『なんとかなるよ~。面白そうやし、まかしとき!』

………なぜかノリノリのはやてであった。

「まあまあ、フェイトちゃん。別に写真くらいええやないの」

「ちょっ!はやて!?」

「こんなドレスなんて中々着ないし、記念に写真撮っておいてもらっても損はなで?それに、その写真をエリオとキャロに見せたら喜ぶよ?」

はやてはさりげなく、フェイトの弱点を突く。

「う…」

エリオとキャロの事を出され、言葉を詰まらせるフェイト。

(こえ~。さりげなくエゲツナいな、部隊長)

割と本気で思うアスカ。

(よし、もう一押し)

そんなアスカの考えは知らずに、はやてはフェイトが揺らいでいる事を見逃さない。洞察力の鋭さを無駄に発揮する。

「そういうドレス姿、エリオとキャロには見せた事ないやろ?綺麗なお母さんって、凄い自慢になるし、嬉しがると思うよ?」

「…喜ぶのかな?そんなので」

どうしよう…と真剣に悩み始めるフェイト。

「もちろんや!ねぇ、なのはちゃん?」

はやては味方を増やすべく、なのはに話を振る。

「そうだね。私服や制服と違って、ドレスって中々見られないしね」

苦笑しつつ、なのはもはやての後方支援にまわる。

(フェイトちゃんは少し恥ずかしがり屋さんだから、ちょっと慣れた方がいいよね)

「な、なのはぁ~」

フェイトは困ったように眉を八の字にする。

(あ、カワイイ)

そう思ったアスカに、はやてから念話がくる。

『アスカ君、まだやで。ちゃんとフェイトちゃんが自分でいいよって言うまでは待つんや』

『了解です!無理矢理ではベストショットは撮れません!』

上司と部下が念話でそんなやりとりをしているとはつゆ知らず、フェイトはウンウンと唸って悩んでいる。

ウロウロと歩き回り、しゃがんで頭を抱え…そして、

「うん、いいよ。でも、へんな事に使わないでね」

了承した。

「もちろんです!エリオとキャロに見せたらきっと喜びますよ!あ、高町隊長と八神隊長もお願いしますね」

「あれぇ?私達はついでなのかな?」

「い、いえ、そんな事はないですよ!」

なのはの言葉に冷や汗をかくアスカ。

冗談だよ、と笑ってなのははフェイト、はやてと一緒にフレームに収まる。

アスカの素晴らしい写真の腕で何枚かの写真を撮る。

「ところで、何か用事があったんじゃないの?」

一通り写真を取り終えてから、なのはが聞いてくる。

「え?えーと…」

なんで来たんだっけ?と完全に目的を忘れていたアスカが考える。

「あ!そうだった!実は…」

本来の目的を思いだしたアスカは、なのは達に山が静かで、悪い事の前兆だと伝えた。

「最初はキャロが気づいて、オレもそう感じたんです。ですから、万が一の事を考えて、避難経路の確保、もしくはシェルターの準備を主催者に頼んでほしいんです」

(ティアナには怒られたけどね)

不確定な情報なので、そこまでする必要は無いと言われても仕方がない事だったが、それでも伝えなくてはと思ってここまできたのだった。

ところが、

「ええよ、伝えておく」

はやてはあっさりとアスカの警告を受け入れた。

「え…いいんですか?どちらかと言えば直感に近い事なんですけど?」

「戦闘になったら否応にも一般人を巻き込んでしまう事になるからね、今回の任務は。用心に越した事はないやろ」

基本は守る事。なら、僅かな異変も無視はできないとはやては考える。

「それに、ホテルの外と中で念話が繋がりづらいってのも分かったし。ロングアーチを介して通信路を確保せなあかんし。現場に出てみないと気づかん事も多いな」

そう言ってはやてはニコッと笑う。

「また何か感じたらすぐに連絡してや。今度は念話でも大丈夫やから」

「はい。じゃあ、戻ります」

アスカは敬礼をして、その場を後にした。





ホテル前の広場に、六課フォワードメンバーと副隊長二人が話をしている。

先に入っていたシグナムとヴィータが、新人達に図面で見るのと実際に現地を見るのとでは印象が違うだろうと説明をしていた。

ホテル周辺には、陸士271部隊の隊員がすでにスタンバイしている。

「おーい!」

アスカがホテルから出てきて、広場にいるエリオ達に手を振って駆け寄ってくる。

「あ、アスカさーん!」

エリオが手を振り替えした。

「何かいい事でもあったんでしょうか?すっごく良い笑顔なんですけど」

キャロが満面の笑みを浮かべているアスカを見てそう言う。

「どうだったの?」

ティアナが隊長の指示はどうだったのかを聞く。だが、

「いや~、隊長達、スッゲー綺麗だったぞ!」

開口一番そんな事を言うもんだから、ティアナは大きくズッコケてしまった。

「ほら、写真撮ってきたから見ろ!」

アスカがドヤ顔でケイタイで撮った写真をエリオ見せる。

「うわぁ!フェイトさんもなのはさんも、八神部隊長も凄い綺麗だ!」

「本当だ!」

エリオとキャロが写真を見て声を上げる。

「あ、私もみたーい!見せて見せて!」

スバルものぞき込む。

「さすがシャマルの見立てだな。隙がない」

ヴィータもその乗りについてくる。

「しかし、このような機会がないとドレスも着れないとは…少々心配になってくるな」

主の行く末を案じるシグナム。

ゆる~い空気が流れる中…

「って、何しに行ってきたのよ!アンタは!」

スパーン!

ティアナがアスカの頭をひっぱたく。

「ま、待て待て!ちゃんと言ってきたから!僅かな異変でも連絡しろって。万が一が起こらないとも限らないし、気になった事があったら副隊長に判断してもらって隊長に連絡してもらえばいいよ」

ティアナの割とマジのキレ方にちょっと引きながら、アスカはそう説明した。

『ティアナ、大丈夫か?何か、ナーバスになってないか?』

いつもよりも神経質になっているようなティアナに、アスカは念話を送る。

『………何でもないわよ。下手打てないんだから真面目にやってよね』

額を押さえたティアナが答える。

『こんなオフザケ、いつもやってるじゃん。ちょっと力、入りすぎてるんじゃないか?』

『心配ないわよ。派遣任務の時のアンタよりはマシよ』

痛い所を突かれたアスカは苦笑してしまった。

「とにかく、気になった事があったら情報を上げて精査しよう。一人で抱え込まないで、みんなで考えような」

取り繕うように締めくくるアスカ。

その言葉に、全員が頷く。

「おし、じゃあバラけて警備再開だ。油断すんじゃねーぞ!」

「「「「「はい!」」」」」

ヴィータの気合いの言葉に、フォワードメンバーが声をそろえて応えた。





ティアナside

アタシはホテル周辺の警備をしている。

スバルはホテル内のロビー付近で、リイン曹長と一緒に警備をしている筈だ。

今のところ、ホテル内外で異常は無い。

……さっきアスカが言っていたように、鳥や小動物が全く見当たらない事以外には。

『でも、今日は八神部隊長の守護騎士団、全員集合かぁ~』

退屈したのか、スバルが念話で話しかけてきた。

『そうね。アンタは結構詳しいわよね?八神部隊長とか、副隊長の事』

いつもなら「集中しなさい!」って怒る所だけど、何となく話をしたい気分だたので話を続ける。

『うん、父さんやギン姉から聞いた事ぐらいだけど。
八神部隊長に使っているデバイスが魔導書型で、それの名前が夜天の書って言う事。
副隊長達とシャマル先生、ザフィーラは八神部隊長の個人が保有している特別戦力だって事。
で、それにリイン曹長を合わせて6人そろえば無敵の戦力って事。
まあ、八神部隊長達の詳しい出自とか能力の詳細は特秘事項だから、私も詳しくは知らないけど』

『レアスキル持ちの人はみんなそうよね』

『ティア、何か気になるの?』

『別に』

『そう、じゃあ、また後でね』

スバルの念話が切れて、アタシは再び周囲に気を配る。

無敵……か。

六課の戦力は無敵を通り越して明らかに異常だ。

八神部隊長がどんな裏技を使ったのか知らないけど、隊長格全員がオーバーS。副隊長でもニアSランク。

他の隊員達だって前線から管制官まで未来のエリート達ばっかり。

アタシはフォワードメンバーの事を思い起こす。

あの歳でもうBランクを取得しているエリオと、レアで強力な竜召喚師のキャロは、二人ともフェイトさんの秘蔵っ子。

危なっかしくはあっても、潜在能力と可能性の塊で、優しい家族のバックアップのあるスバル。

オルセアでの実戦経験があって、発想力と実行力で弱点を補い、防御のエキスパートのアスカ。

思わず唇を噛む。

やっぱり、うちの部隊で凡人はアタシだけだ…

だけど、そんなの関係無い。

アタシは、立ち止まる訳にはいかないんだ!





アスカside

ライトニングは二手に分かれて警備をしていた。

エリオ、キャロはシグナム副隊長について行って、地下駐車場を見回っている。

で、オレはと言うと……


ホテル周辺を歩いて警備をしている。大きなオオカミと一緒に。

「イヤな静けさッスね、ザフィーラさん」

「……」

「山の事なら少しは知っているつもりでしたが、こんなのは初めてですよ」

「……」

「無事に終わればいいんですけどね」

「……」

「……」

「……」

「なんか喋ってくれません?オレ一人でバカみたいなんですけど」

「お前、俺が喋れるのを知っていたのか?」

やっと喋ってくれたよ。

「えぇ、まあ。六課に来る前に、それなりに調べましたから。部隊長、隊長、副隊長の事は。特に部隊長の事は念入りに調べましたよ」

「……どこまで知っている」

もともと感情の分かりづらいザフィーラさんだったけど、さらに感情を抑えたように聞いてくる。

剣呑な空気が漂っちゃったよ。マズッたか?

「そうッスねぇ…まあ、三佐クラスの情報くらいはって所ですかね」

「どこでそんな情報を手に入れた」

「オレ、099部隊長の養子なんで、オヤジのパスコードを使って、チョイチョイっとね。もちろん、無断で」

「呆れたヤツだな」

「ほとんど何も分かんなかったですけどね。ザフィーラさんが守護獣ってやつで、人間形態になれるってのはギリギリ分かったんですけど、後はね」

オレはそう言って肩を竦めた。

「いいじゃないッスか、ミステリアスな女上司。このシチュエーションは燃えますよ!」

グッと拳を握って熱血する。

「…呆れたヤツだな」

さっきと同じせりふなのに、今度は場の空気が和らいだ感じになった。

ふう、何とか危機回避できたかな?

つーか、なんで会話でこんなに疲れるんだよ。





outside

山の麓から、ホテルアグスタを見上げる二つの人影があった。

一つは、体躯のいい男で、フード付きのコートを頭から被っている。

もう一つは、小柄と言うにも小さすぎる子供であった。

男と同じくフード付きのコートを身につけていたが、フードは被っていなくその顔を覗かせている。

紫色の長い髪の少女だった。

少女は男の手を握って、ホテルのある場所を見上げている。

「あそこか?」

男が少女に語りかける。

「お前の捜し物は、ここにはないのだろう」

その言葉に、少女が男を見上げる。

「何か気になるか?」

コクン

少女が頷く。

その時、一匹の虫が二人に向かって飛んできた。

少女が人差し指を立てて、その虫を留まらせる。

「ドクターのオモチャが近づいてきてるって」

ジッとその虫を見ていた少女が男に伝える。

「そうか…」

男の声は、どこか(うれ)いを帯びていた。
 
 

 
後書き
いつも閲覧いただき、ありがとうございます。
すぴばるが無くなってから暁で投稿させてもらってますが、思った以上に読んでくださる方がいるので、大変ありがたいです。

さて、ホテルアグスタで任務に勤しむ機動六課の面々。
アスカが通常運転に対して、ティアナの余裕がなくなってきてます。
そして現れた謎の二人組み(棒)

次回からついに戦闘に突入します。
その時のアスカは?その時のティアナは! 
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