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義理人情も迷惑

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第二章

「わしはやるわ、車掌になるわ」
「まあ頑張れ」
「相撲も勉強も就職もね」
「確かに建さん格好いいから」
「目指せばいいわ」
「わしはやるわ」
 広島弁のつもりだが大阪で生まれ育っているので訛りはそちらになっているが無理にでも言っているのである。
「絶対にな、そして行いもか」
「そっちもか」
「建さんでいくのね」
「そうするんだな」
「立派にならんなあ」
 映画の、そして現実の高倉健の様にというのだ。
「義理人情と礼儀は大事にせなな」
「じゃあそっちも頑張れ」
「名前のせいでもね」
「確かに立派な人だったし」
「映画でもリアルでもだったから」
「目指すわ」
 椎葉は実際に人間としても高倉健の様になろうと日々努力していた、義理人情と礼儀をとかく大事にしていた。
 しかしだ、その義理人情についてであった。 
 彼は大事にするあまりだ、よく失敗をしていた。困っている友人を助けることは助けるのだが。
「それはいいって」
「そこまでしなくてもいいわよ」
「まずは自分のことやれって」
「出来ることだけすればいいから」
 とかくだ、彼は自分のことを置いて相手のところに来て自分が苦手なものや出来ないことまでやろうとするのだ。それでだ。
 友人達はその彼にだ、困った顔でこう言うのだった。
「細かい作業苦手なのに」
「サッカーの助っ人って走るの遅いのに」
「そんなこといいから」
「テニス部の助っ人って」
 相撲部だからがっしりとした体格なのにというのだ。
「いいから」
「あんたの出来ることして」
「宿題あるならそっちしろよ」
「まずは自分のことしろよ」
「友達じゃからな」
 だがいつもだ、椎葉はこう友人達に言うのだった。
「見捨てたらあかん」
「いや、見捨ててないから」
「ただお節介になってるの」
「時にしてな」
「だからそうしたことはいいから」
「お節介って何じゃ」
 難しい顔になってだ、椎葉は友人達に尋ねた。
「一体」
「だからしなくていいことだよ」
「出来ることはこっちでするから」
「困ってない時は別にいいから」
「何でも手助けしなくていいから」
「困ってると思ったら助けるものちゃうんかのう」
 無理した広島弁での言葉だ。
「そうしたものとじゃ、わしは思うとるんじゃが」
「それはそうだけれどな」
「あんたはちょっとね」
「極端なんだよ」
「周りも見てくれよ」
「周りか」
 映画の高倉建の一シーンを思い出しながら表情も真似して言った。 
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