| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

オズのビリーナ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四幕その五

「毛にもいいから」
「だから入っているのね」
「そうよ」
 こう言うのです。
「ここの温泉は何度も入っているのよ」
「何か皆がそうね」
「それだけいい温泉ってことよ」
 誰もが入るまでにです。
「だからトロット達もいるのよ」
「ええ、私もこの温泉好きよ」 
 そのトロットの言葉です。
「お風呂は元々大好きだけれど」
「この温泉はよね」
「特に好きだからね」
「こうして入ってるのね」
「近くに寄ったから」
 それを縁としてというのです。
「入っているの」
「そうなのね」
「今日は特によく寝られそうね」
「そして明日もね」
 ビリーナも言います。
「楽しい旅よ、そして明日には」
「あんたのお国に着くのね」
「そうよ」
 まさにという返事でした。
「だから楽しみにしているのよ」
「まあね、楽しみにしておくわ」
 エリカはお湯を楽しみつつビリーナに答えました。
「知ってる国だけれどね」
「知っていても楽しめるでしょ」
「それはその通りよ」
「だからね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「あんたが一番楽しそうね」
 ビリーナのうきうきとした感じを見ての指摘です。
「どうにも」
「それはそうかも知れないわね」
「自分の国に帰られるから」
「だからよ、皆私の家族なのよ」
 お国にいる鶏達はというのです。
「子供に孫、ひ孫とね」
「あんたの家族に会えることもあって」
「本当に楽しみなのよ」
 心からというのです。
「楽しみなのも当然よ」
「そういうことね」
「そう、あんたも帰るお家があるでしょ」
「それは今は王宮ね」
 これがエリカの返事でした。
「アメリカにいた時も住んでる場所はあったけれどね」
「今は王宮が、なのね」
「私のお家よ」
「じゃあ帰るのは」
「あそこよ」 
 王宮に他ならないというのです。
「あんたみたいに肉親はいないけれどね」
「お友達はいるってことね」
「そうよ、ドロシーにトロットにね」
「ええ、確かに困ったところもあるけれど」
 名前を出してもらったトロットが応えます。
「エリカは私の友達のうちの一匹よ」
「そうでしょ」
「そう、難しい娘だけれど」
 何かと、というのです。
「悪戯好きで」
「猫は悪戯がお仕事よ」
「だからっていうのね」
「そうよ、だからいいわね」
「悪戯のことは」
「気にしないことよ」
 こう悪びれずに言うのでした。
「わかったわね」
「まあこういう娘だけれど」
 今度はやれやれといったお顔で言うトロットでした。
「この娘もオズの国の住人でね」
「私達にとってもなのね」
「友達よ、勿論ナターシャ達もそうで」 
 トロットはナターシャと恵梨香も見ます。
「そしてガラスの猫もね」
「私もなのね」
「そうよ、宜しくね」
「そうさせてもらうわ、私も悪戯好きだけれどね
「猫だからなのね」
「そうよ、けれどね」 
 確かに悪戯好きでもいうのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧