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有栖キャロの小学校物語

作者:blueocean
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第12話 エローシュ君達の幼稚園時代


さて、外の景色がカラフルな落ち葉で埋めつくされた今日この頃。

「ねえ、久しぶりにエローシュの家に遊びに行っていい?」

ふと、夏穂ちゃんがエローシュ君に話したのが始まりでした………









放課後………


現在私達はとある一軒家の前にいます。
この辺は新しく出来た一軒家が並んでおり、結構綺麗でした。

その家のプレートには江口と書かれています。
取り敢えず、エローシュ君はインターホンを鳴らしました。

「伸也おかえり!みんないらっしゃい、今日は沢山居るわね」
「いきなりで悪いね母さん、今日家で遊んでいい?」
「いいわよ。えっと、初めての子も居るわね…………」

「初めまして、有栖キャロです」
「ルーテシア・アルピーノです」
「エリオ・モルディアルです」
「真白雫です」

「あら、ご丁寧に。私は伸也の母の遥香です」

エローシュ君のお母さんはとっても美人で優しそうな人でした。
こんなお母さんを持つエローシュ君はどこでこんな風になってしまったのだろう………

「さあ、取り敢えずみんな上がって」

「「「「「お邪魔します!!」」」」」

「佐助!!」
「分かってる!」

佐助君に声をかけたエローシュ君2人は急いで家に上がり、2階へと上がって行きました。

「全くあの2人は…………おば様、お邪魔します」
「あら、いつもの?お願いね、夏穂ちゃん」
「はい。こら2人共!!見苦しい真似してないでさっさと隠してるもの出しなさい!!」

そう叫びながら夏穂ちゃんも2階へ上がって行きました。

「さあ、みんなはどうぞ中に………」

そして、私達はエローシュ君のお母さんに案内されて、家の中へ入って行きました。









「「「うわぁ………」」」

エローシュ君の家の中は私の家よりも断然広く、とても綺麗でした。
取り敢えず私達はソファーの方に案内されて、ジュースとお菓子を出して貰いました。

「あっ、ありがとうございました」
「いいのよ。3人はもう少しかかると思うから、少し待っててね」

お母さんがそう言うと、上からバタバタと大きな音が響きました。
一体何をしてるのかな?

「あっ、猫」

真白ちゃんの指さした方向には小さな三毛猫がにゃーと小さく泣きながらソファーの裏に隠れていました。

「おいで〜」

真白ちゃんが手招きしても猫は出てきません。

「ううっ、こないな………」
「ごめんなさいね、ハナは人見知りで初めての人には近づこうとしないのよ」

そうなんですか………残念です………
でもあれ?私の方を見てる?

そう思ってると、猫は私の方に歩いてきて。

「にゃあ」

私に飛び乗って来ました。
そして膝の上で丸くなるました。

「可愛い………」
「キャロちゃんいいなぁ………」

「驚いたわ………ハナが初めて会う人にそこまで懐くのは初めてかも………」

「そうなんですか!?」
「キャロは動物に好かれやすいから」
「そうだね、キャロは直ぐに動物と仲良くなれるよね」
「いいなぁキャロちゃん………」

そう言えば、私ってフリードともすぐに仲良くなれた気が………
もしそうだったら嬉しいな………







「へぇ、3人は転校してきたばかりなの!それじゃあ家の息子が色々と振り回してるでしょ?ごめんなさいね」
「い、いえ、エローシュ君にはいつもお世話になってますし………」
「もう少し落ち着いてくれれば良い」
「ル、ルー!?直球過ぎるよ!!」

「そうだよ、そこが無くなったら伸也じゃなくなるよ!!」
「真白ちゃん、それもどうかと………」

「ふふ、でも仲良くはやってくれてるみたいで良かったわ」

私達のやり取りを見て、お母さんに笑顔がほころびました。

「あの子達3人は幼稚園の時から浮いてたからね………小学生になってからも家に佐助君と夏穂ちゃんしか呼ばないし、少し心配してたのよね………」

「エローシュ君………がですか?」
「信じられない?」

「アイツってクラスからは絶大な信頼を得ているから………」

ルーちゃんの言ったことにみんなが頷いてます。

「そうみたいね。あの子昔から頭だけは良くてね、神童だとか幼稚園の時には騒がれたものよ。でもね、高すぎる能力って他人からはどうしても気味悪がられるだけなのよ」

それはよく分かります。
私は召喚術の才能が強すぎた為に里を追放されましたから………

「幼稚園に入学したときは伸也は今の様な子じゃなかったわ。毎日が退屈そうで、幼稚園はどうだった?って聞いても『別に………』しか言わない子だったの。私も旦那も本当に心配したわ。先生にも相談したけど、全く変わらないし、どうしようも無かったの………………でもね、そんな時だったの。彼に会ったのは………」










回想………

「はぁ………」

溜息を吐きながら私は幼稚園に向かう。
昨日も一人で過ごしていて、遊戯にも参加しない。育て方を間違えたつもりは無いんだけど何がいけなかったのかしら………?

「し、し、伸也君のお母さん!!」

そんな事を思いながら幼稚園に来た時だったわ。
伸也の担任の先生が血相を変えてこっちにやって来た。

「どうしたのですか?」

「伸也君と佐助君がいじめを受けていたらしく、その映像が………」

いじめ!?あの子が?
取り敢えず、先生と共に伸也の元へ急ぎました。








数時間前………

「暇だ………」

教室を抜け出して、体育館の二階で転がってる俺。
幼稚園は暇だ………

「というか何で転生とかさせられたかな………」

面白そうだから了承したけどまさか赤ちゃんからやり直すとは………
おかげで羞恥プレイは意外と………でも母さん美人だったから結構役得………

って駄目だろ俺!?
母親になんてことを…………

「おい、何とか言えよ!!」
「暗くて気持ち悪いんだよお前!!」

ん?何か体育館裏が騒がしいな………
俺は、窓を開けて外を覗き込んだ。











「何だよお前、何か言えよ!!」

ガキ大将の子が僕を蹴ってくる。
僕が抵抗しないことをいいことに好き放題だ。
取り巻き2人も楽しそうにやっている。


「でも何も言わないからこうやって好き放題出来るんだけどな!」
「こんなことバレたらママやパパに何を言われるか………」
「でも楽しいよな!」

コイツら腐ってる………
反撃してもいいけど、僕は父に小さい頃から色々と仕込まれてる。

故にこんな奴らなんて簡単にやっつけられるけど、父には絶対に人に向かって力を使うなと言いつけられてる。

「ぐっ!?」

「もう飽きたし行こうぜ」
「そうだな」
「行こう行こう」

どうやらやっと飽きてくれたみたいだ。
やれやれ…………

そんな時だった。

「ボロボロだなお前………」

一人の園児が声をかけてきた。














暇だし少し気になった俺は下に降りて、様子を見に行った。
下に降りると既に、いじめていた奴らはどこかへ行ったらしく、痛々しく傷の残った少年だけが残っていた。

「ボロボロだなお前………」
「誰………?」
「俺は江口伸也、年中のもも組だ」
「僕は小岩井佐助………年中、もも組」

「同じもも組!?知らなかったんだけど………」
「こっちこそ………」

「………」
「………」

会話続かねえ………

「えっと………何でいじめられてたんだ?」
「暗くて気持ち悪いらしい………」

う〜ん、気持ち悪いね………
こういう子も普通に居るだろうし、気にする必要も無いだろう。

だけどガキには分からないものなんだろうな………

「なあ佐助………?」
「何?」
「一つやり返さないか?」
「暴力はいけない………」

「誰か暴力なんて振るうかよ。俺は頭脳派なんだよ」

俺は自分の頭を指差し、不敵に笑ってやった………












「一体何があったのですか!?」
「中谷君達が伸也君達に………」
「伸也が何か………?」
「取り敢えず中に来てください!!」

先生に急かされ、私は急いで中に向かいました。




「「「「うわあああああん!!!」」」」

中に入ると男の子3人が泣いていました。
そして、その近くには伸也ともう一人の男の子が様子を見ている。

えっと、いじめられてたのよね………?

「取り敢えず説明してもらえますか?」

混乱してる私は、取り敢えず先生に事情を説明してもらいました。














「さて、用意できたか?」
「出来た。けど本当にやるの………?」
「ここまで来たらやるさ。それに既に準備も済んじゃったしな。それよりお前は大丈夫か?また痛い思いをしてもらわないといけないけど………」
「問題ない。いつもの事だから………」
「それが心配なんだけど………まあいいや、それじゃあ始めようか」
「ああ、よろしく頼む」

佐助にそう言われ、俺は動き出した。





「おい、えっと………なんだっけ?」
「中谷だ。それより何か用か江口君?」

俺に対しては結構友好的だなコイツ。
それともみんなの前だから良い子ぶってるのか?

「いやな、中谷に言いたい事があるんだけど………」

そう言って俺は中谷の耳元に移動して………

「小岩井をいじめていた事を言われたくなかったら付いてこい」

そう呟いてやった。






「で、どこに連れていくんだよ」
「いいから黙って付いてこいよ」

やっぱり取り巻き2人も付いてきたな。
まあ問題は無い。

今の所プラン変更通りだな。

「ここだ」

俺が連れてきたのは体育館の用具室。
3人は警戒もせず入ってくる。

「よく来た………」
「小岩井、なんの真似だ………?江口君を使って俺を呼び出しやがって」
「いつもの仕返しをするため呼んだ」
「仕返し?ハッ、いつもいじめられてるお前がよく言うぜ!!」

佐助は真剣じゃなかったけどな。
準備をしてる途中に気がついたが、佐助の動きは幼稚園児のものじゃない。
力こそ俺より無いものの、身のこなしが常人離れしている。

他にも盗聴器や超小型カメラなど普通じゃ買えないものも佐助は持っていたし(佐助の家にあったもの)普通の家庭とは違うようだ。
まあそのおかげで今回の作戦を実行することが出来るのだけどな………


「覚悟はいいだろうな………」

中谷は俺もいることを忘れているのか、気にせず取り巻きと一緒に近づいていく。
…………これなら仕掛けも必要無かったかな。

そんな事を思ってると3人が佐助を囲んでボコボコにしている。
事前に決めていた事とはいえ、見ているのは結構辛い。

だが、佐助が頑張ってるんだ、俺は俺でしっかり仕事をしないとな。
俺はすぐさま懐からカメラを取り出し、再生する。

「はははは、やっぱり気持ちいいわ!!」

人を蹴ったり殴ったりしてるのに気持ちいいか………
コイツ、今のうちにどうにかしないと将来ヤバイな。

「さて、いじめてる3人」
「あん?いいとこなんだから邪魔するなよ江口」

もはや君付けするのも忘れてるみたいだ。

「いや、もう終わりだ。これが何か分かるかな?」

そう言って手に持っている物を見せる。

「カメラ………?」
「さて、俺は何を撮っているのでしょうか?」

そう言うと3人の顔が青くなった。
どうやら自分の置かれてる状況が分かったみたいだ。

「さて、今から先生達に見せてこよっと〜あっそれともも組のみんなにも見せてあげないとな」
「あっ!?行かせるか!!」

慌てて3人は俺に飛びついて来た。

「カメラを寄越せ〜!!」
「痛!?ってか引っ張るな!!」

俺は逃げようとしたが、俺は頭脳派。
運動神経では全然敵わなかった。

そして………

「「「「あっ!?」」」」

カメラを掴み損なった中谷はカメラを下に落とし、カメラは当たりどころが悪かったのか思いっきりバラバラになった。

「ああっー!!100万のカメラが!!」
「「「100万!?」」」

「どうする佐助?」
「父に怒られる………弁償してもらわないと」

ボロボロだが口調は普通だ。
よかった、問題なさそうだ。

「「「弁償!?」」」
「そうだよな。さてと先生に話して親御さんに来てもらわないと………あっ、それと監視カメラに撮っておいたいじめの映像も見せないと」
「監視カメラ!?」

3人はキョロキョロと周りを見てカメラを探している。
まあそう簡単に見つからない所にセットしたから見つからないけど。

今回の作戦は2通り。

1つはカメラで撮影したと思わせ、カメラを奪ってくるときにわざと落とし、細工をしといた佐助のカメラを弁償させると脅すこと。

もしそれが失敗した場合は、仕込んでおいた小型カメラを先生達に公開して普通に見せる事。
2つ目は例え先生に注意されてもまたやり返す可能性がある。
なので容赦なく、弁償という形にしたんだけど………

『ちなみにこのカメラどのくらいするの?』
『100万ちょい………』

本当に100万するって聞いたときは本当に驚いた。
佐助の家って金持ちなんだな………


「ほら、さっさと先生達の所へ行くぞ」

嫌がる3人を無理やり連れていき、先生達の元へ向かった。











「そんなことが………」
「これがカメラの映像です。でも何であそこにカメラがあったのかしら?」
「俺がセットした。そうすればいじめていた事に言い訳出来ないだろ」

「伸也………」

やったことは良い事なんだろうけど、幼稚園児のやることではない。
むしろ大人でもこんな事するだろうか………

「取り敢えずこの子達の親と相談して、弁償の相談といじめの事をじっくり話したいと思います」
「はい、どうかよろしくお願いします」

私は先生に頭を下げてお願いした。
ここからは先生に任せればいいでしょう。カメラは佐助君の物だから関係無いだろうしね………
でも使ってたのは伸也だから関係ある?

まあ今はいいか。

「さ、伸也帰りましょ」

「ああ。………母さんちょっと待って」

そう言って伸也は佐助君の方へ向かった。

「改めて俺は江口伸也」

「小岩井佐助」

「「これからよろしく」」

そう言って2人は固く握手をしたのだった………









「そんな事があったんですか………」
「そこからはもうずっと佐助君と一緒よ。笑うようにもなったし、こっちはとても安心したわ」
「けど、エローシュそのときからえげつない………」
「容赦ないね………」
「伸也君って幼稚園の頃からそんな事してたんだ………」

お母さんの話を聞いていて私達4人は驚いてばかりでした。
佐助君がいじめられてたっていう事も驚きですが、今と変わらないえげつないエローシュ君にも驚きです。

そう言えば………

「夏穂ちゃんはいつから2人と一緒に?」
「それは私が説明するわ………」

エローシュ君のお母さんに聞いたのですが、返事をしたのは帰ってきた夏穂ちゃんでした。

「あんまり話したくない出来事なんだけどね」

苦笑いしながらそう言って、夏穂ちゃんは話し始めました……… 
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