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巻き添え

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第一章

                 巻き添え
 当時のフランスは緊迫した状況下にあった、周囲を神聖ローマ帝国とスペイン、イングランドといった敵国に囲まれているだけでなく。 
 国内でもそうだった、この国はカトリックの国であるが。
 プロテスタントの者達も力を持っていた、それでだ。
 若き王シャルル九世は側近達に難しい顔をして言っていた。
「私としてはな」
「はい、新教徒達の意見もですね」
「そちらも聞かれますね」
「そうされたいですね」
「そうも思っている」
 王はカトリックだ、だがそれでもだ。
「彼等の考えも聞かねばな」
「そしてそのうえで、ですね」
「政治を考える」
「そうしなければならないので」
「だからこそですね」
「ここは」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そう考えている、そしてだ」
「王太后もですね」
「あの方もそう考えておられますね」
「新旧両教徒の融和」
「それを」
「そうだ、若し我等が争えば」
 フランス国内の新旧両信者がというのだ。
「どうなる」
「はい、そうですね」
「そうなれば無駄に力をなくすだけです」
「そしてそこを周辺諸国に襲われます」
「神聖ローマやイングランドに」
「それにスペインにも」
「そうだ、だからだ」
 何としてもとだ、王はそのやつれた顔で言うのだった。
「ナバラ王と我が妹マルグリットの婚姻も進めてだ」
「新教の領袖コリニー提督ともですね」
「お話をされますね」
「あの方とも」
「そうだ、そしてだ」
 ここでだ、王はこうも言った。
「問題は旧教の強硬派だ」
「あちらですね」
「彼等をどうするかですね」
「おかしな動きが常にありますし」
「だからこそ」
「彼等が暴走するとだ」 
 まさにというのだ。
「最悪の事態が起こる」
「内戦ですね」
「それがあるからですね」
「だからこそ」
「ここは融和ですね」
「融和すべきですね」
「そうだ」
 何としてもというのだ。
「いいな、コリニー提督とも話をしてだ」
「はい、旧教の穏健派ですね」
「彼等に働いてもらい」
「そうしますか」
「是非な」
 王は王なりにだった、双方の対立を解消しようと考えていた。
 王太后のカトリーヌ=ド=メディチも同じだった。彼女もまた彼女の側近達にこうしたことを言ったのだった。
「双方の対立はです」
「何の利益ももたらしませんね」
「戦争になれば国が疲弊します」
「ただそれだけのことで」
「旧教の強硬派が力をつけるだけですね」
「そうです」
 まさにとだ、太后もこう認識していた。 
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